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「イーロン・マスクをよき理解者として囲い込む」中国政府が狙う“対トランプ戦略”とは?

文春オンライン / 2025年1月13日 6時0分

「イーロン・マスクをよき理解者として囲い込む」中国政府が狙う“対トランプ戦略”とは?

イーロン・マスク氏 Ⓒ共同通信社

まもなく米大統領に就任するトランプ氏は、”EV嫌い”として知られている。しかし、最近では「中国製のEV以外は賛成」と発言するなど、変化の兆しが見えるという。

◆◆◆

米国市場の“EV離れ”は決定的

 久保 2023年後半には、米国市場の“EV離れ”は決定的になりました。フォードがEV戦略の目玉に据えた「F-150ライトニング」という電動ピックアップトラックは、牽引すると80マイル(約130km)しか走らない。そもそも、米国内に充電施設が整っていないうえ、補助金を使っても割高だというので、消費者からそっぽを向かれてしまった。大型で頑丈な自動車を好むアメリカの中間層・労働者層がEVを選ぶ理由が見当たらないのです。脱ガソリンの急先鋒だったEUも、2035年以降のエンジン車販売禁止方針を一部見直し、合成燃料やバイオ燃料など炭素中立燃料に限り容認する方向です。

 2023年夏以降、自動車メーカーの明暗は、優れたハイブリッド製品の有無ではっきり分かれました。トヨタやホンダ、フォード、ステランティスはHEVやPHEV(プラグインハイブリッド車)が好調な一方、BEV一本槍にしていたGMやHEV製品が薄い日産はいま重大な危機を迎えています。ホンダを含む新たな経営パートナーを探す交渉の背景には、こうした激変する自動車産業の過酷な実態があります。

 柯 トランプがEV嫌いといっても、選挙戦の中盤にイーロン・マスク氏が陣営に加わった頃から急に「中国製のEV以外は賛成」と言い出しましたよね。

 フクシマ マスク氏はトランプ再選のために約1億8000万ドルもの巨額献金を行なった最大の功労者ですからね。

 柯 君子豹変す、ということがあるのかどうか。

マスク氏は中国のよき理解者?

 久保 マスク氏とトランプ氏は是々非々の関係にあると言えます。自動運転では規制緩和で利害が一致していますし。その2人がEVについて何処に落し所を見つけるのか、自動車業界は注視しています。

 対中関係でいえば、中国ともっとも仲良くビジネスをしてきたのがマスク氏です。上海テスラが培ったサプライチェーンをメキシコの新拠点に持ち込んで、2.5万ドルの世界一安いEVを作ろうとしていたら、その計画がバイデン政権に阻止されたので、いまテキサス州オースティンの新工場「ギガテキサス」で実現させようとしている。

 柯 中国政府は、マスク氏を中国のよき理解者として囲い込む作戦のようです。無論、対中担当の閣僚や補佐官ではありませんので、マスク氏がどこまでトランプ政権で影響力を持つのかわかりませんが、トランプ氏との懸け橋となってくれることを期待している。

 久保 安く作ろうとすれば中国に頼る部分を増やさざるを得ませんからね。マスク氏がEVにおける世界のサプライチェーンネットワークをどう調整していくか、注目したい。

※本記事の全文(約1万7000字)は「文藝春秋」2025年2月号と「文藝春秋 電子版」に掲載されています(池田祐久、柯隆、久保鉄男、グレン・S・フクシマ「 トランプ大統領の世界貿易戦争 」)。全文では、下記の内容をお読みいただけます。

・ 関税は商務省が主導へ
・関税25%で一番困るのは米の自動車メーカー
・ディール外交の攻略法
・トランプ政権と台湾問題はどうなるか
・日本は4、5番目のターゲットになる
・松山英樹氏を国連大使に?
・「トランプ3.0」の可能性

(池田 祐久,柯 隆,久保 鉄男,グレン・S・フクシマ/文藝春秋 2025年2月号)

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