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オフィス家賃は月3000万円、従業員約300人で“大企業レベル”だったが…倒産したコンサル会社が急成長の裏で抱えていた“深刻な問題”

文春オンライン / 2025年1月28日 6時0分

オフィス家賃は月3000万円、従業員約300人で“大企業レベル”だったが…倒産したコンサル会社が急成長の裏で抱えていた“深刻な問題”

©AFLO 写真はイメージ

 会社清算、会社更生法・民事再生法適用など様々な形での倒産が急増している。円安、資源高、人件費の高騰などに見舞われ、資金繰りに窮する企業が相次いでいるのだ。

 ここでは、60年にわたって「倒産」の現実を取材・分析しつづけてきた帝国データバンク情報統括部による新著『 なぜ倒産 運命の分かれ道 』(講談社)より一部を抜粋。急成長していた中小企業向けコンサルティング会社が倒産した理由とは——。(全2回の1回目/ 2回目 に続く)

◆◆◆

 補助金申請をはじめとする中小企業向けコンサルティングを手がけていた北浜グローバル経営株式会社(以下、北浜G)が、2024年5月24日に大阪地裁へ自己破産を申請し、同日破産手続き開始決定を受けた。

 コロナ禍が追い風となり、再建を目指す中小企業の補助金申請をサポートしながら急成長を遂げていたが、補助金をめぐる行政方針の変更に翻弄され、破産に追い込まれた。ただ、最大の蹉跌は、身の丈を超えた積極経営によって、サービスの質の低下を招いたことだった。

補助金・助成金の申請支援で急成長

 北浜Gは、北浜国際特許事務所を主宰する前井宏之氏が、中小企業向けの経営支援サービスを目的として2012年10月に設立した。

 当初は、人材育成支援に関するコンサルティングの受注が中心であったが、徐々に補助金・助成金の申請支援コンサルティングにシフト。ものづくり補助金やキャリアアップ助成金といった、中小企業支援策を活用するための計画策定を手がけていた。

 業績拡大のカギとなったのは、最終的に80近くにまで広がった提携金融機関の存在だ。紹介やビジネスマッチングによって補助金申請コンサルティングの案件を取り込み、存在感を高めていくなかで、新型コロナウイルスの感染拡大という“神風”が吹いた。

 新規事業展開や業態転換を通じて生き残りを図ろうとする中小企業が増えるなか、「事業再構築補助金」の申請をめぐるコンサル案件は北浜Gの収入高を大きく押し上げ、コンサル業界内で一定のステータスを獲得した。

「北浜Gに任せておけば大丈夫」

 北浜Gは、多くの顧客を抱える金融機関にとっても“都合の良い”存在だったと言ってもいい。多くの場合、案件の紹介によって手数料(フィー)を受け取ることができる契約先となっていたからだ。

 それだけではない。紹介さえしておけば、補助金が採択されてから交付されるまでの間に、補助金申請者が用立てなければならない「つなぎ資金」の獲得にもつながる。さらに、金融庁から求められるコンサルティング機能の発揮という側面では、“補助金活用による経営支援を目的としたビジネスマッチングを行った”という実績にもなる。

 新規の融資案件獲得に日々奮闘する金融機関からしてみれば、比較的楽に収益や融資などを獲得できる“一石三鳥”の案件だったのだ。

 また、事業再構築補助金の採択率の高さも、追加案件の獲得を後押しした。第1回から第8回までの公募における北浜Gの採択率はおおむね55~65%と、同業平均の45~50%を上回る値をマーク。「北浜Gに任せておけば大丈夫」という安心感を与える裏付けとなった。

 補助金申請者からしてみれば、信頼している金融機関から、信頼性の高い補助金申請コンサルタントを紹介してもらえるのだから、納得感も高い。

 こうして三者の利害が一致する形で、北浜Gには次々と案件が舞い込んだ。自社でコツコツと営業先を開拓するよりもはるかに速いペースで実績が積み上がったことだろう。

大阪・東京の拠点はオーバースペック

 世の中が経済正常化に向けて動くなか、受託案件数は順調に伸びていたものの、時代は人手不足。北浜Gも徐々にスタッフ不足が深刻になり、金融機関経験者などの転職組を受け入れつつ、経験の浅い“初心者”も取り込んだ。

 それでも足りない分は、懇意の中小企業診断士やフリーランスなど外部に委託し、何とか案件処理を進めざるを得なくなり、委託コストも増加。とにかく人員を確保して、積み上がった仕事を処理することが、最大の経営課題になっていた。

 そこで、2022年7月に、阪神電車・大阪梅田駅と地下で直結する「大阪梅田ツインタワーズ・サウス」に本店を移転。その2ヵ月後には、東京支社を東京駅から徒歩1分の場所にある「TOKYOTORCH 常盤橋タワー」へ移転した。両拠点とも、大手企業などと肩を並べながら、抜群のアクセスを誇る場所であり、成長企業という印象を与えるには申し分のない場所だ。

 しかし、大阪の一等地にある本店の月々の家賃はおよそ3000万円。一時は300名近くに達した従業員を受け入れるためのキャパシティとしては十分すぎるスペックだったが、膨らんでいた人件費とともに、家賃も相当な負担となっていた。

〈 「毎月2億円以上の赤字が続いていた」“大企業レベル”のコンサル会社がいきなり倒産…急成長した企業が自己破産まで追い込まれた“本当の理由” 〉へ続く

(帝国データバンク情報統括部/Webオリジナル(外部転載))

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