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「忸怩たる思いです」厚労省委員が高額療養費負担額“引き上げ”の内幕を告白〈がん患者は「この子を遺して死ねません」〉

文春オンライン / 2025年2月5日 16時0分

「忸怩たる思いです」厚労省委員が高額療養費負担額“引き上げ”の内幕を告白〈がん患者は「この子を遺して死ねません」〉

©AFLO

 石破政権が推し進めている高額療養費制度の負担上限引き上げを巡り、がん患者の団体などから不安の声が上がっている。

 そうした中、上限引き上げの案を議論した厚労省の有識者会議の委員が「 週刊文春 」の取材に応じ、拙速な形で進んだ議論について「忸怩たる思いです」などと答えた。丁寧な議論が行われないままに上限引き上げが方向づけられていたとすれば、今後の国会審議にも大きな影響を与えることになりそうだ。

上限を3年かけて引き上げていくことを閣議決定

 高額療養費制度とは、手術を受けたり入院したりして医療費が高額になった場合でも、患者の自己負担額を抑える仕組みだ。年収に応じて月ごとの負担上限額が設定されている。

「石破政権は昨年末、社会保障費の抑制策として、高額療養費の上限を2025年度から3年かけて引き上げていくことを閣議決定した。これによって、年約1600億円の公費を削減できるとしています」(政治部デスク)

 政府案によれば、3段階の引き上げを実施し、最終的に年収650万円~770万円の層では、現行の月8万100円が、13万8600円まで大幅に増額されるという。これを受け、全国がん患者団体連合会(全がん連)が患者や家族らに対して行った緊急アンケート(1月17日~19日)では、「スキルス胃がん患者です。小さな子どもがおり、この子を遺して死ねません」(20代女性)などと悲痛な訴えが数多く寄せられた。

 なぜ、どのような経緯で高額療養費の負担上限引き上げが政府方針となったのか。厚労省が提示した上限引き上げの案を議論したのが、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の医療保険部会だ。高額療養費制度の議論が出たのは、昨年11月21日の会議が最初だった。

 そこから僅か4回の会議を経て、上限引き上げの案は「審議会の了承を得た」として、12月13日には議論の場を自民党の社会保障制度調査会などに移している。最終的に12月25日に行われた福岡資麿厚労相と加藤勝信財務相の大臣折衝に持ち込まれ、25年度予算案にも反映されることになった。

現役世代への調査や検討は「全然なかった」

 医療保険部会の委員が匿名を条件に明かす。

「高額療養費の話題は昨年11月になって急に出てきて驚きました。それで、あっという間に決まってしまった。4回と言っても、最初はざっくりした仮定が提示されるだけで、具体的な引き上げ額が出たのはもっと後。本当に議論できたのは2回くらいです」

 がん患者など、長期にわたって高額療養費制度を利用する現役世代への調査や検討は、「全然、全然なかった」のだという。拙速な形で上限引き上げを方向づけた審議会の議論については「忸怩たる思いがあります」と後悔を滲ませた。

 2月5日(水)12時配信の「 週刊文春 電子版 」および2月6日(木)発売の「週刊文春」では、『「私たちを殺さないで」誰ががん患者の希望を奪うのか』と題した4ページのレポートを掲載。4回の会議の裏側など高額療養費の上限引き上げを政府方針とするに至った詳細な経緯のほか、診療報酬など医師会の利権が温存されている実態、さらに福岡氏や加藤氏と医師会の蜜月ぶりなどについても詳しく報じている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年2月13日号)

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