無差別に町民を皆殺しに…「突然の崩壊」シリア・アサド親子の独裁はなぜ50年以上続いたのか? “恐怖政治”の実態は…〈池上彰氏が解説〉
文春オンライン / 2025年1月17日 6時10分
2024年12月13日、アサド政権崩壊後最初の金曜日、シリア全土で祝賀行事が行われる様子 ©ABACA PRESS/時事通信フォト
Q アサド政権崩壊…そもそも、アサド一族がこれほど力を持っていたのはなぜ?
シリア・アサド政権が崩壊したと報じられました。故ハフェズ・アサド前大統領から、息子のバッシャール・アサド大統領まで、シリアで半世紀以上アサド親子による独裁体制が続いてきたとのことですが、なぜ今回崩壊に至ったのでしょうか? また、そもそもなぜアサド一族がこれほど力を持っていたのでしょうか。(40代・男性・自営業)
A 父親の恐怖政治が苛烈だったからです
突然の崩壊で驚いた人は多かったですね。アサド一族がこれほど権力を持ってきたのは、アサド大統領の父親の恐怖政治が苛烈だったからです。1982年、反政府勢力グループがハマという町に逃げ込んだとき、故ハフェズ・アサド前大統領は無差別に町民を皆殺しにして建物を全て破壊しました。「ハマの大虐殺」と呼ばれます。諸説ありますが、少なくとも1万人以上が犠牲になったと言われています。
息子のアサド大統領も父親の路線を継承し、密告社会を築き上げたので、長期政権が続いていたのです。
イスラエルの攻撃でヒズボラが弱体化
「アラブの春」によって民主化運動が起きた際、シリア政府軍は民主化勢力を弾圧するように命じられましたが、命令に従わなかった兵士たちが離脱。内戦になりました。しかし、政府軍に残った兵士も、かつての仲間を攻撃する気になれず、シリア政府軍は苦戦。それを見たイランがヒズボラを送り込んだり、ロシアが空爆をしたりしてアサド政権を支援したので、辛うじてアサド政権は存続してきました。
でも、イスラエルの攻撃でヒズボラが弱体化し、ロシアもウクライナとの戦闘で余裕がなくなった結果、支援を失った政府軍は自壊したのです。
(池上 彰)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
ガザ戦闘で停戦に合意 19日発効 イスラエルとハマスが人質ら身柄交換、支援物資搬入へ
産経ニュース / 2025年1月16日 2時29分
-
プーチンはシリア政権崩壊前からアサドの電話に出なくなっていた
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月9日 17時32分
-
内戦・難民、核、中東…難問山積の国際社会=24年暮れの三つの記者会見に参加して
Record China / 2024年12月31日 19時0分
-
「親子2代50年以上の支配の終焉」国際テロ情勢の観点からアサド政権崩壊を考える
ニューズウィーク日本版 / 2024年12月29日 8時9分
-
クルド人はなぜ日本に住むようになったのか…「国を持たない最大の民族」の苦悩の歴史
プレジデントオンライン / 2024年12月28日 18時15分
ランキング
-
1トランプ氏、バイデン氏直筆手紙の内容公開 伝統の就任はなむけ
ロイター / 2025年1月22日 14時24分
-
2トランプ政権、石破茂首相への関心低く「ディール」対象外か 安倍氏の名は折に触れ言及
産経ニュース / 2025年1月22日 17時35分
-
3米のパリ協定再離脱、残念だが驚きではない=仏中銀総裁
ロイター / 2025年1月22日 11時56分
-
4国家インフラ安全対策担当を「お前はクビ」…トランプ大統領「報復」人事で公務員1000人超解雇へ
読売新聞 / 2025年1月22日 13時47分
-
5「米国人になりたくない」 グリーンランド首相
AFPBB News / 2025年1月22日 15時46分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください