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東名でも、中央道でも、関越道でもない……年末年始で「最悪の渋滞」が発生する“まさかのポイント”

文春オンライン / 2025年1月2日 6時10分

東名でも、中央道でも、関越道でもない……年末年始で「最悪の渋滞」が発生する“まさかのポイント”

写真はイメージ ©AFLO

〈 義実家に帰省しており今日の午後帰る予定ですが、今朝テレビを見た夫から「混むからもう一泊しない?」と言われました。気を遣いますし、渋滞の予報で予定を変えるなんてバカげていますよね? 〉から続く

 正月ののんびりムードとは裏腹に、年末年始の高速道路には無数の車が殺到し、東名や関越道などでは毎年絶望的な長さの渋滞が発生している。さらに年によっては、重大事故などが重なり、無間地獄のごとき混雑へと発展することもある。

 はたして過去に生じた「ヤバい渋滞」にはどんなものがあるのだろうか。ここではNEXCO各社が発表する資料をもとに、過去10年の年末年始期間に発生した渋滞のうち、渋滞長トップ5となったポイントを紹介する。

「同じポイント」が4位と5位に

 4位と5位には、いずれも関越道上りの鶴ヶ島IC(埼玉県)付近で生じた渋滞がランクイン。

 5位が2022年1月2日に起きた45.9kmの渋滞、4位が2016年1月2日の49kmの渋滞であり、群馬県の藤岡JCT付近まで、実にインターチェンジ8つ分(スマートIC含む)をまたぐ渋滞となった。

 もともと関越道の鶴ヶ島IC付近は、中央道や東名、東北道などへと接続する圏央道への分岐や合流により、多方面から混雑の影響を受けやすい。またその手前にある高坂SA(埼玉県)付近も、速度低下が生じやすい箇所が連続することから、渋滞のメッカとして知られるポイントだ。

 結果として休暇シーズンの関越道においては、例年30km規模の渋滞が頻発しており、混雑や事故の程度によっては40km規模に至るケースも少なくない。長期連休の際にしばしば関越道を利用している人にとっては、「さもありなん」な結果だろう。

 なお年末年始の関越道上り線においては、「旅行・帰省先の雪を屋根に載せたまま走る車」がしばしば見かけられる。5位に入った2022年1月2日にも「ドカ雪を載せたミニバン」の画像がSNS上に投稿される など、ヒンシュクを買うドライバーが多く目撃されていた。

 雪の塊を載せたまま走る行為は言うまでもなく危険であり、落下して後続車に衝突したり、スリップを誘発させたりする可能性もある。出先で積もった雪は必ず、出発前に下ろしてから高速に乗るようにしたい。

3位は納得の「渋滞の王様」

 3位にランクインしたのは、言わずと知れた渋滞スポットである東名高速の綾瀬SIC付近。2022年の1月3日、上り線において59.1kmにも及ぶ渋滞が発生した。神奈川県の綾瀬SICから、静岡県の御殿場JCT付近まで伸びる長大な渋滞である。

 恐るべきは、この渋滞が「NEXCOによる予想の範疇」であった点である。さすがに60kmなどという数字は示されていないが、同日の渋滞予測を見ると、まず綾瀬SIC付近では最大30kmの渋滞が予想されていた。さらに、その渋滞末尾から10kmほど手前にある都夫良野トンネル(神奈川県)付近でも最大20kmの渋滞が予想されており、実際にはこの2つの渋滞が接続された形となったわけである。 

 もともと東名上りの綾瀬SICが含まれる海老名JCT~横浜町田ICまでの区間は、渋滞損失時間(渋滞によって乗員が通常時よりもロスした時間)の全国ランキングで例年ワーストに位置づけられるスポットだ。全国屈指の交通量に対し、綾瀬SIC付近における車線減少などが災いし、長期連休のたび30km規模の渋滞が発生している。

 なお先の関越道に続き、2022年の年始に発生した渋滞がここでも上位にランクインする結果となった。この他にも、2022年の渋滞は上位10位のうち4つを占めている。緊急事態宣言や蔓延防止措置が明けてからはじめて迎える年末年始とあり、全国的に大規模な交通混乱が生じたものと見られる。

2位は関東でも関西でもなく…

 2位は2015年の1月3日、九州自動車道上り線の広川IC(福岡県)付近で発生した59.5kmの渋滞だ。広川ICの先には福岡空港や太宰府天満宮、さらには長崎道および大分道との分岐・合流がある鳥栖JCTが位置しており、年始においては初詣やUターンラッシュで交通量が激しく増大する。

 またこの付近は速度低下が発生しやすいサグ部や、比較的大きな広川サービスエリアなど、混雑の要因を詰め込んだようなスポットであり、平時から慢性的な渋滞ポイントとなっている。九州を縦断できる高速道路が他にないことも、混雑に拍車をかけているだろう。

 加えてこの日は、上り線の八幡IC(福岡県)付近をはじめ複数箇所での事故が重なり、凶悪なまでの交通混乱が生じた。ピーク時には熊本IC付近から太宰府IC付近まで、断続100kmほど渋滞が続くような格好である。

 なお前日の1月2日も、九州道上り線では大規模な混雑が発生し、広川ICから55kmほど北に位置する古賀SA(福岡県)付近から44.8kmの渋滞が発生している。この渋滞は今回のランキングでも7位にランクインしており、この年始における九州道の混雑ぶりは全国的に見ても近年類を見ないほどのものだった。

1位は「迂回不可能」なあのルート

 渋滞長1位となったのは、2022年の1月2日に神戸淡路鳴門自動車道の川井谷トンネル付近で発生した60kmの渋滞だ。その名の通り神戸から淡路島を通り四国の鳴門へと至る道路だが、渋滞が起きたのは本州側へと向かう上り線。

 この自動車道は鳴門海峡と明石海峡という2つの海を越えるルートであり、有効な迂回手段がないことから、長期連休の際にはしばしば15kmほどの渋滞が発生する。

 加えてこの日は、淡路島の西淡三原IC~洲本IC間で生じた玉突き事故や、その後に生じたトラックの故障により、ほとんど交通マヒのような事態に陥っていた。

 SNS上でこの渋滞に巻き込まれた人の書き込みを見ると、「淡路島出るのに4時間以上かかった」といった報告や、PAのトイレ混雑やコンビニの品切れを嘆く声など、阿鼻叫喚が巻き起こっていたことが窺える。

 なかなか淡路島を抜けることができず、「本州に会いたくて震える」など、憂き目を耐える人々のしたたかさが感じられる投稿も見られた。

激ヤバ渋滞に共通する「ある法則」

 今回は上位5つの渋滞を紹介したが、参考までに上位10つの渋滞をまとめた表を掲載しておく。

 このように40kmを超えると、年末年始においては「その年の全国ワーストレベル」の渋滞規模となってくるようである。

 注目すべきは、10位までにランクインしたのがすべて「上り線」であるという点である。つまり帰省や旅行に向かう年末の下り線よりも、年始のUターンの方が混雑は激しくなるわけである。

 これは決して偶然ではなく、NEXCO各社による例年の発表を見ても、「Uターン時に渋滞回数が多くなる」という傾向がはっきりと読み取れる。

 昨年度は10kmを超える渋滞が下り線で計62回発生し、ピークは12月29日の17回。対して上り線では計82回、そのうちピークの1月2日に37回もの渋滞が発生している。 

 交通量そのものは年末の下り線と大きく変わっていないのだけれども、行きよりも帰りの方が「昼過ぎにゆっくり出発し、どこにも寄らずに家に向かう」というように、行動パターンが似通いやすいのかもしれない。

 そのため帰省にあたっては、出発する時間を早めたり、途中で降りて混雑時間帯を別の場所で過ごしたりと、「帰りを急ぐ動き」から外れる行動を取るとよさそうだ。

日本史上最悪の渋滞は…

 ちなみに過去に国内で発生した高速道路の渋滞のなかで、最長記録は154kmにも及ぶ。1995年12月27日、ゲリラ豪雪による通行止めなどの影響で、先頭は名神高速の下り線、滋賀県は琵琶湖の東側に位置する秦荘PA(現:湖東三山PA)付近から、岐阜県をまたいで東名高速へと路線を移し、愛知県は豊川市の赤塚PA付近まで車両滞留が続いた。

 154kmというのは実に「東京タワーから諏訪湖まで」の直線距離に相当する。大阪城から名古屋城までの直線距離が135kmというわけだが、この渋滞がどれだけ絶望的なものだったのか、想像しようにも規模が大きすぎてイメージできそうにない。

 どれほどイレギュラーな事態があったとしても、さすがに今後、これほどの渋滞は発生しないと信じたいものである。しかし年末年始のように人出が増える期間はとくに、予想もしないトラブルが重なるものだ。長距離移動の際には十分な食料や防寒対策、非常用トイレなど、車内で長時間を過ごすための備えをしておきたい。

(鹿間 羊市)

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