《懲役20年》「人殺しの過去」を受け入れてくれた恋人も殺害…「愛を信じられなかった女性」の哀しき末路(2019年の事件)
文春オンライン / 2025年1月31日 17時40分
写真はイメージ ©getty
〈 「離婚しようとする夫」を包丁でズタズタに→出所後、新しい恋人を見つけたが…夫を殺した43歳女性が「2度目の殺人」に手を出すまで(2019年の事件) 〉から続く
かつて夫を殺害した、ある女性。出所後の彼女は仕事先を通じて、新しい恋人を見つけるも、またもや「殺人の衝動」にかられてしまう。いったいなぜ彼女は罪を重ねてしまったのか? 2019年に東京で起きた事件の顛末をお届け。なおプライバシー保護の観点から本稿の登場人物はすべて仮名である。(全2回の2回目/ 最初から読む )
◆◆◆
恋人に「人殺し」であることを打ち明けると…
そのときに千尋は思い切って自分の過去のことを話した。田中さんは「そんなことは関係ない。辛い思いをしてきたんだね」と言って、千尋の腹に残る傷跡を見て泣いてくれた。
この人なら信頼できる。心の支えになってくれる人ができた。千尋は4度目の結婚をする決意を固めた。
ところが、そうなると田中さんがそばにいないと、寂しくて仕方なくなり、何度も自殺未遂を図っては、警察を呼ぶという行為を繰り返すようになった。
田中さんは見かねて朝から千尋の家に向かい、朝食を一緒に食べてから会社に出かけるという生活を送るようになった。夜も必ず千尋の家に寄り、泊まれるときは泊まった。そのうち、千尋の症状も改善された。
千尋は更生保護施設の職員にも田中さんのことを「婚約者」として紹介した。田中さんもその場で、「結婚を考えて付き合っております」と言ってくれた。
千尋はますます田中さんに依存するようになった。しかし、すべてがうまくいっていたはずなのに、ある日、田中さんが前回の事件の記事のコピーを持ってやってきた。
「今でも名前をネットに打ち込んだら出てきてしまうんだな」
「どうすればいい?」
「そのままでいい。いずれ消えるだろうから」
千尋は田中さんの意図が分からず、悶々と苦しんだ。
それからしばらく経って泊まりに来たときに、こんなことを言われた。
「オレみたいなジジイと付き合うのをやめて若いのと付き合ってもいいんだぞ」
「どうしてそんなことを言うの?」
「オレは年だし、ワガママだからな…」
「2度目の殺人」を実行した理由
千尋はさらに苦しんだ。もしかしたら自分と別れたがっているのではないか。また、あのときと同じだ。自分を捨てようとしているに違いない。他の女に取られるぐらいなら、殺してしまった方がいい。一度ハードルを越えた女は、2度目も簡単にハードルを越えるのだろうか。
事件当日、田中さんはいつものように朝ごはんを食べにやって来て、普通に会社に出かけた。夜も来ることになっていたので、千尋はビールとつまみを買いに行き、そのついでに刃渡り18センチの包丁を購入した。
田中さんはその日、酔っ払ってくだを巻き、「オレは年だから、若いのと付き合ったらどうだ」「1人になりたい。自由がいい」などと言って、千尋を困らせた。
「どうしてそういうことを言うの。私はもう、あなたと結婚するって決めてるのに…」
千尋が泣きながら尋ねても、答えようとしない。
殺意が芽生えた千尋は睡眠薬入りのワインを飲ませた。やがて田中さんは薬が効いてきたのか、ベッドの方に行って眠ってしまった。
千尋は新品の包丁を取り出して近付いた。目を覚ませば、また別れ話になるだろう。それならここで、関係を終わらせた方がいい。
湧き上がる感情をコントロールすることができなかった千尋は、田中さんを滅多刺しにして殺害した。
気が付くと、血の海の中で座り込んでいた。
千尋は「愛人を殺した。自宅にいる」と110番通報し、駆け付けた警察官に現行犯逮捕された。
「私は人を殺すために生まれてきたのか。どうして白と黒しかないのか。私はもう、男を作ってはいけないということが分かった。男が絡むと事件になってしまう。こんな私が生きていてもいいのだろうか」
その後の彼女は…
千尋は水準以上の美人だったが、近所ではバニーガールの格好をして立ちんぼのような行為をするなど、奇行が目立っていた。
田中さんと付き合う前、不動産を斡旋してくれた営業マンやカギを付け替えてくれた業者とも肉体関係を持っていたが、2人とも千尋の危険な雰囲気に気付き、「休日が合わないから」などと言って、短期間で去って行った。
裁判所は「極めて強い殺意をうかがわせる犯行だ。被告人の精神疾患は、責任能力に影響を与えるものとは認められない」として、懲役20年を言い渡した。
(諸岡 宏樹)
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