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「あれ、こんな感じだったっけ…?」ワタミ買収後の「サブウェイ」に行ってみたら、驚きの連続だった!

文春オンライン / 2025年2月12日 11時0分

「あれ、こんな感じだったっけ…?」ワタミ買収後の「サブウェイ」に行ってみたら、驚きの連続だった!

街中で発見すると一際目立つ。こんな緑色でしたっけ?(筆者撮影)

 2024年10月、居酒屋大手・ワタミがサンドイッチチェーン「サブウェイ」の日本事業を買収すると発表した。今年の2~3月にかけてフラッグシップ店舗を出店し、今後の店舗展開のモデルにするという。

 では、ワタミが買ったサブウェイ、今はどんな感じなのだろうか。ワタミに買収されたことでなにか変化はあるのか。実際に店舗を訪れながら考えてみた。

 結果わかったこと。「ワタミによる大きな変化はまだ見られないけど、昔のサブウェイからすると、ものすごく変わっていた」ということだ。

◇◇◇

店舗外観がおしゃれな感じだぞ?

 買収のニュースを聞いて気づいたのだが、しばらくサブウェイに行ってない。高校生のときは学校の近くにサブウェイがあったからよく行っていたのだが、それから10年ほど。めっきり行っていない。調べてみたらサブウェイは私が行かなくなったちょうどその時期、2014年に店舗数がピークだった。その数、約500店舗。そこから店舗は減少し続け、現在は180店舗ほどだ。その様子はずいぶん変わっているかもしれない。

 さっそく私は家からもっとも近い店舗に足を運んでみた。まず驚いたのは、その外観。なんか、以前より「オシャレ」な感じになっているのだ。

 さらに驚いたのは、その中。でかでかとデジタルボードがある。

 DX化は注文方法にも。私が訪れた店舗はセルフレジ方式で、タッチパネルでサンドイッチを選んでいく。野菜を多めにしたり、あるいは抜いたり、といったアレンジもタッチパネル上で出来る。

「初見殺し」と言われる注文方法に変化が

 サブウェイの注文といえば「店員さんに注文を口頭で伝える」方式だった。サンドイッチの種類を選んで、パンとソースの種類を選び、野菜のトッピング変更を伝える……、と「初見殺し」ともいわれる注文だ。

 サブウェイはもともとアメリカ発祥で、かの国では店員と客とのコミュニケーションは日常茶飯事。というわけで日本でもその方式が踏襲されたわけだが、これが日本だとなかなかハードルが高い。牛丼文化よろしく、必要最小限の言葉のやり取りで済ます。いちいち全部オーダーなんてしていられない。サブウェイが日本でそこまで流行っていないのは、このアレンジ式オーダー方法が浸透しなかったからでは? という説もある。

 実は2019年ごろからサブウェイは、こうしたセミセルフレジ方式などを取り入れた新しいデザインの店舗を増やしている。これは、世界共通の店舗デザイン「フレッシュ・フォワード」というやつらしい。このデザインを取り入れた1店舗目は渋谷の桜丘に誕生し、その後着実にこのデザインの店舗数は増えている。

 私が今回実食に訪れた店舗は、完全にこのデザインに忠実というわけではなかった。しかし、デジタルサイネージやセミセルフレジは、この店舗デザインの特徴の一つである。

 というわけで、私もセルフレジを使って注文。サンドイッチの種類を押せば、デフォルトでおすすめのソースなりパンなりが設定されているから、特に具材にこだわらなければ最短2プッシュで注文までいける。これは便利だ。

サンドイッチを実食します

 今回私が頼んだのは、カリとろチーズバジルチキン。単品は税込590円で、ポテトドリンクセットにすると税込960円。

 レジで注文をすると番号札が発券されて、呼ばれるのを待つ。ちなみにテーブルには電源コンセントもあるから作業などもできそうだ。ただ、実際見ているとサッと食べて帰る人が多く、もっぱら利用シーンは携帯の充電ぐらいのようだった。

 そうして待っていると、「817番の方~~」と呼ばれる。カウンターで商品を受け取ると、驚いた。

 何かの様式美なのかと思うほど、サンドイッチ・ポテト・ドリンクがきれいに並べられて出てきた。しかも、サンドイッチの紙はかなりきれいに折り込まれている。私の記憶では、サンドイッチは紙にサッと包まれ、軽く包装されるだけだったが、こんな出し方になっていたとは。

 見た目は通常のサンドイッチのようだが、パンにチーズがコーティングしてある。また、奥にはバジルソースがかかったチキンが仕込まれている。

 一口食べると、野菜のシャキシャキ感が口に広がる。その奥から、風味の良いバジルの匂いをまとったチキンの登場。野菜のシャキシャキと、チキンの柔らかい感じがお互いを補い合っている。

 さらに食べ進めると、パンにコーティングされたチーズが顔を出す。チキンとバジルとチーズが合わないはずはない。強めの風味を持つバジルをチーズが和らげる。素材はそれぞれ一長一短、良いところもあれば悪いところもある。それをカバーするのも、また素材である。

 それぞれがお互いに協力し合って食感と風味の対比を生み出し、一つのサンドイッチを成立させている。これは、口の中の世界平和だ。

 気付いたら、もうそこにサンドイッチは無かった。平和な時間は過ぎるのが早い。

 個人的には、よりチーズ感があってもいいかも、と感じたが、それはチーズ大好き党の意見。もっとも万人受けするバランスに抑えられている、といったところだろう。

「ファストフードらしくなさ」こそがサブウェイの魅力

 さらにサブウェイでははじめて食べるポテト。

 いわゆる細長いポテトではなく、丸いタイプ。ジャガイモのホクホク感がある。マクドナルドのポテトとはまるきり違う。

 ちなみに私が頼んだのはハーブソルト。ハーブの香りはきつすぎず、適度な塩味でポテトをつまむ指が止まらない。しっかりとしたジャガイモの味と、それを際立たせるハーブソルトのバランスがいい。

 サンドイッチには野菜がたくさんだし、ポテトも素材の味が生きている。サブウェイはファストフードに分類されると思うが、いわゆる一般的なファストフードのイメージとはだいぶ異なるタイプだと、改めて思った。

 それは、ここ最近の店舗の改装でも顕著な流れだろう。

 単に安く商品を食べられる場所ではなくて、店舗も綺麗にして「空間」としての良さも演出する。均質なイメージのあるファストフードとは一線を画している。

 ところで、ワタミがサブウェイを買収したのも、この「ファストフードらしくないところ」にあるらしい。ワタミの渡邉美樹会長は会見で、テイクアウトやデリバリーにも対応できるファストフード業界でマクドナルドに対抗できるのはサンドイッチのサブウェイしかない、と言う。ファストフードでありつつも健康志向のメニューが、現代にマッチしているというわけだ。 

 店舗を訪れて感じたのは、ワタミによる大きな変更はまだ見られないが、ここ数年のリニューアルにより、これまでサブウェイの弱点といわれていたところが改善されている、ということ。セルフレジの導入はその一つだろう。導入店舗が多いわけではないが、これが増えていけば、確かに人々にも受け入れられやすくなるはずだ。

サブウェイの魅力と店舗の運営効率をどう両立させるのか

 ただ、気になるのは、店舗ごとによる製品のバラツキである。実は今回、上記の店舗以外にもいろいろサブウェイを訪れてみたのだが、店舗ごとによるサンドイッチにバラツキがあることが気になった。

 特に、サブウェイでは注文を受けてからサンドイッチを手作りするため、どうしてもその完成具合に差ができやすい。私が訪れたとある店舗でも形が崩れて出てきた……ということもあった。

 ワタミはサブウェイを中長期的に3000店舗まで増やすとしているが、そこまで増えるのならなおさら。マクドナルドのように機械調理に全振りするなら製品も均質になるが、絶対に均質にならないのが人間だ。ここをどうするか。トレーニングを十分に行うことが解決策の一つだが、それでは社員やアルバイトの労働時間を増やすことにつながる。

拭えない「ワタミ=ブラック企業」というイメージ

 ワタミはかつて社訓に「24時間365日死ぬまで働け」を掲げ、2008年に新入社員が過労自殺したことなどから「ブラック企業」として社会的に大きな批判を浴びた。現在もそのイメージが払拭しきれたかには疑問符がつく。それだけに、なおさらそのバランスは難しい。

 また、そもそもサブウェイがマクドナルドに対抗する軸として打ち出している「健康」というもの自体、均質に店舗を広げていくチェーン展開と“イメージ”のレベルで相反する。3000店舗レベルの運営を行うためには、ある程度の合理化・機械化は避けては通れないけれど、店舗運営がすべて機械化されてしまえば、「人の手で健康に良いものを食べる」というイメージに傷が付いてしまうこともありそうだ。

 そもそも「健康」に訴求したところで結局、顧客は味(それも中毒性のあるものが好まれる)や価格といった、もっと直接的な欲望に忠実なのも確か。サブウェイの魅力と、こうした「欲望」をどう両立させていくかがポイントだろう。

 ……というわけで、サブウェイの今後がどうなるか、懸念点もある。しかし色々な方向でサブウェイが変わってきているのもまた事実。

 ワタミが本格的に参画したあと、サブウェイがどのような展開を辿るのか、注目していきたい。

(谷頭 和希)

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