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【写真あり】極小ビキニで抜群のスタイルを披露、丸刈り姿も美しい三蔵法師で人気者になっただけじゃない…27歳で亡くなった女優「夏目雅子」が残したもの

文春オンライン / 2025年1月19日 11時10分

【写真あり】極小ビキニで抜群のスタイルを披露、丸刈り姿も美しい三蔵法師で人気者になっただけじゃない…27歳で亡くなった女優「夏目雅子」が残したもの

早逝の女優・夏目雅子が残したものとは―― ©文藝春秋

 丸刈り姿で挑んだドラマ「西遊記」の三蔵法師、「なめたらいかんぜよ!」と啖呵を切った映画「鬼龍院花子の生涯」だけじゃない…。1985年、27歳の若さで逝った女優・夏目雅子さん。短い芸能人生で、多大な影響を残した彼女の人生を、朝日新聞編集委員で、昨年10月に亡くなった小泉信一氏の最後の書『 スターの臨終 』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

◆◆◆

夏が似合う昭和の名女優

 演技が良かった。美しかった。活躍した時期が自分の青春と重なる――。人によって理由は様々だろう。朝日新聞の朝刊beが「あなたが選ぶ昭和の名女優」と題し読者アンケートをしたことがある(2011年2月12日掲載)。

 夏目雅子は、吉永小百合に続く2位。ちなみに、3位は大原麗子、4位は八千草薫、5位は池内淳子(1933-2010)だった。

 急性骨髄性白血病に侵され、1985年9月11日、肺炎のため27歳で早逝。清純でキラキラ輝く美しいイメージのまま、突然、私たちの前から旅立った夏目は、人々の心の中で永遠の存在になった。若くして難病で亡くなった悲劇が、「永遠の聖女」として語り継がれる要因になった。死後、何度も夏目雅子ブームが起きたのは、亡くなったことで神格化され、汚すことができない存在となったこともあるだろう。

 それにしても、白血病とは……。しかも、女優として脂が乗り、これからの活躍が期待されていたときである。

 白血病とは骨髄など造血組織にできる悪性腫瘍だ。白血球が異常に増え、血液を通して病気が全身に広がるため治療が難しいとされる。夏目は東京・新宿区内の病院で亡くなったが、病院には新宿の夜景が見えるフロアがある。筆者もその病院に入院したことがあり、夜景を見るのが楽しみだった。夏目も黄金のようにキラキラ輝くネオンの海を眺めたに違いない。

 夏目は1957年12月生まれ。実家は東京・六本木で輸入雑貨店を営んでいた。東京女学館小学校から同中学校、同高校へ進学。

 10代のとき、ヴィットリオ・デ・シーカ監督(1901-1974)の映画「ひまわり」(1970年)を見て主演のソフィア・ローレンに憧れ、女優への道を志したといわれる。

 芸能界入りを両親は猛反対したらしいが、東京女学館短期大学に在学中の1976年、日本テレビのドラマ「愛が見えますか…」のヒロインに選ばれる。

 1977年にはカネボウ化粧品のキャンペーンガールに抜擢され、ヒットCM「Oh!クッキーフェイス」に出演した。こんがりと日焼けした小麦色の肌。

 夏目は抜群のスタイルのボディーを、極小ビキニで惜しげもなく披露した。「夏目」の芸名は、このCMが夏をイメージするものだったことから生まれたという。たしかに、あの笑顔は、ヒマワリが咲く夏がよく似合う。

 海に浮かべたフロートに寝そべったり、ビキニ姿でラクダに乗ったりする彼女の姿は衝撃的だった。当時の夏目は19歳。このときのCMディレクターが、後に夫となる伊集院静(1950-2023)だったという。

丸刈り姿も美しい三蔵法師で人気者に

 翌1978年には、ドラマ「西遊記」(日本テレビ)で丸刈り姿も美しい三蔵法師を演じ、お茶の間の人気者になる。本来は男性である三蔵法師を、女性の夏目が演じたことが話題を呼んだ。高貴で中性的な三蔵法師の誕生である。夏目の起用は大成功。ドラマは大ヒットである。夏目の知名度が一気に全国区にアップしたことは間違いない。

 そのころ筆者は、小説家・横溝正史(1902-1981)原作のサスペンスドラマシリーズ(TBS系/毎日放送制作)を毎週のように見ており、「悪魔の手毬唄」で夏目がヒロインを演じたのをよく覚えている。ドロドロとした血なまぐさい連続殺人事件が中国地方の山深い里で起きたのだが、夏目が登場したことでドラマに爽やかな風が吹き込んだように思えた(もちろん彼女は犯人ではない)。

「なめたらいかんぜよ!」と夏目が啖呵を切った映画「鬼龍院花子の生涯」(1982年)も懐かしい。彼女は同作でブルーリボン賞の主演女優賞を受賞。土佐弁のこのセリフを、あのころはみんながマネした。

 筆者は、夏目の死の前年に公開された遺作映画「瀬戸内少年野球団」(1984年)を推したい。原作は作詞家・阿久悠(1937-2007)の自伝的小説だ。敗戦直後の兵庫県・淡路島を舞台に、野球を通じて児童らの心を支えようとする夏目扮する小学校教師・中井駒子と、彼女を取り巻く人々の物語である。

 撮影の合間の1984年4月6日、こんなことがあった。

〈 不治の病と言われた「白血病」のため27歳で死去→最愛の妻を失った夫は酒とギャンブル漬けに…女優・夏目雅子の死がもたらした衝撃 〉へ続く

(小泉 信一/Webオリジナル(外部転載))

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