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【ヤクザとシャブ】「殺せ、殺せ、殺せ」幻聴で仲間に刃を向けたことも…“ヒロポン狂い”だった元ヤクザ組長が明かす「違法薬物のヤバい症状」

文春オンライン / 2025年1月26日 17時0分

【ヤクザとシャブ】「殺せ、殺せ、殺せ」幻聴で仲間に刃を向けたことも…“ヒロポン狂い”だった元ヤクザ組長が明かす「違法薬物のヤバい症状」

若かりし頃、ヒロポン中毒になった竹垣悟氏。経験者だからこそ知っている「薬物中毒の恐ろしい症状」とは?(写真:本人提供)

「覚せい剤による妄想は恐ろしく、時には人を殺してしまうこともある。私も危うく人を殺しそうになった経験がある」と語るのは、元山口組系組長で、現在は暴力団員の更生支援のために活動するNPO法人五仁會(ごじんかい)代表の竹垣悟氏。

 経験者だからこそ知る「薬物の怖さ」とは? そして、薬物にハマった竹垣氏はいかにしてそこから脱出できたのか? 新刊『 極道ぶっちゃけ話「山口組四代目のボディガード」の半生記 』(清談社Publico)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/後編を読む)

◆◆◆

 覚せい剤はインターネット上で買えるようになり、いまもやくざのシノギとなっている。

 ネット上では「冷たいやつ」「アイス」などと書かれているが、弁当などについている金魚型の容器に入った「キンギョ」、または「スピード」「エス」などとも呼ばれる。シャブ、ネタ、ブツ、クスリなどは聞いたことがあるだろう。

 日本では覚せい剤、麻薬、あへん、劇物(シンナー、トルエン、接着剤など)について、それぞれ法律で規制されている。

 麻薬とは麻酔作用を持つ植物からつくられたコカインやモルヒネなどだが、最近ではMDMAなどの合成麻薬も問題になっている。

 また、危険ドラッグも大きな問題だが、危険ドラッグは成分が安定しておらず、すぐに死ぬことが多いので、扱わないやくざも増えている。文字どおり「危険」なのだが、これは何も買った相手を心配しているわけではない。薬物は常用させて、つねにカネを取るのがシノギなので、すぐに死なれては売人も困るからである。

失うものは健康だけじゃない…違法薬物の代償

 たいていの違法薬物には興奮作用があるので、メシがうまくなり、セックスの快感が増すが、その代償は計りしれない。健康だけでなく、社会的地位や信用も失ってしまうのだ。

 ポン中の世界とは、いわば仏教でいう無間地獄である。苦しみが際限なく続くのだ。違法薬物を使用していると、繊細な神経の持ち主をつくる。よくいえば一途、悪くいえば小心になるのだ。その結果として、暴力を振るうこともある。

 そして、薬物欲しさにウソをついて人からカネを借りたり、抗争事件に備えて組から預かっている拳銃を横流しして薬物に換えてしまったりする。この無間地獄から救うのも五仁會の務めなのだが、もちろん簡単ではない。

 違法薬物はいろいろな面でよくないとわかっているはずなのに、なぜ手を出す者があとを絶たないのだろうか。

 それは薬物の本当の怖さを知らないからだ。たしかに覚せい剤を使用して逮捕された芸能人を見ても、誰も死んでいないし、社会復帰を果たしている著名人もいるので、「なんとかなる」と考えているのかもしれない。

奇行が何度もニュースになっている大物歌手A

 とくに「あぶり」は注射と違って針のあとが残らないし、効き方もゆるいので、若者を中心に蔓延しているようだ。アルミホイルに覚せい剤の結晶を載せて下からあぶり、ガラス製の筒などで煙を吸うのである。

 禁断症状もほとんど出ず、音楽も気持ちよく聞こえるので、クラブなどでも使われる。もちろん健康被害は注射と変わらない。

 一度ハマってしまえば、使用量はどんどん増える。密売人たちは最初の数回は低価格で売り、「常習者」にしてカネを取り続けるのである。

 常習者になって精神を病んでしまうと、なかなか回復は難しい。たとえば、大物歌手Aは更生のために入院したと報道されていたが、その後も奇行が何度もニュースになっている。

 覚せい剤による妄想は恐ろしく、時には人を殺してしまうこともある。

 私も危うく人を殺しそうになった経験がある。

〈 「おまえ、シャブやっとんのか?」「あ、は、はい…」ついには仲間を殺しかけたことも…“伝説のポン中”と呼ばれた元ヤクザ組長が「覚せい剤を卒業できた理由」 〉へ続く

(竹垣 悟/Webオリジナル(外部転載))

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