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強迫性障害による潔癖症で恋人に触れられない…三山凌輝は「自分とは正反対」という役柄にいかにアプローチしたのか

文春オンライン / 2025年2月8日 6時10分

強迫性障害による潔癖症で恋人に触れられない…三山凌輝は「自分とは正反対」という役柄にいかにアプローチしたのか

撮影 深野未季/文藝春秋

 強迫性障害による潔癖症を患い、大切な恋人にも指一本触れられなくなってしまった絵本作家──。新堂冬樹の純愛小説を映画化した『 誰よりもつよく抱きしめて 』で繊細な主人公を演じるのは、俳優であり、「BE:FIRST」のメンバーとしても活躍する三山凌輝。「自分とは正反対」という役柄に、いかにアプローチしたのか。

自分とは対照的な印象の役

──三山さんといえば、最近ではドラマ『虎に翼』で熱血漢を演じたり、アーティストとしてステージ上で躍動したりと、「陽」のイメージが強いですが、本作の主人公・良城は、それとは対照的な印象の人物です。良城役をオファーされたときの率直な感想は?

三山 自分とはかなりイメージが違う役だな、とは思いました。恋人との向き合い方が不器用な面もあったり、もどかしく感じることが多かったですね。ただ、まったく良城を理解できなかったかというとそんなことはなく、僕にも人間としての振れ幅というか、ナイーブな部分は当然ありますから。この映画を撮影した時期に、自分もいろいろな物事について深く考えてしまう繊細なメンタルだったという偶然も重なり、意外とすんなり役に入っていけた気がします。

フォーカスすべきは病気そのものではない

──強迫性障害による潔癖症はどのように表現しましたか。

三山 症状について調べたり、動画を見たりしました。プライベートでも「良城のような潔癖症の人は、こういうときどうするのか」と考えて生活するうちに、ドアノブに触るにも素手ではなくシャツの袖を使うようになったり。でも、この作品でフォーカスすべきは病気そのものではなく、「わかりたいのにわからない」「わかってほしいのにわかってもらえない」という、誰もが抱いたことのある感情だと思ったので、それをどう表現するかに注力しました。

──恋人に触れたいのに触れられない良城が「久しぶりに、手つないでみる?」とおそるおそる尋ね、手を差し出すシーンが切なくて、なのにチャーミングですごく良かったです。

三山 あのシーンは手を震わせるべきか、シンプルにすっと差し出すべきか迷って、内田英治監督にも相談したうえで、現場で後者を選択しました。

──内田監督としても「この人なら良城を魅力的に演じてくれる」と、確信的に三山さんを指名したのでしょうね。

三山 キャスティングの意図について監督と具体的に話し合ったことはありませんが、汲み取る努力はしました。良城のような「陰」のキャラクターを、いかにもそれっぽい人が演じても、ある意味で予定調和じゃないですか。そうではなく、僕のような真逆のイメージをもつ役者が良城になろうとして、現場で良城として振る舞ったときに偶発的に生まれるプラスアルファのようなものを、監督は期待してるんじゃないか。そんなことを考えて準備しましたね。

腹をくくって挑んでいた!?

──身体の線もふだんより細いように感じました。役づくりで体重を絞ったのでは?

三山 じつはオファーをいただいてからクランクインまでの期間が短くて、体型の調整が間に合わなかったんです。これは雰囲気で見せるしかないと腹をくくり、「自分は線の細い文化系男子」だと念じながら演じました。それでも身体が目立ってしまうシーンの撮影では「筋肉が隆起しないように、なるべく力を抜いて!」と監督から指導が入りました。

──めちゃくちゃ仕上がった身体なのに、筋肉は見せられない。むずかしいですね。

三山 でも、結果的に細く見えたのなら良かったです。がんばって雰囲気を醸した甲斐がありました(笑)。

──そんな裏話を知ると、より映画が楽しめそうです。

三山 基本的には美しいラブストーリーですが、良城を演じた身としては、パートナーシップの矛盾が解消されないなど、モヤモヤが残る部分もありました。あえてそんな描き方をすることで、よりリアルで繊細な物語に仕上がっているな、とも。見る人の価値観によって印象が変わる作品だと思うので、どう感じるのか、ぜひ劇場で確かめてほしいです。

撮影 深野未季/文藝春秋
スタイリング 髙田勇人
ヘアメイク 西村裕司
衣装協力:エムエーエスユー、ユリウス

みやま・りょうき 1999年、愛知県生まれ。10代の頃から俳優として活動するほか、近年はダンス&ボーカルグループ「BE:FIRST」のメンバー・RYOKIとしても活躍。おもな出演作に、ドラマ「往生際の意味を知れ!」(23年/MBS)、「生理のおじさんとその娘」(23年/NHK)、「虎に翼」(24年/NHK)、映画『HiGH&LOW THE WORST X』(22年)などがある。

INTRODUCTION

新堂冬樹の同名小説を、BE:FIRSTのメンバー三山凌輝と、乃木坂46・久保史緒里のダブル主演で実写映画化。監督は、『ミッドナイトスワン』(20年)、『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』(23年)など多くの話題作を手がけてきた内田英治。2PMのメンバーで韓国ドラマ作品に数多く出演するファン・チャンソン、エミー賞/作品賞の「SHOGUN 将軍」にも出演している穂志もえかなど、豪華キャストが脇を固める。BE:FIRSTの書下ろし主題歌「誰よりも」にも注目。

 

STORY

鎌倉の海沿いの街で同棲する、絵本作家の水島良城(三山凌輝)と書店員の桐本月菜(久保史緒里)。学生時代から大事に思い合ってきた。しかし強迫性障害による潔癖症を患っている良城は、恋人の月菜と手をつなぐことすらできない。ようやく治療を決意した良城は、合同カウンセリングで同じ症状を抱える女性・村山千春(穂志もえか)に出会う。一方、月菜の前には恋人と触れ合っても心が動かない男・イ・ジェホン(ファン・チャンソン)が現れる。愛する人と触れ合うことがままならない者たちの関係が交錯していく──。

 

STAFF & CAST

監督:内田英治/脚本:イ・ナウォン/出演:三山凌輝、久保史緒里(乃木坂46)、ファン・チャンソン(2PM)、穂志もえか、永田凜、北村有起哉、北島岬、竹下優名、酒向芳/2025年/日本/124分/配給:アークエンタテインメント/©2025「誰よりもつよく抱きしめて」HIAN/アークエンタテインメント

(岸良 ゆか/週刊文春CINEMA)

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