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「秋篠宮家への批判に対して火に油を注ぐ結果にも」悠仁さま筑波大学ご通学につきまとう“困難”〈親元から離れ自立を…〉

文春オンライン / 2024年12月29日 6時10分

「秋篠宮家への批判に対して火に油を注ぐ結果にも」悠仁さま筑波大学ご通学につきまとう“困難”〈親元から離れ自立を…〉

2024年9月、18歳の成年の誕生日を迎え、天皇皇后両陛下へあいさつに向かわれる悠仁さま ©時事通信社

 秋篠宮家の長男・悠仁さま(18)が来年の春に筑波大学へ進学されることとなった。多くの学生が構内の寮や付近のアパートに下宿していることもあり、12月26日に行われた定例会見で、筑波大学の永田恭介学長は「希望を言えば、寮で暮らしていただきたい」と話している。悠仁さまのご通学や大学生活はどのようなものになるのだろうか。近刊に『皇室とメディア』(新潮選書)がある、名古屋大学大学院人文学研究科准教授の河西秀哉氏が考察する。

◆ ◆ ◆

 悠仁親王の2025年4月からの筑波大学生命環境学群への入学が決定した。

 戦後の象徴天皇制は、社会の変化に応じ、そのあり方を変化させてきた。個を尊重し、自身の思いの実現を果たすことが重視される現在の世の中にあって、悠仁親王が行きたい大学、学びたい研究分野を選択するのは当然ではあろう。しかし、将来の皇位継承者として、皇族には様々な制限があり、私たちと同じように行動することに困難があることもまた事実である。

電車通学なら片道で1時間半

 宮内庁は今のところ、悠仁親王は現在居住している赤坂御用地の秋篠宮邸から筑波大学(茨城県つくば市)へ通うとしている。すると、電車ならばJRやつくばエクスプレスに乗って通学することになる。片道で1時間半ほど、往復にすると3時間近くかかる計算となる。都内の大学に比べればかなりの長距離だろう。もちろん、これくらいなら通っている大学生もいる。

 しかし、悠仁親王は将来の皇位継承者であるから、もちろん警備が必要となる。1限に間に合うような電車ならば、都心では満員電車であることが想定される。それに乗ることは警備上かなり難しい。また、元赤坂から筑波大学までならばどこかで乗り換えが必要となる。そうした乗り換え駅にも警備のための人員を配置する必要があるだろうか。しかも、元赤坂から筑波大学まで通うならば、東京都だけではなく埼玉県・千葉県を通過して茨城県に向かうため、警視庁だけではなくそれぞれの県警の管轄となるだろう。広域にまたがる通学ゆえ、その警備は都内の大学に通う以上の負担となる。

これほどの長距離を車で通うのは…

 そうであるならば、車で筑波大学まで通うという方法も考えられるだろう。仮に信号を止めるなどといった交通規制を行わないとすると、渋滞に巻き込まれる可能性も高い。信号で止まったり、渋滞に巻き込まれたりすることで、悠仁親王の乗った車はテロなどに狙われやすくなる危険性もある。さらに、宮内庁職員が運転する車が事故を起こしたり、事故に巻き込まれたりする可能性もあるだろう。このように、車でも警備や安全上の問題はつきまとうのである。

 また、これほどの長距離を車で通うという選択肢を採れば、多くの大学生と異なる通学手段となる。ある種の「特別扱い」感が目に見えてしまうことになり、これが報道されれば、現在の秋篠宮家に対する厳しい批判に対して、さらに火に油を注ぐ結果にもなりかねない。

電車も車も一長一短

 つまり、通学に関して言えば、電車で通うにしても車で通うにしても、どちらの選択を採るのも一長一短があり難しい。

 そもそも、先に述べたように、元赤坂から筑波大学まではかなり長時間の通学時間となる。近年の大学は、出席に厳格で、課題も多い。それに加えて、悠仁親王の入学する理系は実験などもあり、長時間の学びが想定されるのである。行き帰りの電車や車のなかで課題などに取り組むとしても、必ずしもそれだけでは果たせないことは多いだろう。毎日、朝早くに元赤坂を出て、夜遅くに帰る生活を続けていて、それが十分にできる時間はあるのだろうか。

つくば市に住んだ方が合理的かもしれない

 しかも、大学は勉強だけに取り組む場でもない。友達と話し、サークルや部活などに取り組むことも想定される。20歳を超えれば、飲み会などもあるだろう。現在の天皇も父親の秋篠宮も学習院大学時代、そうした機会が多数あった。そうした経験を通じて、現在の社会をさらに知り、大学卒業後も相談できる友人たちを作っていくことも悠仁親王には求められるだろう。むしろ、これまでの慣例に従って学習院大学へ入学しなかった悠仁親王には、それまでの皇族以上に幅広い人々・世界を知る機会として、筑波大学があるのではないか。授業以外にもそのための時間も必要なのである。

 また、これだけ通学に毎日時間が費やされるとなると、公務をするのも難しいだろう。繰り返すが、最近の大学生は課題も多くて忙しい。公務に割く時間はないのではないか。また、将来の天皇としての教育、たとえば過去の天皇の「御事績」を学ぶ時間もないだろう。

 そうすると、最終的にはつくば市に住んで大学に通う選択肢も出てくるのではないだろうか。実際は、1年生の時からその可能性もあるし、研究室などに入って実験などで忙しくなる学年からつくば市に住むという可能性もあるだろうか。

 いずれにしても、つくば市に住んだ方が、大学の授業にも、大学での学外活動にも取り組む時間が増える。また、親元から離れ、自立する可能性もある。筆者としては、その方がいいようにも感じる。

 もちろん、そこにも様々な問題はある。どういったところに悠仁親王が住むのかという問題である。マンションであると、両隣や上下の部屋も含めた安全の確保がやはり警備上では必要となる。しかし、それは可能なのか。実際にすべて借りるとすると費用の問題などからやはり批判の対象となる危険性もある。では一軒家なのか。大学の寮なのか。

 その場合も、つくば市に普段いるのだから、やはり公務をするのは難しいだろう。公務のたびに東京へ帰ってくるのは現実的ではない。また、やはり将来の天皇としての教育も、難しいかもしれない。この点は大学卒業後ということになるだろう。もしかすると、元赤坂に住んで通うという現在の宮内庁の説明は、在学中も公務をする可能性を確保するために東京にいてほしいということもあるのだろうか。

広大なキャンパスを警備する必要も

 通学問題だけではない。筑波大学は広大なキャンパスを有する。そして学内では近所の人が普通に散歩するなど、開かれているのが大学という場である。そうすると、誰が入ってくるかもわからないなかで、しかも広大なキャンパスを警備する必要もある。

 大学の授業は、高校までと違ってクラスという概念もあまりない。1限と2限では授業を受ける学生が入れ替わることも多々ある。教室にも様々な人が入ってくるのである。お茶の水女子大学附属中学校時代、悠仁親王の教室の机の上に果物ナイフが置かれる事件が発生したが、そうした危険性はより高まるのである。警備はこれまで考えられたことのないレベルで取り組むことが求められるだろう。

 つまり、戦後生まれの皇族として初めて国立大学に入学することになった悠仁親王には、様々な困難がつきまとうことが予想される。宮内庁は入学までの期間、関係各所と相談しつつ、こうした問題をクリアしていくことが求められるのである。

(河西 秀哉)

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