「普通に働け」「税金払え」とネットで批判…大企業を辞めて軽自動車で“車中泊生活”を始めた夫婦YouTuber(30代)が明かす、“周囲からの反応”――2024年読まれた記事
文春オンライン / 2025年1月12日 17時0分
YouTubeチャンネル「けんじとあかり」を運営するけんじさん(左)とあかりさん(公式YouTubeチャンネルより)
2024年、文春オンラインで反響の大きかった記事を発表します。YouTuber部門の第1位は、こちら!(初公開日 2024/08/25)。
* * *
改造した軽自動車で車中泊しながら、日本一周を達成した30代の夫婦・けんじさんとあかりさん。YouTubeチャンネル「 けんじとあかり 」で車中泊生活のリアルや日本一周の様子などを発信し、現在は登録者数15万人の人気を誇る。
新卒で大企業に入社したふたりは、職場で出会い、2018年に入籍。その後、会社を辞めて、2021年4月から2022年6月までの約1年間で、日本一周を達成した。
ふたりは軽自動車で車中泊をしながら、どんな生活を送っていたのか。安定した収入と職を捨てて旅をすることに、周囲はどんな反応を示したのか。話を聞いた。(全3回の2回目/ 3回目に続く )
◆◆◆
軽自動車での旅を選択した理由
――日本一周をするための手段はいろいろあると思いますが、なぜ軽自動車で旅をすることにしたのでしょう。
けんじ コロナ禍だから、というのはあります。その頃はまだ、電車や飛行機で日本一周をするのは憚られる状況だったので。
あかり あとは、お金がかからないから、ですね。中古で買ったスバルの「サンバーディアスワゴン・クラシック」の値段が約40万円で、車内のDIY費用が約20万円。大きい車を買っていたら、この何倍もお金がかかっていたと思います。
けんじ それに、日本一周と同時にYouTubeも始めようと決めて。どうやってほかのYouTuberと差別化するか考えたときに、軽バンで日本一周している人があまりいなかったんです。ほかの人がやっていないことをやれば、需要はあるかなと。
――車の選定基準は?
あかり 見た目です。ヘッドライトが丸目で、レトロな感じがかわいいなと。あとは、ほかのYouTuberと被らなそうなのもいいなと思いました。
DIYのこだわりポイント
――軽自動車をDIYするにあたり、こだわったポイントはありますか。
あかり 外装とベッドの寝心地。あとはキャンプをするためのテントを持っていきたかったので、「テントをどう積むか」ですね。
本来なら車中泊にテントは必要ないんですけど、私たちはキャンプを楽しみたかったんです。テント泊しかできないキャンプ場もあるから、テントは必須の荷物だったんですよね。
けんじ テントは車内の上のほうに積めるようにして、ほかの荷物はベッドの下に収納して。あとは内装をシンプルにすることで、できるだけ広く寝られるようにしました。
――外装はかなり派手ですよね。
けんじ カレーをイメージした車にすることで、視聴者の方々に、僕たちが「カレー好き」というのを知ってもらおうと思ったんです。もともとカレー屋になりたくて、その夢は持ち続けていたので、YouTubeやSNSを通してそのイメージを発信すれば、将来的に何かにつながるかなと。
――それで車の名前も「カリー号」に。
あかり 最初は「カレー号」だったんですよ。でも、誰かが「カリー号」と間違えて言い出して、結局そのまま「カリー号」になりました(笑)。
お風呂は3日に2回…車中泊生活の“リアル”とは?
――1年間の日本一周では、どんな生活をしていたのですか?
けんじ 1週間のうち、週4日ぐらいは撮影を兼ねた観光をしていました。朝から夕方くらいまで観光しながら撮影して、夕方にはお風呂に入って、夜は道の駅とかに移動して寝るみたいな。残りの3日間は編集作業をしていましたね。
――お風呂はどうしていたのですか。
けんじ 主に「快活CLUB」を利用していました。30分300円台でシャワーを使えて、無料のタオルサービスもあったので。銭湯に行くより安く済むんですよね。
あかり 「快活CLUB」がなかったら、アプリで安い銭湯や温泉を探して行ってました。
――毎日入っていた?
あかり いや、夏場以外は3日に2回くらいでした。1日ずっと編集作業をする日とかは汗をかかないので、「まあいいか」みたいな感じで。観光した日は毎日入ってましたけど。
けんじ 夏場とか暑い日も毎日入ってましたよ。汗をかいたかどうかを判断基準にしていました。
7月と8月は暑さを避けて北海道へ
――夏場は暑くて大変そうですね。
けんじ 本州は暑すぎるので、7月と8月は北海道に行きました。
――北海道とはいえ、日中は暑いですよね。
あかり 私たちの場合、昼間は車にいないことのほうが多かったです。撮影のときは外で観光していたし、動画を編集するときはカフェやファミレスに行っていたので。
けんじ 朝早めに起きて、日が昇る前に活動するようにしてましたね。夜は涼しいので、大丈夫なんですけど。
――車内は暑さ対策を?
けんじ 車内にいるときは窓を開けて網戸にしたり、寝るときはニトリのヒンヤリするシーツを敷いたり。対策はそれくらいです(笑)。
――冬場はどうしていたのですか。
あかり 冬は服を着こんだり、寝袋とか毛布を使えばどうにかなるんですよ。大変なのはやっぱり夏ですね。
当初は節約のために“車中飯”を自炊していたが…
――洗濯はどうしていたのでしょう。
あかり 週1、2回くらいの頻度でコインランドリーに行って、洗濯から乾燥まで済ませていました。
――食事は?
けんじ 最初は節約のために自炊していました。「生活費は月15万円以内に抑える」と決めて、それを超えないようにして。
あかり なるべく外食は控えて、スーパーで買ったもので“車中飯”を作るみたいな。でも、YouTubeが収益化して、余裕ができてからは、ご当地グルメとかを食べるようになりました。
「せっかく日本一周するなら各地のおいしいものを食べたいな」と思っていたので、YouTubeのおかげでそれができたのは、すごくよかったです。
バズるのを狙って出した車内の紹介動画
――YouTubeが収益化したのは、いつ頃ですか?
けんじ 日本一周を始めて1か月くらいです。
――早いですね。
あかり 車内の紹介動画がバズって、登録者数が500人から2万人に一気に増えて。そこからはYouTubeの収益で生活費を賄えるようになりましたね。
――車内紹介の動画は、今では100万回以上再生されています。
あかり 最初は一気に50万回くらい再生されて、そこからジワジワと100万回まで増えていきました。バズるのを狙って出した動画だったのですが、思ったよりも反響がすごかったです。
――狙えるものなんですか。
けんじ 車内紹介の動画は、ほかの車中泊YouTuberも割と再生されていたんです。僕たちの場合、テントを積んでいるという珍しさもあったので、そこそこ再生されるかな、とは思っていました。
認知度が上がったことで起こった変化
――動画がバズったことで、認知度が上がったのでは?
あかり 車内紹介の動画をアップした数日後に、初めて視聴者の方に声をかけてもらったんです。石川県の能登地方にいたときだったんですけど、スーパーの駐車場で男性に話しかけられて、「ちょうどさっき、動画を観てたよ」と。しかもその方がすごくいい人で、「なんか買ったるわ」と言って、スーパーで1万円分くらい、食材とかを買ってくださって。YouTubeの反響を実感した出来事でした。
けんじ ありがたいことに、動画が再生されるようになって登録者数が増えてからは、声を掛けられる機会が増えて。差し入れを頂いたりすることもあったんです。
富山のキャンプ場にいるときに、特に場所を言わずに景色の写真だけをインスタグラムのストーリーにあげたら、視聴者の方が2組くらい差し入れを持って来てくれたこともあって。お仕事を抜けて来てくださった方もいて、申し訳なく思ったので、それからはリアルタイムでSNSに情報をアップするのは控えるようになりました。
――車の外装が特徴的で目立つから、駐車していたら視聴者はすぐに分かるでしょうね。
けんじ 僕たちが車内にいるときに、窓を「コンコン」って叩いて挨拶してくれる人もいて。車内で着替えているときに「コンコン」ってされたときは焦りましたね。
あかり 朝起きてすぐに声を掛けられるときもあったんですよ。まだ顔も洗ってなくて、すっぴんの状態でドアを開けたら、外で待ってくれていた視聴者の方が「いつも観てます。写真撮ってください」って。そのときは申し訳ないと思いつつ、「ちょっと待ってもらっていいですか」と伝えました。
「普通に働け」「税金払え」YouTubeのコメント欄で批判され…
――有名になったからこその悩みですね。
けんじ 声を掛けられるのはうれしいんですけど、正直、朝イチは少しつらかった。ふたりともめちゃくちゃオフの状態なので。
あかり 嫌ではないんですけど、恥ずかしい(笑)。
――YouTubeの登録者数が増えると、批判的なコメントも増えるんじゃないですか。
あかり 最初の頃は多かったですね。コメント欄で「普通に働け」「税金払え」とか。
けんじ でも、そうやって言う人の気持ちも少しわかるんですよね。僕たちも会社員として働いていた側なので、定職に就いていない人を妬んで「働けよ」と思う気持ちも理解できるというか。
――批判はあまり気にならなかった?
けんじ 自分たちも会社員として働いてきた経験があるし、YouTubeが「仕事」になっている自信もあったので、周りに何を言われても気になりませんでした。
あかり 日本一周中は、ほぼ撮影と編集をしていて、全然休みがなかったので。周りには半分遊びみたいに見えていたかもしれないけど、自分たちからしたら「毎日仕事をしていて、休みはないです」みたいな。
「税金払え」というコメントに対しても、払っているのは自分たちが一番わかっているから、「何も知らない人に言われても……」「逆に、なんで払ってないと思うんやろう」という気持ちでした。
――今もYouTubeで生計を立てていますが、そういったコメントは寄せられますか。
あかり いや、最近はまったく言われないです。
けんじ 僕たちがYouTubeを始めた頃より、自由なライフスタイルとか、YouTubeで生計を立てるみたいな働き方が社会に浸透している気がします。その影響もあって、批判的なコメントが減ってきたのかなと。
2024年 読まれた記事「YouTuber部門」結果一覧
1位:「普通に働け」「税金払え」とネットで批判…大企業を辞めて軽自動車で“車中泊生活”を始めた夫婦YouTuber(30代)が明かす、“周囲からの反応”
https://bunshun.jp/articles/-/76049
2位:「もっと早く病院に行っておけば…」妻が“ステージ4のがん”で余命宣告を受けたYouTuber・サニージャーニーこうへいの後悔
https://bunshun.jp/articles/-/76048
3位:「『すっぴんブス』や『消えろ』という声も…」中卒、11歳上の彼と出会い結婚…黒ギャルYouTuber(22)がそれでも黒ギャルを貫く理由
https://bunshun.jp/articles/-/76047
4位:日本最大の暴力団・山口組の顧問弁護士ってどんな人? 早稲田卒のエリート弁護士が“危険すぎる依頼”を引き受けた理由と仕事のリアル《顧問料は月5万円》
https://bunshun.jp/articles/-/76046
5位:家賃ゼロ、朝5時起床、野菜は自給自足…公務員を辞めて愛知の田舎で“悠々自適な生活”を続ける30歳YouTuberが語った、田舎暮らしのリアル
https://bunshun.jp/articles/-/76045
(「文春オンライン」編集部)
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