「もっと早く病院に行っておけば…」妻が“ステージ4のがん”で余命宣告を受けたYouTuber・サニージャーニーこうへいの後悔――2024年読まれた記事
文春オンライン / 2025年1月12日 11時0分
こうへいさんが明かした「後悔」とは――(写真:サニージャーニーブログより)
2024年、文春オンラインで反響の大きかった記事を発表します。YouTuber部門の第2位は、こちら!(初公開日 2024/04/14)。
* * *
旅するカップルYouTuberだったこうへいさんとみずきさん。ところが、みずきさんの突然のがん発覚。すでにステージ4にまで進行しており、「余命4カ月から2年」という宣告を受けてしまう。さらにはネットではサニージャーニーに対する疑念の声やバッシングまで……。
前編では、みずきさんに訪れた最初の異変、そして事の重大さに気付けなかったこうへいさんの後悔を紹介。サニージャーニーによる初の著書『 日本一周中に彼女が余命宣告されました。~すい臓がんステージ4 カップルYouTuber 愛の闘病記~ 』(双葉社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)
◆◆◆
最初の異変
みずきの最初の異変は旅もまだまだ序盤の頃だった。
宮崎県に入った頃、時期で言えば出発から1カ月経ったくらい。
お腹が痛い、とみずきが言った。「病院行こうか?」と聞くが、「すぐ治ると思うから大丈夫」と、病院に行くのを拒んだ。
基本、みずきは病院があまり好きではなく、多少の体調不良は寝て治すことが多い。僕も「さすがに旅の疲れが出たかな」とそんなに深刻に捉えていなかったように思う。“思う”と書いたのは、正直この当時のことをほとんど覚えてないからだ。当時の様子は特に記録も取っておらず、この原稿もGoogleマップの履歴を見て思い出しながら書いている。
今これを読んでいるあなたは、1年前の“仕事を休むほどではない体調不良”を覚えているだろうか? ほとんどの人は、正確な日時も症状も忘れてしまっていると思う。
そのくらいの小さな違和感だったのだ。しかし、その違和感が思いのほか長引いた。動けるし、元気に撮影はできるけど、“いつもより少し体調が悪い”という日が増えていき、不安になった僕は「病院で診てもらおう」と何度も提案した。
「病院代もったいないし、いいよ」と、みずきは頑なだった。
確かに、鹿児島の離島で思った以上に費用がかかってしまい、お金がなかった。だからみずきの意見もよくわかったし、僕が逆の立場でもそう言っただろう。
仮に当時の状態で検査をしても、すい臓がんが見つかる可能性は極めて低かった。だけど僕は今でも夜寝る前に後悔する。このときを思い出すと、暗い海の底に沈んで行く気分になる。少しでも可能性があるときになぜ病院へ行かなかったのか?
「もし」「なぜ」「しておけば」
後悔は心を蝕む。
「大事な人を守れたのは自分しかいなかった」
にもかかわらず、目の前の膨大な仕事、この先の生計の見通し、さまざまな雑事に追われてきちんと向き合わなかった。誰に何百回「あなたは悪くない」と言われても、僕の心の一部は深く沈んだまま浮き上がってはこない。
幸いみずきは今も元気に生きている。隣でいつも笑顔を見せてくれる。
それでもきっと後悔はなくならない。
だから、もしあなたの大切な人が体調不良を訴えたら、
「私のために、私が安心するために病院へ行こう」
と伝えてほしい。あなた自身のために。
検査で「異常」は見つからなかったが…
そのまま1~2週間が過ぎ、大分に入ったところでようやく病院へ行くことにした。
このときもかなり説得して、「俺が安心したいから一度しっかり診てもらおう」とお願いしての通院となった。「俺のため」という言葉でやっと、みずきも了承してくれた。
最初に診察を受けたのは大きめの個人医院といった感じのところだった。
入院設備もあるし、ベッドも20床ほどあり、その地域ではそこそこ大きいところだ。診療を受け、血液検査をし、胃カメラもしようという話になった。
だが、その病院では胃カメラは口から入れることしかできず、鼻から胃カメラを入れることができる別の病院を紹介してもらった。
翌日、紹介された病院で診察を受ける。みずきの人生初の胃カメラの結果、特に異常は見つからなかった。問題はないと思うが、もっと大きな病院でCTを撮ってもらってはどうかと、また違う病院を紹介される。
翌日、大分の中では比較的大きい病院で受診した。いわゆる総合病院というところだ。CT検査を受けた結果、「原因ははっきりしないが、アミラーゼの値が高い。しかし、女性は突発的にすい炎などになることがある。大きな病気の可能性はまずないので安心していい」とのことだった。
「この後も体調不良が続くようなら、次の病院で受診するときのために」と検査データをまとめた宛名なしの紹介状を書いてくださった。
もちろん撮影時だから演出的に元気に振る舞いはするが、このときの動画を見返してもそんなに無理をしていた印象はない。湯布院の観光地でご当地グルメをたくさん食べ、宿泊地のRVパークから15分ほど歩いて温泉にも行っている。
薬をもらい安心したおかげなのか、結構元気になっていたのだ。
この後は日によって元気だったり、体調が良くなかったりを繰り返していたが、病院の先生に言われた「そういうこともある」に納得して、騙し騙し旅を続けていた。
がんは静かに、確実に進行していた
今思えばこのときすでに、がんは静かに、だが確実にみずきの中で進行していたのだ。
一応、大分の病院の名誉のために補足しておくが、後にがんの診断をしてくれた病院の先生も「その時点で見つけるのは自分でも無理だっただろう」とおっしゃっていた。それくらいすい臓がんは本当に見つけにくく、水面化で進行していくがんだ。
(サニージャーニー/Webオリジナル(外部転載))
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