東大生の2人に1人は世帯年収950万円超えの“富裕層出身”…国立大学のトップ・東大が20年ぶりに授業料を値上げした背景
文春オンライン / 2025年1月21日 6時10分
東大の赤門 ©GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート
2024年9月、2025年度の学部入学者から授業料を約11万円引き上げると発表した東京大学。なぜ東大は、20年ぶりとなる値上げに踏み切ったのか?
ここでは、朝日新聞の取材班が、国立大学の実態を明らかにした『 限界の国立大学——法人化20年、何が最高学府を劣化させるのか? 』(朝日新聞出版)より一部を抜粋して紹介する。(全2回の1回目/ 2回目 に続く)
◆◆◆
東京大学が20年据え置いてきた授業料を値上げ
東京大学は24年5月、05年度から20年据え置いてきた授業料を値上げする考えを、各学部長・大学院研究科長らに説明した。
国立大学は、文科省が定める「標準額」(05年度から53万5800円)の1.2倍を上限に、授業料を自分たちで決めることができる。東京大学は25年度に入学する学生から、学部も大学院もすべて、この上限にあたる64万2960円に引き上げようと考えた。
学部がある全国82の国立大学の中で、値上げの方針を示したのは東京大学が初めてではない。18年までは、全国の国立大学は、どこでも学部授業料は標準額だったが、19年度に東京工業大学と東京藝術大学が約2割の値上げに踏み切った。その後に、東京医科歯科大学や一橋大学、千葉大学、東京農工大学も2割値上げしている。
「教育環境の国際化やデジタル化」が理由と説明
それぞれ、教育・研究の国際化などを理由としている。本来そうした予算は運営費交付金でまかないたいところだが、いっこうに増えない状況を受け、批判を覚悟で値上げに打って出たのだ。
東京大学では、藤井輝夫総長が24年6月、学生に対してオンラインで授業料改定について説明する「総長対話」を実施した。値上げの理由に挙げたのは、「教育環境の国際化やデジタル化」だった。
藤井総長は、取り組みたいと考えているが、光熱費などの高騰で進めることができないと説明し、「教育環境の改善に使える予算は、運営費交付金と授業料だ。運営費交付金が抑制されているうえに、光熱費や物価の高騰で支出が増えるなか、実現させるには授業料を上げるしかない」と述べ、理解を求めた。
「なぜ東大は授業料を値上げしなくてはならないほどお金に困っているのか」
「東大は国からたくさんの予算を回されているはずなのに、なぜ授業料を値上げしなくてはならないほどお金に困っているのか」。そう感じる人は多いだろう。東京大学は、大阪大学に次いで国立大学で2番目に学生が多く、教員数は最も多い。このため常に、国から配分される運営費交付金の金額は最も多い。
そんな東京大学でも、法人化した04年度には926億円受け取っていた運営費交付金は、23年度は847億円まで減った。そこで収入源を増やそうと、企業などとの共同研究や寄付金の獲得などに力を入れてきた。取り組みの甲斐あって、収入額は04年度の2067億円から23年度は3082億円に増えた。
ノーベル賞につながる成果を挙げてきた素粒子観測施設の後継として、岐阜県飛騨市に「ハイパーカミオカンデ」を整備するなどとして「大学債」を発行し、その高い信用力を生かして300億円を集めたこともある。
東大生に裕福な家庭の出身者が多いことも値上げの一因に
一方で、世界の大学などと競い合っていくためには、最新の研究施設・設備を整備したり、国内外の優秀な教員や研究者を集めたりしなければならず、巨額の資金が必要となる。いずれ返済が必要になる大学債の発行にも限度があるうえ、光熱費の高騰で支出が年数十億円も増えている。このため、学生が直接恩恵を受ける教育環境の改善に回す予算が確保できないという。
東京大学の収入全体からみれば、23年度の「授業料、入学料、検定料収入」はわずか5%(149億円)だ。当初に値上げによって見込んだ増収も約29億円で、見かけ上の効果は限定的だ。それでも同大幹部は、授業料値上げの意義をこう説明する。
「全体から見ると額は少ないが、使途に制約がある寄付金や共同研究の資金などと違って、何の『ヒモ』もついていない。授業料収入は、大学にとって一番使いやすいお金だ」
東京大学が20年ぶりの値上げを検討する背景にはもう1つ、東大生には裕福な家庭の出身者が多いという事情がある。21年度に同大が実施した学生生活実態調査によると、世帯年収が950万円以上の学生は54%と半数を超える。高い学費を払って中学受験の塾で学ばせ、私立の中高一貫校などに通わせてきた世帯が多い。このため、学内には「授業料値上げの影響は限定的」との見方があった。
〈 「東大が『お金持ちしかいけない大学』になる」東京大学の20年ぶり「授業料値上げ」に東大生が抱く“危機感”「全員が恵まれているわけではない」 〉へ続く
(朝日新聞「国立大の悲鳴」取材班/Webオリジナル(外部転載))
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