「勝手なことをしてごめんなさい」“ポスト松田聖子”と期待された人気アイドルはなぜ命を絶ったのか…岡田有希子(享年18)の死が映す「アイドル業の難しさ」
文春オンライン / 2025年2月4日 17時0分
18歳の若さで亡くなった岡田有希子さん ©文藝春秋
「(ユッコが)一番輝いていた86年で時間が止まっているんです。僕らは年齢を重ねてそれぞれの人生を歩んでいますが、ユッコは18歳のかれんでピュアなアイドルのまま。だから素直な気持ちで今も応援できる」と今も彼女を懐かしむファンも…。
なぜ“ポスト松田聖子”と期待された人気アイドルは自ら命を絶ったのか? 岡田有希子さんの死がその後の社会に与えた影響を、朝日新聞編集委員で、昨年10月に亡くなった小泉信一氏の『 スターの臨終 』(新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)
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岡田有希子は18歳の若さで命を絶った
華やかなように見える報道の現場でも、仕事や複雑な人間関係に悩み、孤独に追い込まれ、自ら命を絶った同僚がいる。自殺とは無縁のように見える人ほど、周囲に及ぼす衝撃は大きい。「しばらく会社に姿を見せないな」と思っていたら、自殺だったこともある。「どうして?」「何があったのか?」。周囲の人にあれこれ尋ねても、結局はよく分からない。
1986年4月8日の昼過ぎ、アイドル歌手・岡田有希子(本名・佐藤佳代)、愛称「ユッコ」は、所属プロダクションが入る東京・新宿の7階建てビル屋上から身を投げ、18歳の若さで命を絶った。
岡田は、愛知県名古屋市出身。勉強がよくでき絵を描くことも大好きだった少女は、いつしかアイドルを夢見るようになり、1982年、中学3年生の時、数々の人気アイドルが輩出したオーディション番組「スター誕生!」(日本テレビ系)に出場。翌1983年の決勝大会でチャンピオンになり、大手芸能プロダクション「サンミュージック」からスカウトされた。上京し、堀越高校に編入。1984年4月、「ファースト・デイト」(作詞・作曲:竹内まりや)でデビューした。
歌唱力が抜群で、同年の日本レコード大賞最優秀新人賞を受賞。「ポスト松田聖子」の呼び声も高く、1986年春、高校を卒業したのを機に、下宿していた事務所の社長宅から南青山のマンションに引っ越した。都会での独り暮らしのスタートである。
自殺の前々日の4月6日は地元の名古屋市でコンサート。前日の7日は休みだったという。
キラキラするような瑞々しい存在感。その一方、はかなげで、どこか憂いを帯びた表情が多くの人を引きつけた。さらなる活躍が期待された矢先、帰らぬ人となった。アイドルがアイドルであり続けることの難しさ、輝きを維持し続けることの難しさを投げかけた事件だったといえる。
亡くなった四谷のビル前には、毎年4月8日の命日にあわせ、花束を持ったファンが集まり、手を合わせている。
50代男性は「(ユッコが)一番輝いていた86年で時間が止まっているんです。僕らは年齢を重ねてそれぞれの人生を歩んでいますが、ユッコは18歳のかれんでピュアなアイドルのまま。だから素直な気持ちで今も応援できる」と話す(「週刊朝日」・2022年4月29日号)。
ファンの中には平成生まれの若い女性もいる。昭和のアイドルに詳しいレコード会社のプロデューサーは「ユッコの歌がZ世代と呼ばれる若い世代にも共感を呼ぶのは、淡い初恋に悩み苦しむ等身大の女性の心理を歌っているからではないか。世代を超えて共感を呼ぶんです」とみる。
「ユッコはやはり永遠のアイドルなんだなあ」と改めて思う。ファンはユッコが最期を迎えた場所に集まり、静かに思い思いの時間を過ごすことで、互いの絆を深めている。それが、この世知辛い世の中にあって、生きる支えになるのだろう。
レコードデビューしてから、わずか2年しか芸能界にいなかったが、存在感は大きい。
愛知県西部の愛西市郊外にあるユッコの菩提寺を訪れるファンの姿も絶えない。墓前はいつも供花で埋め尽くされているという。
遺書に残された「ごめんなさい」
自殺翌日の朝日新聞・朝刊社会面によると、自宅マンションには異性関係などを苦にしていたとみられる内容の遺書(便箋1枚)が残されていたとある。きちんとした字で「勝手なことをしてごめんなさい」と書いていたという。
◆◆◆
【厚生労働省のサイトで紹介している主な悩み相談窓口】
▼いのちの電話 0570-783-556(午前10時~午後10時)、0120-783-556(午後4時~同9時、毎月10日は午前8時~翌日午前8時)
▼こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(対応の曜日・時間は都道府県により異なる)
▼よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応) 岩手、宮城、福島各県からは0120-279-226(24時間対応)
〈 40人を超える若者が後追い自殺…人気アイドル・岡田有希子(享年18)の死に見た「過熱報道の危うさ」 〉へ続く
(小泉 信一/Webオリジナル(外部転載))
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