なぜヤクザに「指がない理由」を絶対に聞いてはいけないのか…? 元山口組系組長が教える「納得の理由」
文春オンライン / 2025年1月31日 19時0分
ヤクザ、元ヤクザに「指がない理由」を聞いてはいけない理由は? 写真はイメージ ©getty
「なぜ指がないのか?」――ヤクザや元ヤクザの人間にこうした類の質問をしてはいけない理由とは? 山口組系組長から更生を果たし、現在は暴力団員の更生支援のために活動するNPO法人五仁會(ごじんかい)代表の竹垣悟氏の新刊『 極道ぶっちゃけ話「山口組四代目のボディガード」の半生記 』(清談社Publico)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)
◆◆◆
ヤクザが「彫り物」を入れる理由
「針地獄」といわれる刺青は、やくざの世界では別名「ガマン」ともいう。
カネも時間もかかるし、痛いからガマンするしかないという意味である。
親からもらった体を汚すことで、カタギの世界と縁を切り、もう戻らないという決意の表明でもある。
入れたところで何もいいことはなく、ムショに入ったときに、立派な彫り物であれば自慢できることくらいであろう。
もちろんカタギになってから十年を経て、64歳にもなって、七分袖も着られないぐらいのところまで腕に刺青を入れるのは尋常でないといわれることは承知のうえである。
しかし、私は二人の志を実現させるために信念を持って彫らせた。このまま冥土に行っても二人とともにいたいからだ。
これは「侠気」というより「狂気」である。この狂気は生まれ持った星のせいだと思う。しかし、無鉄砲で命知らずの私がこの年まで生きてこられたのは、この二人の教えがあったからである。人生はなるようにしかならず、ものごとに執着しないのが私のスタイルだが、それが貫けているのは二人が守ってくれているからだ。
二人の霊が私の守護霊となって、この世に何ごとかをなすために生かされてきたのだと、最近になってようやく気づいたのだ。
じつは還暦を迎えたときにも背中の一匹竜の腹を八時間かけて朱色に染め直した。この竜を彫ったのは森中義雄という竹中組組員で、右翼団体「義友塾」の塾長であった。姫路市立町にあった新竹中組本部事務所に住み込み、竹中武組長の運転手をしていた。この森中はのちに愛人を殺して自殺している。
森中の遺した竜を染め直すことで気力の限界に挑戦し、これが華甲(還暦の意)を迎えた私の心意気だと錯覚していたのだ。
とはいえ、やはり無理をしており、半年ほどは体がしんどかった。「われながらアホやなあ」とひとりで苦笑し、あらためて刺青と断指は生涯でいちばんの後悔だと悟った。
だが、その4年後に四代目の戒名を彫らせるのだから、まったく懲りていないのである。
ちなみに田岡三代目と四代目、四代目の実弟の武氏も刺青は入れていない。そして、なるべく指を詰めさせなかった。
私はチンピラ時代に指を飛ばしている。
酔ったときなど、当時の親分だった坂本義一に指を見せて「誰のために飛ばした指か、わかってまっしゃろな?」などと言っていた。竹中組で若頭や舎弟頭にまでなった男になんという言い草だろうといまは思うが、私も若くて鼻っ柱が強かったのである。
四代目からは 「その指、寝とうあいだにネズミにかじられたんかい?」とからかわれていたし、四代目の姐さんは 「侠気で落とした指も、ヘタを打って落とした指も、うちらから見たらわからへんもんね。そんなことは、これからはやめときよ」と親が子を諭すように諄々と説いてくれた。
ヤクザが指を詰める理由は…
やくざが指を詰めるのにいい理由はひとつもない。姐さんが言うように、ヘタを打ったときだけでなく、ケンカをいさめるときなど、人助けで落とすこともある。指を差し出し、「この指に免じてケンカをやめてください」と頼むのである。前者を「死に指」、後者を「生き指」と言うが、他人にはまったく通じない。
以前、海外のジャーナリストが断指についてやくざに質問をしているのを何かで見たが、これは「おまえの恥ずかしい失敗について説明しろ」と言っているようなものである。
〈 「捕まるなら死んでやる!」病院に立てこもり、こめかみに拳銃を…シャブに飲み込まれたヤクザの「哀れな最期」 〉へ続く
(竹垣 悟/Webオリジナル(外部転載))
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