ギターでもなく、ドラムでもなく、歌でもなく…斉藤和義が考える奥田民生に“ずっと続けてほしいこと”
文春オンライン / 2025年1月13日 17時0分
©三浦憲治
〈 「朝起きたらLINEの未読メッセージが2000件あって。おっさん寂しいんだな(笑)」斉藤和義が振り返るカーリングシトーンズ結成秘話 〉から続く
斉藤和義にはソロ30周年を迎えた奥田民生に“ずっと続けてほしいこと”があるという。果たしてそれは……。(全2回の後編/ 前編 を読む)
◆◆◆
お酒が入ったとき、どんな話をするんですか?
――民生さんと飲んだりするときは、どんな話をするんですか?
斉藤 どういう話だろう。楽器の話が多いのかな。ギターだったり、機材だったり。だいぶ酔っぱらえば下の話もしますかね。
――やっぱりそうですか(笑)。
斉藤 そうそう、そんなのもあったりするけど、基本的に民はんはバーッと自分のことをしゃべる人じゃないから。聞けばそれなりに答えるけど、みずから進んで話すような人じゃないし。よく覚えてるのは、「息子」(95)っていう曲があるじゃないですか。前にあの曲について、「子どもができたから作ったの?」って聞いたら、「子どもが生まれる前に急にできた曲」とか言われて、「へえー」って。
ユニコーンの「働く男」(90)についても、「なんでああいうアレンジになってるわけ?」って聞いたら、「あれはミュージカルを作ろうと思ったんだよね」って、なるほどなと思うような答えが返ってくるんです。でも、なんせシャイな人だから、っていう印象がありますよね。お酒が入れば饒舌にもなるけど、入ってないと本当にシーンとしてる人で(笑)。「機嫌悪いの?」って思うくらい。
――YouTubeチャンネルで楽器や機材の話をしているときの民生さんは饒舌ですよね。
斉藤 そうそう。やっぱり好きなんでしょうね。シールドにしても、マイクにしても、こう録るとこういう音になるとか、音へのこだわりはすさまじいところがあって。ドラムも好きだから、例えば昔のシンバルスタンドはなかまで真鍮が詰まってるけど、最近のスタンドはなかが空洞になっていて、叩いた音色がこう違うとかね。どちらかというと、そういうマニアックな話が多いですかね。そういう俺の知らない話もいっぱい知っていて。
――で、酔っぱらうと砕けて、下の話になると。
斉藤 まあ民はんは基本的にしないので、俺がずっとしてるだけで(笑)。そうすると、乗ってくるときもあるっていう感じですね。
「民はんはダントツで歌がうまいと思うんです」
――カーリングシトーンズを結成して以降は、レコーディングで顔を合わせる機会も増えたと思います。ミュージシャンとしての民生さんの魅力はどこにありますか?
斉藤 いちばんは歌がうまいっていうところですかね。うまいというか、すごいというか。声量もそうだし、ピッチの正確さもそうだし、ハイトーンの高さもそうだし。うちらの世代だと、ダントツで歌がうまいと思うんです。
――民生さんの高音は、かなり高いところまで出ますよね。
斉藤 出るんですよ。ラウドネスに入れるくらい出る(笑)。あとなんだろう、もちろんギターもいいし、ドラムもいいけど、やっぱりいちばんは歌かな。
奥田民生に“ずっと続けてほしいこと”とは?
――民生さんは和義さんについて、本のなかでこんな話をしています。「もし僕が吉井和哉や斉藤和義くらい身長があったら、こうはなってない。間違いなく、もっとかっちょいい音楽をやっていたね(笑)」と。
斉藤 それ、すぐ言うんだよな、背の話を。でもどうなんですかね。背というより、イチモツは関係あるでしょうね。吉井くんを見てると、ああ、デカいんだろうなって思う(笑)。
――そうですか?(笑)
斉藤 ああいうスター性みたいなのはね、やっぱりデカくないと無理だろうなって。自信がないと、あの感じにはならないよねっていう。背よりもそっちのほうが大きいんじゃないかって、民はんには言いたいですけどね。
「しょうもないところにお金をかけるっていうか(笑)」
――人間的な面での民生さんの魅力というと、どんなところですか?
斉藤 多趣味ですよね。釣りやったり、ゴルフやったり。あと車も好きだし。いまは録音車を作ったりして、そういうしょうもないところにお金をかけるっていうか(笑)。それが素晴らしいなと思います。
民はんが自分のエフェクターボードを作ったときも、普通はオンオフスイッチを押すと赤く点灯して、オンだとわかるような仕組みなんです。でもステージ上で照明が混ざるとわかりにくい。だからオーダーして、オンにすると旗がピコッと立つようにしてましたもんね。バカだなって(笑)。そういうところはずっと続けてほしいです。
――和義さんも趣味でギターを作ったりしてますよね。
斉藤 もともとDIYで家具なんかを作っていて、作るものがなくなったあと、ギターを作るようになったんですよね。もちろんギブソンやフェンダーには絶対かなわないので、最終的には買ったほうがいいなと思うんです。でも切ったり削ったり、色を塗ったりしてるときに、もう何十時間でもやってられるっていうくらいハマってて。
――時を忘れるくらいのめり込むんですね。
斉藤 そうですね。ツアーが終わって、時間ができるとやってるんですけど。その途中経過を、またLINE会に送ったりして。最初のころはみんな「ワーッ!」とか言ってくれたけど、そのうちまたかみたいな(笑)。だんだん反応が薄くなってきましたね。
――民生さんにも和義さんにも、そうやって音楽や趣味を楽しんで、肩肘張らずに生きる自由人のイメージがあります。
斉藤 どうですかね。意外と俺はせっかちだし、四六時中なにかやってるんですよ。休みと言われても、どうしたらいいのかわからないタイプで。それこそDIYとか、なにかしら動いてるんですよね。実はボーッとできなくて。それは民はんもそうじゃないのかな。見てると、こだわりがすごいから。音楽だけじゃなく、釣りもゴルフも、めいっぱいやってますよね。料理もするし。だからオフでも休んでなさそうな気がしますけど。
ミュージシャンにとっての30周年
――昨年10月に行われた民生さんのソロ30周年記念ライブ「59-60」の初日に、和義さんはゲストで参加しました。バックステージなどで、民生さん本人になにかお祝いの言葉はかけましたか?
斉藤 打ち上げが楽屋のほうであったので、そのときは「おめでとう」みたいな感じになりましたけど、個人的にはないですかね。
――和義さんも昨年30周年を迎えましたが、そういう節目はミュージシャンにとってどれくらい大事なものですか?
斉藤 まあ個人的には、何周年だからってどうこうというのはあんまりなくて。10年くらい前の映画だと思うんですけど、ブリットポップを振り返るような作品があって、それを配信で観たんですよね。ブラーやオアシスのメンバーが出てきて、当時のブームはどうだったとかしゃべってて。
でもダサっと思っちゃったんですよ。20年やそこらで振り返っちゃうんだ、すごくかっちょ悪いなって。この人たちは進行形であることをあきらめちゃったのかなと。それは自分が30周年を迎えたからといっても、同じように思いますよね。普段はあまりやれない昔の曲をやる、そういう機会としてはいいなと思ったりするけど、ただ振り返ってるだけだとどうしようもないじゃんと思っちゃうので。
新しい曲も変わらない熱量でやってる
――和義さんも民生さんも、楽曲の制作やライブをコンスタントに行って、進行形のミュージシャンであり続けていますよね。
斉藤 やっぱり昔のあの曲のほうが好きだとか、キャリアを重ねてくると、どうしても言われたりするんですね。こっちも誰かの曲を聴いたときに、そう思ったりするし。たしかに30年前に出した曲は、聴いた人のその後の思い出とともにあるので、親密度が違いますよね。新しい曲はまだ染み込んでないだろうから。
でも自分としては昔の曲と変わらない熱量でやってるし、もっと熱を込めてるつもりでもあるし。その時点からまた時間がたてば、この曲はいいなと思ってもられるはずなんですよね。わりと評価の低かったローリング・ストーンズの90年代の曲も、いま聴くとやっぱりいい。
だからなんて言うのかな。どの時点の曲だって、そのときの器いっぱいに詰め込もうと思ってるし、昔の曲のほうがよかったとか言っちゃう人には、いや、こういうことなんですよって言いたいなって思う。それはわかる人にはわかってもらえると思うんですよね。俺に限らず、みんなそういう思いでやってるんじゃないかなと。だから何周年で過去の曲だけやって、楽しかったねーだったら全然意味がない。新しいものと同居させてやるならオッケーっていう考えではありますけどね。
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(門間 雄介)
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