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《元社員が告発》ニコンで残業月169時間の“殺人スケジュール”が横行「3日徹夜は普通。カフェイン錠剤で、眠気を飛ばす」

文春オンライン / 2025年1月14日 6時0分

《元社員が告発》ニコンで残業月169時間の“殺人スケジュール”が横行「3日徹夜は普通。カフェイン錠剤で、眠気を飛ばす」

異常事態が起きているニコン(公式Xより)

「この部署では、殺人的なスケジュールが常態化しています」

 そう語るのは、2023年にニコンに入社した元社員のA氏だ。A氏は長時間労働や上司からのパワハラによってうつ病を患い、翌年、退職した。

 一眼レフカメラで一世を風靡し、今や日本を代表する大手精密機器メーカー・ニコン。世界のデジタルカメラの市場シェアでは、キヤノン、ソニーに次ぐ3位につけている。

 そのニコンで、“異常事態”が起こっている。

「今日も明日も明後日も、徹夜でやるしかない」

 カメラメーカーとして知られる同社だが、全体の売り上げに対するカメラ関連事業の比率は、実は4割程度に過ぎない。

「デジカメ市場はこの15年右肩下がりで、今後さらなる縮小が予想される。他の主力事業として、半導体の製造に不可欠な『露光装置』と呼ばれる装置がありますが、この分野は競合が9割以上のシェアを占めており、ニコンは苦戦を強いられています」(経済紙記者)

 そこで2019年、新たな事業の柱を生むために「次世代プロジェクト本部」という部署が立ち上がった。ニコン最大の開発拠点・埼玉熊谷を拠点に、エンジニアら150~200名ほどが働く。A氏もこの部署に属していた。異変はここで起こった。

 入社して数カ月が経った2023年9月、A氏は課長から呼び出され、こう告げられた。

「次の3カ月で、新しいレーザー加工装置(金属をレーザーで削って加工する装置)を開発してくれ」

「そんな短期間ではできません」と応じると…

 この装置に使われる「リブレット加工」と呼ばれる技術は、ニコンが次世代の先端技術として売り出し中のもののひとつだ。通常であれば、開発に半年から1年はかかる。

「そんな短期間ではできません」とA氏が応じると「それを考えるのがお前の仕事だろ」と課長は一蹴。さらに抗議すると「うるせえ、黙ってやれよ」と叱りつけたというのだ。

 無茶な要求をしてきたのは、課長だけではない。

 12月には、30~40人が参加するプロジェクト会議で、同部署の本部長が「なんでこんなに遅れてるんだ、なんとしてでもスケジュール通り完成させろ」と大声で追及した。

「本部長があまりの勢いでまくし立てるので、みんな黙り込んでしまった。すると本部長は『誰も何も言わねーのかよ!』と怒鳴りつけた。まさにパワハラ会議でした」(A氏)

 トップからこう言われれば、社員はただ従うしかない。当時、同僚からA氏に対して、こんなチャットが送られてきている。

「本部長が直々に『やれよ』って言ったわけだからもう言い訳できんよ 今日も、明日も、明後日も徹夜でやるしかないやろ」

 さらにその同僚は、こう告げたという。

「今もひどいけど、前のプロジェクトでも3~4日徹夜は普通だったよ。コーヒーでは効かないから、カフェイン錠剤を砕いて飲んで、眠気を飛ばすんだ」

 ◆◆◆

 現在配信中の「 週刊文春 電子版 」では、最大月169時間、年間850時間に及ぶという残業の実態、若手社員が「インパール作戦」と皮肉る組織体制、ニコンから寄せられた回答など、ニコンで起きている“異常事態”について報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル)

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