TVキャスター草野仁が語った〈放送人の品格〉と〈女〉「まず、やってはいけないことがいくつかある…」
文春オンライン / 2025年1月27日 6時0分
草野氏は、有働氏のNHKの大先輩でもある Ⓒ文藝春秋
“時代を作った人たち”の本音に迫る対談企画「 有働由美子のマイフェアパーソン 」。今回は、TVキャスターの草野仁さんが仕事の中で意識していたことについて振り返った。
数字が振るわないと、鬱になるんじゃないかと……
有働 視聴率を見て落ち込むことはありませんか? 私は民放のニュース番組を担当するようになって、数字が振るわないと、鬱になるんじゃないかと思うほど悩みました。
草野 視聴率は気にはなりますが、気にし過ぎてもいけない。「とにかく全力を尽くしてやるしかない」という気持ちで取り組み続けることが大事なのだと思います。
有働 また、NHK出身のアナウンサーは「品が良くてきちんとニュースを読めて賢いに違いない」というイメージで得をしてきた面もありますが、「派手な格好をするな」「自分の意見を言うな」と叩かれたりもします。時代の変化で個性が求められたかと思えば、SNS時代だからこそ普通であれという揺り戻しが来ることもある。私自身、視聴者から苦情が来て、ディレクターから注意されることで型にはまってしまった時期もあったので悩ましいです。
草野 最近、NHKの定時のニュースは、冒頭だけアナウンサーが読んで、あとはAIがアナウンスをするという番組が増えています。
有働 あれ、ビックリしますね。
草野 将来的にはAIに取って代わられる番組が増えるのでしょう。だからこそ、アナウンサーが人間として自分の意思や分析力を反映した発信を心がけないと、存在感を認められない時代に、ますますなっていくのではないかと思っています。
「女にだけは気をつけろよ」
有働 草野さんは時代を意識して、ここは変えた、もしくは変えなかったことはありますか?
草野 まず、時代にかかわらず、やってはいけないことがいくつかあると思うんです。我々のように放送の前線に立って、時に人を批判することもある人間は、後ろ指を指されるようなことは絶対してはいけない。立場は違いますが、国民民主党の玉木雄一郎さんが鋭い政策提言をしていたのに、不倫が発覚したことで信頼を失ってしまいました。
有働 たしかに!
草野 私がNHKを退職する際、ある先輩アナウンサーから、「お前、女にだけは気をつけろよ」と忠告されました。その先輩がよく知る別のベテランアナウンサーが、週刊誌に不倫の証拠写真を撮られたという話でした。4カ月ほど追い続けた結果だったそうで、「週刊誌は追いかけ出したらしつこく来るから気をつけろ」と。
有働 草野さんはその点、バレないようにしたのですか、あるいはそもそもしないようにしたのですか?
草野 愛人を作ったことはないですねぇ。当たり前ですが、そういう素行には気をつけてきました。
有働 すばらしい。他にも心がけていらっしゃることはありますか?
草野 基本的にスタッフみんなと仲良く一緒にやろうという機運を醸成することです。それが結局、番組を長続きさせることに繋がったかなと思います。時には肉でも食べにいこうとスタッフを誘い、自分のいろんな体験談を話しました。皆、私より若いですから、素直に耳を傾けてくれます。長く番組を続けていると当然、技術系のスタッフも世代交代があります。それでも番組全体が不思議なほど、良くまとまっていたという印象があります。
有働 草野さんからの声掛けやコミュニケーションによって、一体感が生まれたのだと思います。
草野 少なくともあまり嫌われてはいなかったかもしれないですし、やはりチームワークがないとダメですから。収録していて、たとえばスタッフがミスをしたとしても「すみません。ミスがあったのでもう一回お願いします」と素直に言えるような関係性ではありました。
有働 なるほど〜。不倫とチームワークに気をつける、とさっそくメモさせていただきました。ちなみに、ご家庭ではどんな夫ですか?
九州男児が改心したワケ
草野 育ったのがとても古い時代ですから、NHK時代は完全な亭主関白でした。
有働 ザ・九州男児ですね。
草野 でも、フリーになってからのある日のこと。朝7時からの番組があったので私は3時に起きていましたが、妻はさらに30分ほど前には起きていて、部屋を暖めてお茶を淹れてフルーツなんかを用意してくれていたことに、ようやく気がついたのです。「今まで考えたこともなかったけど、大変だったんだな」と、妻の苦労に目が向きました。
有働 それはご結婚されてから何年目くらいのことですか?
草野 17年ほど経っています。
有働 お気づきになるまで、かなりの歳月がかかりましたね(笑)。
草野 環境が変わって、初めて自覚できたのです。息子たちも「お母さんをもっと大事にしなさいよ」と、言ってくれました。そういう意味では、まあまあ仲の良い家族だと思っております。
※本記事の全文(約9000字)は「文藝春秋」2025年2月号と「文藝春秋 電子版」でご覧ください(草野仁×有働由美子「 マスコミは真実に肉薄しようという力が弱い」 )。
全文では、有働さんが草野さんに深く感謝していること、草野さんがNHK退職を決意した経緯、地下鉄サリン事件への「予言」、アナウンサーの存在意義、草野さんが提唱したい「競馬健康法」などについて語られています。
■連載「有働由美子のマイフェアパーソン」
第60回 大石静(脚本家)
第61回 小泉今日子 (「明後日」代表)
第62回 東出昌大(俳優)
第65回 草彅剛(俳優)
第68回 広末涼子(俳優)
第72回 増田惠子(歌手)
(草野 仁,有働 由美子/文藝春秋 2025年2月号)
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