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「被告人に死刑を!」韓国ではデモにまで発展…41歳の韓国人妻をバラバラにした元警察官(50歳)「殺人罪で起訴されなかった」驚きの理由(2011年の事件)

文春オンライン / 2025年1月11日 17時0分

「被告人に死刑を!」韓国ではデモにまで発展…41歳の韓国人妻をバラバラにした元警察官(50歳)「殺人罪で起訴されなかった」驚きの理由(2011年の事件)

韓国では「死刑を求める」デモにまで発展…犯人はなぜ殺人罪を逃れたのか? 写真はイメージ ©getty

〈 「人の足みたいなものが浮いています」バラバラにされたのは41歳の韓国人女性…警察官と犯罪者“許されざる愛”が招いた「悲劇のその後」(2011年の事件) 〉から続く

「被告人に死刑を!」――41歳の韓国人妻をバラバラにした元警察官(当時50)。ところが証拠不十分のため、殺人罪を逃れる結果に。その後、男はどうなったのか? 事件の結末をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/ 最初 から読む)

◆◆◆

夫を殺人容疑で逮捕したが…

 警察の捜査が始まると、美麗の知人たちは「関口が怪しい」と次々に証言したが、肝心の関口は“殺人未遂事件”の被害者として入院中だった。

 警察は2人が住んでいた自宅マンションの防犯カメラを解析し、美麗が失踪当日にマンションに入ってから、出てきていないことに注目。その後、関口が出てきて、美麗の預金通帳から金を引き出したり、ビニール袋やボストンバッグを持って、頻繁に出入りしていたことが分かり、「事件に関与したのは関口以外に考えられない」と判断。関口を殺人容疑で逮捕した。

 ところが、ここからが関口の本領発揮だった。関口は自作自演で自分の腹を刺したことや、遺体をバラバラにして川やゴミ捨て場に捨てたことは認めたが、美麗が死んだ経緯については、「口論になり、一度だけ体を押したら、倒れて頭を打って動かなくなった」としか答えなかった。

 殺害方法の立証責任はあくまで検察側にある。関口が遺体を18カ所に分割し、その一部である両足首が発見されたことをもって、死体遺棄罪と死体損壊罪では起訴できたが、死因が分からないため、殺人罪では起訴できず、「何らかの暴行によって死亡した」という傷害致死罪で起訴するしかなくなった。

 検察側は何とかして厳罰化しようと、美麗の預金通帳から金を引き出して、サラ金への返済に充てたという窃盗罪でも起訴したが、関口の弁護人は激しく抵抗した。

「あくまで証拠によって、裁判は裁かれるべきだ。おそらく殺しただろうという推測は許されないし、親族間の窃盗罪は成立しない」

「証拠を隠せば殺人罪を逃れられるのか」

 だが、これに拒否反応を示したのが裁判員たちだった。美麗の姉による「死体を隠し、証拠を隠せば殺人罪を逃れられるのか」という意見陳述が共感を呼び、関口は求刑12年を超える懲役13年を言い渡された。

「被害者を死亡させた後の行動は、傷害致死としても悪質だ。被害者が暴行によって、短時間で死亡したのは明らかであり、何ら救命措置を取ることもなく、洗剤を準備して直ちに遺体解体を行うなど、パニック状態に陥っていたとは到底考えられない。元警察官による残忍な犯行は、社会に与えた影響も軽視できない」

 この事件は韓国でも大々的に報道され、「被告人に死刑を!」というデモまで行われたが、その願いが叶うことはなかった。関口は具体的な殺害方法については、一切口をつぐんだまま獄中へと逃げ切ったのである。

(諸岡 宏樹)

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