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パパ垢から「妊娠、出産を大変がるな」と…過激化するママ垢界隈での酷すぎる誹謗中傷〈ルールは「義両親自慢NG」「夫のイクメンアピNG」〉

文春オンライン / 2025年1月25日 11時10分

パパ垢から「妊娠、出産を大変がるな」と…過激化するママ垢界隈での酷すぎる誹謗中傷〈ルールは「義両親自慢NG」「夫のイクメンアピNG」〉

ママが美容を気にするのはNGとする声

〈 1万円の化粧品を購入→「子供のご飯に金かけろ」と…誹謗中傷を受けたインフルエンサーが明かす、恐ろしいママ垢界隈のリアル 〉から続く

 ほんわかしたムードを醸し出している一方で、「義両親自慢NG」や「夫のイクメンアピNG」「先輩ママへの反論NG」といった暗黙のルールがあるとされているママ垢界隈。

 理不尽としか思えないママ垢ルール警察の取り締まりや誹謗中傷を受けた経験のあるインフルエンサーの杏さん( @apricot_candy_a )に、パパ垢主からママ垢主への攻撃、ママ垢同様に荒れることの多いママ向けウェブメディア掲示板の様子、誹謗中傷した人物への開示請求などについて、話を聞いた。(全2回の2回目/ 最初 から読む)

◆◆◆

ママ垢を攻撃するパパ垢主は「言うほど育児やってないんじゃないかな」

ーーママ垢に絡んでくる男性もいるとのことですが、そうした男性はパパ垢の垢主であることが少なくないのですか。

 そのへんはなんとも。バズったツイートに一度きりの中傷をしてくる人もいれば、粘着してくる人もいて、そこで男女どっちが多いのかまではわからないので。

 ただ、産後のむくみがどうこうといったDMを送ってきたのはパパ垢さんで、その方のアカウントを見てみたら「毎日、僕が子供を保育園に送っています」みたいな投稿が多かったので捨て垢でもないなと。

ーーパパ垢からママ垢への攻撃がある。

 まれにありますね。「うちの嫁がそんなことやってたら、絶対に許さない」みたいな。

ーーそれは「男の俺が仕事に加えて育児も頑張ってるのに、女のお前がなんなんだ!」的なところからの。

 そういうのあるんじゃないですかね。現実の世界では平社員で、いつも上司に怒られて、いつしか部下には抜かされて、みたいな人なのかなとは思っているんですけど。で、唯一偉そうにできる場所がSNSなのかなって。

ーー子育てすることが“逃げ”になっているような。

 そうそう。育児で大変だから、仕事に本気を出せないって言い訳ができるという。あと、今SNSで「育児してます」風の投稿をすると、それだけでちやほやされるじゃないですけど、称賛される部分ってやっぱりあると思うので。

「絶対、言うほど育児やってないんじゃないかな」っていうパパさんがいるんですよ。すごい「育児やってる」アピールをしてるけど、子供のオムツのサイズ知らないって感じで。

ーー「育児、甘くないわ」とか言っているけど、保育園の送り迎えと遊びに付き合っているくらいしかやっていないようなパパは、たしかに多そうですけどね。

 「育児どう?」って聞いた時に、「風呂入れたりしてるよ」って答えるパパって、まず育児してないんですよ。奥さんが服を脱がせてお風呂に連れてきた子供を入れてるだけで、その後にお風呂から出して、保湿したり、髪の毛乾かして、裸で走り回るのを服着せて、というのはやってないと思います。

ママ垢同等の修羅場感を醸し出す「ママ向けウェブメディア」の現状

ーーママ向けウェブメディアはチェックしていたりは。

 見てます。たぶん、私が育児のことを検索してるからだと思うんですけど、Googleの広告にそうしたサイトの掲示板やそこに載ってる漫画の広告が出てきて。漫画なんか、ちょっと読んでみたら「ああ、わかるわかる」となって続きが気になって見ちゃったり。

ーーそうした漫画の多くが、義母との仲の悪さや義理の妹との漂うムードといったものをテーマにしていますよね。ママ向けウェブメディアも方向性や指向性が、マタ垢、ママ垢と一致していますが、そういうものをママたちは欲していると思いますか?

 某出版社の方から聞いたんですけど、「ここ数年、スカッと系の需要がすごい」って。だから、義母だったり義妹だったりの話も、大体そういったオチが付くという話はされてましたね。

 でも、義母や義理の妹にやり返すなんて現実ではそんなにうまくいかないじゃないですか。「そんなに義母が嫌いなら縁切ればいいじゃん」って言われても、簡単にできることじゃないので。夫が味方してくれるとは限らないし。だから、共感と願望で読んでいるんじゃないですかね。

ーーママ向けウェブメディアの掲示板も、マタ垢、ママ垢に負けず劣らずの修羅場感を醸し出していますが、ママ垢界隈の人が掲示板に出入りしている可能性も。

 あると思いますよ。それもあって、私は家族の写真を一切載せていなくて。それがXに出回ったり、掲示板に貼られていろいろ言われたら大変じゃないですか。どこで悪用されるかわからないし。だから写真を載せるとしても、子供の手が写ってるぐらいのもので。

 でも、それだと「ほんとは子供なんて実在しないから、写真を載せられないんじゃないの?」とか言われます。

ーー「育児のことを呟くからには、子供がいることを証明してみせろ」というわけですね。

 こっちからすると、アンチみたいな人がいるのもわかっているなかで、わざわざリスクを冒してまで、そういうことを言ってくる人たちの信頼を得るのって別に必要じゃないかな、みたいな。

 以前、写真のことで「えー」と思ったことがあって。ママ垢ルールについて何度もDMを送ってくる人のアカウントを見たら、おうちの庭らしき場所に置いたビニールプールで遊ぶ子供の写真を載せてるんですけど、そのお子さんが全裸で。後ろ姿とはいえ、お尻とかプリンって写っていて。さらに「トイレのトレーニング中です」って感じで、大股開きで補助便座に座ってる様子を撮った写真とかもあって。

「ママ垢ルールには厳しいのに、こういうのは気にしないんだ」って思いました。

それはアレな…誹謗中傷するアカ主の傾向

ーー「ママ垢ルールについて何度もDMを送ってくる人」って、分刻みレベルで送信してくるのですか。

 基本的に、分刻みって人は少なくて。年に何人かいらっしゃるんですけど、だいたいメンタルの問題を抱えていそうだなって方になりますね。ちょっとスピリチュアルな感じの方からも、バーッと来ることがあったり。ただ、私にとってXって、いまでは1日に何度も見るものではなくなっていて。

 夜に、ひとつかふたつ、気になったことや自分の生活で起きたことをツイートして、その日のタイムラインをパーッと眺めて終わりっていう接し方なんですよね。なので、DMなんかの被害に遭うことが多くはなくなっていて。

ーー以前から、誹謗中傷やルール警察からのDMには凹まないほうだった。

 たまに、フォロワーさんがすごく心配してくれるときがあって。「これだけ言われていて、大丈夫なんですか?」みたいな。でも、私は一周回って面白いんですよ。

 こんなこと言うと反感を買ってしまうかもしれないけど、フォロワーが多いアカウントに対して絡んでみたところで、結局は有象無象でしかないんですよね。どちらにしろ、翌日になれば私は忘れているので。

ーー誹謗中傷した人を訴えたことは?

 何件かお願いしていて、いまのところすべて和解できてはいますね。裁判までは進んだことはないです。

ーーどんな人が誹謗中傷を。

 ひとりは、弁護士さんのところに連絡してきて「私、シングルマザーなんですけど?!」「シングルマザーなのに、和解金を払えってことですか?!」って、すごい剣幕で怒っていたそうなんですよ。「シングルマザーなんですけど」って言われても。

 もうひとりは、開示請求したら女性の方だったんですけど、「◯◯の夫です」っていうメッセージが届いたんですよ。「あなたに開示請求された恐怖で、私の妻は自殺しました。いますぐ取り下げてください」って書いてあって。

ーーさすがに、それはアレですね。

 思いっきり、生きていたんですけどね。その女性本人が夫だと名乗って、「取り下げてください」とメッセージを送ってきたという。調べてもらったら、全然生きてて、実家住みの40代の女性でした。

結局、マタ垢、ママ垢界隈は図太い人間しか残れない

ーーマタ垢にしろ、ママ垢にしろ、ルールを守ってさえいれば、安泰に呟いていられるってことなんでしょうかね。

 人によると思うんですよね。けっこう前にアカウントを作ってインフルエンサーとしてやってきたのに、誹謗中傷に耐えられなくてやめていく子って多かったので。結局、図太い人間しか残れない。「私は私のやりたいようにやります」っていうのって、もともと図太い人間しかできないことなんだなとは思うので。

 もちろん「流されちゃったほうが楽だ」っていう人もいるだろうし、ルールを守ることで結束感みたいなものを感じて楽しい人もいるんだろうし。「女子は群れたがる」ではないですけど、みんなと一緒だったり、同じだと安心するとか。

ーーそれでもいいと感じる人は、ずっとルールを遵守しながら、アカウントを守っていくわけですか。

 マタ垢、ママ垢から、別のフェーズに移動しながら続けていくんじゃないでしょうか。ママ垢は0歳から3歳の未就園児のママがやっているわけですけど、その子たちが進学するにしたがって、幼稚園ママ界隈とか少年スポーツ界隈が待ち受けているらしいので。

 それこそSNSがない時代は、そういうのが「ご近所」だったんじゃないかなと思うんですよ。井戸端会議だったり、町内会の婦人部みたいなものとかでも、似たようなことはあったと思うんです。空気を読んで愚痴しか言っちゃいけないみたいなのとか。

ーー杏さんは、「マタ垢やママ垢があって、良かった」と思えたことってありましたか?

 私、つわりがひどくて入院したんですよ。病院から「ここまでひどくなる妊婦さんは、全体の1%いるかいないかだよ」と言われて、「自分だけなのかな。どこかおかしいのかな」って落ち込んで。でも、Xには同じようにひどいつわりに悩んでいて、出産予定日も近い妊婦さんがけっこういて。「私だけじゃないんだ」って思えたし、「あれなら食べられた」とか情報を交換できたりしたんですよ。

 やっぱり、そういう部分では救われたし、マタ垢、ママ垢があるのも理解できるんですけどね。

(平田 裕介)

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