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娘に“わいせつ行為”をして逮捕された夫を待ち続けるのは「『この人しかいない』と思わせてくれる魅力がある」から…“異様な家族関係”はなぜ成立しているのか

文春オンライン / 2025年1月21日 11時0分

娘に“わいせつ行為”をして逮捕された夫を待ち続けるのは「『この人しかいない』と思わせてくれる魅力がある」から…“異様な家族関係”はなぜ成立しているのか

自身の足元を写した

〈 「確かにダメな人です。ただ、私にとっては…」無職のひき逃げ犯との獄中結婚を決意した女性が明かす、塀の外で夫を待ち続けるワケ 〉から続く

 身近な人が犯罪を犯してしまったら、あなたはどのような反応をとるだろうか。

 吉川あゆみさん(仮名、40代)は離婚した夫(以下、A氏)を待つ“待ち人”だ。A氏の罪名は監護者わいせつ罪・監護者性交等罪。懲役7年以上の刑に現在も服している。吉川さんはA氏の前に結婚した相手との間に生まれた娘を連れてA氏と再婚したが、その娘に対するわいせつ行為で逮捕されたのだ。

 吉川さんはなぜ、実の娘に性的虐待を行い離婚までしたA氏の出所を待っているのだろうか。

◆◆◆

突然、娘はA氏からの性被害を告白した

 吉川さんが生まれ育ったのは西日本のとある都市。初めての結婚は18歳のときだった。そのときの夫とは25歳で離婚、その後、A氏と再婚した。34歳頃には3人で一緒に暮らすようになり、10年が過ぎた。しかし娘が20歳を超えていた2022年、事態が急変した。

「A氏と娘の仲は良好で大きな摩擦もなく、父親として頼れる存在だと思っていたのですが、ある日『ついてきてほしい場所がある』というので行ってみると、そこは性被害を相談するためのNPO法人でした。そこで娘は、Aからの性被害を告白し始めたのです。

 いわく、小5で最初に再婚相手と性行為をし、断続的に関係を持っていたというのです」

 取材中、吉川さんの口ぶりから、娘を100%の被害者とは考えていないかのような印象を受けたので率直に尋ねてみた。すると、こんな理由があるという。

「昔から何となく雰囲気がおかしいときがあり、2人の関係性が普通の親子ではないと薄々勘づいていた部分があったんです。振り返ってみても男女の意味で親密で、Aが娘に無理やり性行為を行っていたとは思いづらいといいますか。

 娘からの告白を受けた後、Aに確認を取ったところ、彼がアダルト動画を見ていることに気づいた娘にせがまれて性行為をしていたようです。

 当初、Aは性行為はできないと断ったらしいのですが、してくれないなら祖父母の家にいた加害男性のところへ戻ると脅され、折れてしまったと言っていました。

 娘は中学生のころ、ネットゲームを介して知り合った男性と交際するようになりました。オンラインの関係性だったので、性行為はなかったようです。しかしその男性に振り回されて悩む姿を見て、Aは慰める意味で性行為を行い、わいせつ行為が再開するきっかけになったと言っています」

「あの子が俺との子どもがほしいと言ったんだ」

 さらに驚くのは、娘との性行為が発覚したあとのA氏の弁だ。

「Aは、娘が『あの子が俺との子どもがほしいと言ったんだ』と悪びれず言いました。あわせて、『俺たちには子どもがいないし、もし子どもができれば、あゆみも孫ができるから嬉しいかなと思って』と言うんです。呆れました」

 にわかには信じ難い行為や言動を目の当たりにしながら、それでもA氏の出所を待つ吉川さん。性的な感覚がかなり一般と異なるのではないか。吉川さんには、思い当たる節があるという。

「私は幼いころ、父方の祖父母と同居をしていたんですが、父はほぼ無職で、なおかつ家にもいないような状況でした。そのとき、母は祖父――彼女からみた義父――と日常的に性行為をしていたんです。就寝中の私の隣でしているので、すぐに気づきます。子どもながら、見てはいけないものだとわかりました」

 その後、父母は離婚し、吉川さんは母に引き取られた。しかし、母はギャンブル依存気味で経済力がなかったので、親戚の家に身を委ねることになったのだという。

「家庭内暴力をする親戚もいて、悲惨な生活を強いられました。そこでやぶれかぶれになってか、私は14歳くらいのときに母の再婚相手と性行為をしたんです。母も特段それがおかしいと思わないようで、黙認していました」

 その後、吉川さんは交際相手の家に転がり込み、18歳で結婚したのは冒頭で紹介した通り。当時は「とにかく家庭から逃れたくて、男なら誰でもよかった」と振り返る。

「総じて、育った家の感覚が通常とはかけ離れていたと思います。そうした背景もあって、私自身、性行為に対して鈍麻しているのかもしれません」

「まだ先は長いですが、気長に彼を待つつもりです」

 吉川さんには、娘に対してもうひとつ引っかるところがあるという。

「Aは娘との行為を動画に収めてもいたので、証拠も明らかだと被害届を出し、Aも自分の意志で自首をしたため、事実が発覚した後、すぐに逮捕されました。この間、私たちの家に娘が荷物を取りに来たのですが、『私、ある年齢になったらパパと結婚をしようと思っていたのに』と私に耳打ちしてきたんです。娘の“女”の部分をみた気がして、いい気持ちがしませんでした。

 そもそも、それならばなぜAとの関係を捜査機関に話したのか、意味がわかりません。唯一心当たりがあるのは、その当時娘が交際していた相手のことです。娘は彼に、Aとの関係についても赤裸々に話していたそうです。彼氏の気を引こうとして告白したのだと思うのですが、かえって彼氏は怒ってしまい、『警察へ相談したほうがいい』となってしまい、引っ込みがつかなくなったのだろうと思っています」

 吉川さんは自分の娘をどのような人物だとみているのか。

「至って普通の子どもだと思うんです。明るくて、今流行りの“推し”もいて。母娘の関係性もいいとは思っていたんですが……。ここ最近はパパ活もやっているらしく、『パパ活をするのは自由だけど、正式な彼氏でもない人を私たちの自宅には連れてこないでね』と伝えたことはあります」

 性犯罪で服役するA氏との離婚は、今夏に成立した。それでも吉川さんはA氏の出所を待っている。いったいなぜなのか。

「これまで私は、男性にあまり期待をしてこなかったと思います。お嫁さんである母と性行為をする祖父、家庭内暴力をする親戚、私の身体を弄ぶ母の再婚相手など、良い記憶がないんです。しかしそんななかで、Aは私と話のテンポも合い、優しく頼れて、『この人しかいない』と思わせてくれる魅力があるんです。

 Aが出てくるまで7年以上、まだ先は長いですが、気長に彼を待つつもりです」

(黒島 暁生)

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