不治の病と言われた「白血病」のため27歳で死去→最愛の妻を失った夫は酒とギャンブル漬けに…女優・夏目雅子の死がもたらした衝撃
文春オンライン / 2025年1月19日 11時10分
27歳で亡くなった女優・夏目雅子さん ©文藝春秋
〈 【写真あり】極小ビキニで抜群のスタイルを披露、丸刈り姿も美しい三蔵法師で人気者になっただけじゃない…27歳で亡くなった女優「夏目雅子」が残したもの 〉から続く
「大女優になるより、いさぎよく生きたい」――生前、そんな言葉を残した女優・夏目雅子さんだが、彼女の生涯は27歳のときに終わりを迎えてしまう。最愛の妻の喪失に悩み、見事復活した夫・伊集院静さん、がん治療による脱毛に悩む人たちを救うため「夏目雅子ひまわり基金」を設立した実兄など、後世にまで影響を与えた夏目雅子さんの人生を、新刊『 スターの臨終 』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の2回目/ 最初 から読む)
◆◆◆
夏目ら俳優陣や篠田正浩監督をはじめとするスタッフが、ロケ地となった徳島県阿南市立新野小・中学校の共用グラウンドに集まった。参加した地元エキストラは子どもを含めて約300人。その時撮った記念写真がある。割烹着の女性らの中で、野球帽の夏目が笑っている。強烈なエロチシズムを持ちながら、品格を漂わせていた夏目に、周囲の人は爽やかな感動を覚えたに違いない。
さらに、同作の撮影中には、ホームシックの子役らと一緒に風呂に入ったり、漢字の勉強を手伝ったり……。人気女優とは思えないほど、気さくで思いやりのある人だったという。
単なる美しい女優ではなく、演技がしっかりしていて芯もあったのだろう。うるさ型の映画監督からの評判もよく、「再び使ってみたい女優」としてはナンバーワンだったそうである。
「公演をやめろと言うなら死んでやる」
1985年2月、西武劇場(東京・渋谷)の2月公演「愚かな女」で主役を務めていた夏目は疲労感を覚え、同14日夜、前述した都内の病院で医師から入院を宣告された。公演は中止になった。このとき「公演をやめろと言うなら死んでやる」と夏目は叫び、泣き崩れたという。
筆者も14年前にがんになり、病巣を手術で摘出。放射線治療も始め、一度は落ち着いたかと思ったが、数年前から再び様子が悪くなった。がんが再発し、ステージも上がったことを主治医から告げられた。その瞬間、目の前が真っ暗になった。
夏目は病が発覚したとき、まだ27歳。しかも当時は「不治」のイメージが強い白血病である。その衝撃はいかばかりか。
この年の9月11日に夏目は旅立ち、最愛の妻を失った伊集院は激しい喪失感にさいなまれ、運命を呪い、酒とギャンブルに溺れる日々を過ごしたという。だが、そんな伊集院が這い上がるきっかけになったのが小説だった。
夏目は生前、夫の文才に惚れ込み、多くのクリエイターに売り込んでいた。胸の中に湧き起こる無念さ、哀しみを同居させながら執筆を続けることが、伊集院にとって生きる糧になったことは間違いない。
夏目が亡くなってから8年後の1993年、実兄で会社社長の小達一雄が、がん治療の副作用で頭髪が抜けて悩んでいる患者のため、かつらを無料で貸し出す「夏目雅子ひまわり基金」を設立、同年12月1日から運営を始めた。がんには、放射線療法や化学療法、免疫療法などさまざまな治療法があるが、抗がん剤の副作用で頭髪が抜けてしまう人が少なくない。
特に女性の場合は精神的なショックが大きく、夏目も闘病中、頭髪が抜けていくのを気にしていたという。現在も、夏目雅子ひまわり基金は、病気で髪を失った人にかつらを無償貸与している。
生前に彼女が残した「3つの句」
多彩な顔を持つ夏目は、「海童」という俳号を持ち、俳句をたしなむ一面もあった。
写真家・浅井慎平が主宰する「東京俳句倶楽部」に所属していた。放浪の俳人・種田山頭火の句が好きだったという。「大女優になるより、いさぎよく生きたい」という言葉をよく口にしていたそうである。そんな彼女が遺した3句を紹介しよう。
《結婚は夢の続きやひな祭り》
《風鈴よ自分で揺れて踊ってみたまえ》
《油照り汗もなく立つ忠犬ハチコウ》
(小泉 信一/Webオリジナル(外部転載))
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