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「鹿児島県警トップが隠蔽行為」告発の前生活安全部長が「息子に昇任試験問題を漏洩」で書類送検されていた!

文春オンライン / 2024年12月27日 18時0分

「鹿児島県警トップが隠蔽行為」告発の前生活安全部長が「息子に昇任試験問題を漏洩」で書類送検されていた!

会見に臨む野川前本部長 🄫時事通信社

「本部長が隠蔽」告発者の“ウラの顔”

 2024年5月、鹿児島県警の内部情報を札幌市のフリー記者に漏洩した国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで、同県警の本田尚志前生活安全部長が逮捕された。本田氏は6月に開かれた勾留理由開示請求の法廷で、「(野川明輝)本部長が県警職員の犯罪行為を隠蔽しようとしたことが許せなかった」と発言。つまり、内部情報を漏らしたのは、県警の現職トップを“告発”するための公益通報だったと主張したのだ。

 本田氏の告発は全国ニュースとして大きく報じられたが、実は彼には“ウラの顔”があったことが今回発覚した。

 本田氏は自身の息子に、巡査部長昇任試験の問題を事前に教えていた疑いのあることが、ジャーナリスト・桜田門四郎氏の取材でわかったのだ。12月26日、鹿児島県警は国家公務員法(守秘義務)違反の疑いで書類送検を行った。

 6月に発覚した本田氏の告発については、県警側は野川本部長による隠蔽を否定したものの、事態を重く見た警察庁が、「警察の中の警察」とも呼ばれる特別監察を実施。適切な指揮や確認がなされなかったとして、野川本部長を長官訓戒処分とした。そして、11月5日付で野川氏は警察庁長官官房付となり、その後、自動車安全運転センター総務部長に異動となった。

 告発した本田氏からすれば、野川本部長のクビを取った形だが、その実像は“正義の告発者”とは言えないようだ。

電話で問題作成者から直接聞き出した

 鹿児島県警関係者が声を潜めて打ち明ける。

「本田氏の父と息子も鹿児島県警の警察官で、3代にわたる『警察一家』です。息子は2023年の昇任試験に合格し、巡査部長に昇格しています。実はこの時、昇任試験の口頭試問でどんな内容が聞かれるか、本田氏が事前に情報を入手し、息子に教えていたのです」

 口頭試問は、刑事部門や警備部門、生活安全部門、交通部門などの各分野について、満遍なく問われる。生活安全部長だった本田氏は、生活安全部の試験内容は最高責任者として知り得る立場にあり、他部署の質問内容についても、試験前に各部の企画課に連絡し、電話で問題作成者から直接聞き出したとされる。

「本田氏は警視正まで昇進した生活安全部長という立場です。上意下達の警察組織にあって、口頭試問の問題を作成する担当者は、断り切れなかったのでしょう」(前出・鹿児島県警関係者)

 口頭試問の問題を入手した本田氏は通信アプリ「LINE」を使って、試験前に息子に内容を伝えた。警視正である本田氏は国家公務員であるから、これは国家公務員法の守秘義務違反に当たる疑いがある。

「LINEの履歴を示されると、渋々漏洩を認めた」

 試験問題の漏洩が発覚したのは、札幌市のフリー記者への情報漏洩事件に関連して、本田氏の自宅を家宅捜索したことがきっかけだった。押収したスマートフォンを分析した結果、LINEを使って、問題の内容を息子に送信していた通信履歴が残されていたのだ。

「本田氏は当初、取り調べに対し、『試験問題を漏洩していない』と強く否定したが、LINEの履歴を示されると、渋々漏洩を認めたそうです」(同前)

 この疑惑に当事者はどう答えるのか。本田氏は6月に保釈金を支払って釈放されている。自宅に書面を送り、事実関係を尋ねたが、期限までに回答は無かった。

 本田氏の試験問題の漏洩及び書類送検などについて県警に尋ねると、次のように回答した。

「捜査の有無を含めて、全てお答えを差し控えさせていただきたい」

 12月26日に「 文藝春秋 電子版 」で配信した「 〈鹿児島県警不祥事問題〉本部長の隠蔽を告発した元警視正の“ウラの顔” 」では、試験問題漏洩の詳細に加えて、本田氏が野川前本部長を“告発”した「本当の動機」についても詳報している。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 電子版オリジナル)

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