「とても普通には暮らせない」と…休養から復帰した壇蜜(44)が語る、5年間の別居婚と別れを切り出した日
文春オンライン / 2025年1月18日 11時0分
壇蜜さん
〈 周りから「特攻服に書かれてもおかしくないよね」と…壇蜜(44)が明かす、キラキラネームと祖父がつけた名前の由来 〉から続く
タレントの壇蜜さんの本名は、「支靜加」さん。旧字体の「靜」を使った3文字で「しずか」と読む。結婚前の本名「齋藤支靜加」は総画数が60画あったことから、書くのに苦労したといいます。
そして、2019年には漫画家の清野とおるさんと結婚。現在は「清野支靜加」さんとなった壇蜜さんに、名付けの由来から苦労話、また、別居婚が話題になった結婚から5年を迎えた現在の生活についてなど、話を聞いた。(全2回の2回目/ 最初から読む )
◆◆◆
今も西友で洋服を買っています
壇蜜さん(以降、壇) (以前、文藝春秋で撮影した写真を見ながら)懐かしいですね。このときは、私服で撮ってもらったんです。
――衣装じゃないんですね。
壇 自前です。トップスは三軒茶屋の専門店で買ったもので、パンツは西友ですね。
――壇さんは西友が好きだそうですが、ファッションでも西友を使われるんですね。
壇 今も西友で洋服を買うことが多いです。
――西友は店内で流れているBGMの選曲もいいですよね。
壇 西友はウォルマートの流れを汲んでいて、ウォルマートも選曲を重視しているそうですから。あそこはなんだかんだで、ウォルマートナイズされていますよ。
――西友といえば、西友の三軒茶屋店前で漫画家の清野とおるさんにプロポーズされ、2019年に結婚されました。当時は別居婚が話題になりましたが、現在もそのスタイルを継続されている?
心無いバッシングに「清野さんといっそ離れた方がいいのでは」と
壇 そうですね。ただ、ここ数年は私の体調が悪化して、2023年は1年の4割ほど入院していたので、結婚生活の中でもっとも離れた期間が長いものになってしまって。
当時は私が話すこともままならない状態で、清野さんまで苦しめてしまうつらさを感じていました。
――壇さんが体調を崩されたことで、清野さんも苦しい状況に置かれてしまっていたのでしょうか。
壇 私が入院したことで、「やっぱり別居婚なんかすべきじゃない」とか、「清野が壇蜜を病気にしたんだ」といった根も葉もないことを言われてしまって。
夫婦どちらかの具合が悪くなると、その原因や責任を配偶者に求めるきらいがあるのではないでしょうか。
――壇さんがお休みしたことで、夫である清野さんがバッシングを受けるようなことがあったんですね。
壇 ありもしないことを1年くらい言われ続け、彼はずっと苦しんでいました。それで一時は、清野さんや彼の家族の足手まといになるぐらいなら、いっそ離れた方がいいのでは、と思ったんです。
――壇さんから清野さんに別れを告げられた?
壇 どうしようもなくなったとき、「私と離れたほうが清野さんは責められなくてすむだろうから、別れたほうがいい」と話しました。私に起きた悪いことを全部、清野さんのせいにされてしまっては、復帰できたとしても、とても普通には暮らせないと思ったんです。
ただ、彼は、「支靜加がそう思うんじゃしょうがない」とは譲ってくれなかった。それが私にとっては逆にうれしくて、今は少し甘えさせてもらっています。
――心無い声に対しても、夫婦で対処していこうとされている?
壇 清野さんは、「『それは事実ではない』と発信できるのは支靜加と僕しかいないから、そんなあなたが離れていってしまうのはつらい」と言ってくれて。「ふたりでちゃんと歩んでいるところを見せるのが、変なことを言ってくる人に対する一番のアンチだ」ということで、お互いに一致しました。
結婚してからずっと変わらずに続けているビデオ通話
――別居を続けているということですが、決まった時間にビデオ通話をされたりしてコミュニケーションを取っているのでしょうか。
壇 それは結婚してからずっと変わらずに続けています。
――日々のビデオ通話ではどんな話を?
壇 私の家でオスのオカメインコを飼ってるんですが、オカメインコのくせに全身真っ白で、チークパッチもないんです。いとうあさこさんに見せたら、「それ、小さめのオウムなんじゃない?」と言われて、小さめのオウムだったらどうしようとか考えてたんですけども。
清野さんはそのオカメが大好きで、オカメも清野さんのことがすごい好きなんですが、いつも彼の尾羽はなぜか汚いんです。
なので、「今日もオカメの尾羽が汚いよ」と言うと、清野さんが「しょうがない鳥だね」ってやりとりをして。全身真っ白なのに、尾羽だけものすごく汚いオカメのずっこけな部分といいますか、完璧な鳥ではないオカメの様子を知るのを、彼は楽しみにしています。
――昨年11月22日の「いい夫婦の日」で結婚5周年を迎えられました。以前、結婚した理由について「自分が自活できるようになったから」と答えられていたのが印象的でした。
「共犯者同士が一緒にいるような夫婦」という存在
壇 私たちが結婚した理由というのは、まず、お互いに自活しており、仕事を大切にできているということがありました。病気もしましたし、今はちょっと不安なんですけど、1人になっても大丈夫だろうなっていう自信に揺るぎはありません。
誰かに頼らないと生きていけないから結婚する、という考え方とは真逆なんですけれど、でも、誰かに頼って生きていきたいという人の、それが言える強さというのも認めたいです。「私、誰かといないとダメなんだ」と言える人は、強い人ですよね。
そしてあともうひとつが、正面からこの国を信頼して真摯に日本国民としてやっていこう、みたいな気持ちより、どちらかというとこの国をちょっと引きで見て、「困った国だね。でも、過ごしていて楽しいね」みたいな、ちょっとこの国を俯瞰している共犯者のような感覚を共有できたことです。
――前回、お子さんを持たないことについて、「私と清野さんの2人で作り上げていく何かのほうが魅力的に感じた」というお話もありました。
壇 それは、日本という国から見たら無責任だったり、愛情なし、みたいに言われることも覚悟はしています。
ただ、私たちみたいな共犯者同士が一緒にいるような夫婦が存在することも、知っていただけたらな、と思います。
がっつり納骨してから人生を終わりにすることが目標
――自立したふたりが一緒にいるという意味では、籍を入れなくてもいいような気もしてしまうのですが、法律婚を選択したのはどうしてですか。
壇 清野さんや彼の親御さんが亡くなるとき、近くにいられないのが嫌だったんです。自分の両親含め、私が彼ら全員をがっつり納骨して、「はい、お疲れさまでした」と言ってから人生を終わりにすることを目標にしているので、籍を入れる必要があったんです。
だから私は、納骨がしたかったんでしょうね。
――思い描いている理想の「お見送り」はありますか。
壇 全然、何でもいいです。ただ、この国で埋葬するには焼くことが前提だと思うので、結局、写真とお骨だけ残って、何十年か後には何もなくなっていくでしょう。
でも、確実にその手助けをしたということで、「ああ、よかった」と思って安心してこの世を去りたい。家族の愛って、旅行に行ったり食事をしたりすることだけじゃなくて、彼らの後始末をちゃんとしてあげることが最大の愛、家族の最終形態だと私は思っているんです。
ずっと一緒にべったりではないけど、つながりはちゃんとある
――改めて、結婚生活の5年間を振り返っていかがですか。
壇 今、私の心や体の問題で清野さんにすごく遠慮させてしまっているので、これからもう少し距離が縮まったらうれしいなと思います。清野さんだって本当は一緒にどこか行ったり食事を取る機会も増やしたいでしょうに、それが現状、なかなかできずにいるので。
でも、清野さんは今漫画に集中して、私も治療に集中する時期だと分かってくださっている。ずっと一緒にべったりではないけど、つながりはちゃんとあることが分かっているので、しばらくしたら、物理的に一緒にいる時間が増やせたらこんなにうれしいことはないです。
――復帰についても思うところはありますか。
壇 毎日毎日、ちゃんと復帰できるのかどうか考えてしまいます。ただ、そればっかり考えてもしょうがないので、今は「清野支靜加」として生きることも、「壇蜜」として生きることも両方、何とか始められたということに集中しています。
今は地固めの時期なんでしょうね。一回緩んでしまった地盤を、もう一回立て直すようなタイミングなんだと思って、時間がかかっても、めげずにやっていけたらいいなと思います。
――デビューしてからここまで長くお休みをされたのははじめてですか。
壇 ゆっくり仕事をしている時期もありましたけど、入院というのは初めてだったので、2023年の30~40%を病院で過ごしたという事実は、私の中ではずっと重いものとして残っています。
でも、それを立て直せるように、私の時間に付き合ってくれる清野さんがいて、親やマネージャーがいることもわかった。皆さんの気持ちに応えたい気持ちはいっぱいあるけど、それがすぐにはできないもどかしさがあって。そのふたつの気持ちを抱えながら、投げ出さず、今をちゃんと生きようと思います。
写真=鈴木七絵/文藝春秋
(小泉 なつみ)
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