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女性バスガイドの下着を「酔った消防団員」が無理やり…バスガイドを困らせる「ヤバいツアー客」警察にも相談できなかったワケ

文春オンライン / 2025年2月7日 17時0分

女性バスガイドの下着を「酔った消防団員」が無理やり…バスガイドを困らせる「ヤバいツアー客」警察にも相談できなかったワケ

ベテランガイドが明かす「困ったツアー客」とは? 写真はイメージ ©getty

 ついには女性バスガイドが泣いてしまう事態に…旅行会社スタッフを困らせた「厄介なツアー客」の事例を紹介。現役添乗員かつ作家の梅村達氏の新刊『 旅行業界ぶっちゃけ話 日雇い添乗員が見た懲りない人々 』(清談社Publico)より一部抜粋してお届けする。(全2回の1回目/ 後編 を読む)

◆◆◆

 今から二つの事例の話をするが、これはいずれも仄聞である。その点を、まずはご了承願いたい。

「セクハラ質問」が飛び交ういやな現場

 まず、一つ目は女性添乗員とバスガイドの被害である。そのツアーはある宅配業者の社員旅行である。集まったのはその会社のドライバーたちだ。そのツアーは一泊二日で栃木県の日光市にある鬼怒川温泉に泊まる。ドライバーは全員が男性で、若年層から中年までがそろっていた。

 30人ほどの男性たちの中に、ちょっぴり若い女性の添乗員と、中年のバスガイド。参加者のドライバーたちは酒を浴びて、いい気持ちにできあがっていた。

 すると、そのうちに男性たちの一人が添乗員に話しかけてきた。「年はいくつなの」「結婚はしてるの」「彼氏はいるの」など、あれやこれやと、ねちっこく聞いてきた。

 それらの質問は現代の基準からすると明らかにセクハラである。しかし、このツアーが実施された当時には、まだそういう概念はなかったという。

 質問だけのうちは、まだよかった。そのうちにビールのお代わりをする人に添乗員がビールを届ける。その行き帰りに身体にタッチする輩が現れたのだ。

 そんなことがあり、ビールを配るのは中年のガイドの役割となった。そんな中年にまで手を伸ばす者がいたという。アルコールというのは本当に怖いものだ。

 そうして、どうにかこうにか宿へと着いた。そうしたら添乗員、バスガイドともに、それぞれの会社に、その日の出来事を報告。2人ともに「次の日の仕事は絶対にイヤだ」「代わりをよこしてくれ」と涙ながらに訴えた。

 代わりをと言っても、そういうツアーの適任者などなかなかいない。それでも何とかその夜のうちに、かなりの年輩の添乗員とバスガイドが鬼怒川温泉までやってきた。2人はすでに引退して足を洗っていたのだが。

 次の日、その2人が客たちの前に現れる。年を重ねた添乗員とバスガイドの前でドライバーたちはお通夜のようであったという。それはそうだろうね。

 もっとも前日は半日、バスでいい気分。夜は宴会でガブ吞みと、相当にできあがってしまったが。

 次の一日くらいは年長者たちのゆったりしたサービスを受けてシーンとしているのもいいのではなかろうか。

 次は消防団の面々の悪さだ。私も消防団のご一行様のツアーに2度ついたことがある。その2度ともがバス内は酒で大盛り上がりであった。

 1度などは予定していた観光はすべてカット。いきなりバスは旅館に入って、そこでまた酒盛りという具合にハチャメチャのツアーとなった。

 そういう荒くれ男どもを相手にしなければならないので、消防団によっては地元のバス会社に断られてしまう。それで少し離れたところにある会社のバスに乗るという複雑な手続きをしなければならない例もあるそうだ。

 まあ、彼らは本物の「男の世界」に生きているからね。そういう荒ぶる男どもがいなければ火事などの惨事はとうてい収まらないのだ。

バスガイドのブラジャーを…

 さて、問題のツアーは、そういう純然たる「男の世界」に、うら若きバスガイドがいたことが、そもそもの発端だ。例によってツアーは進み、男性たちのアルコールはグイグイと回っていく。

 すると若い男性が突然立ち上がって、何とバスガイドを襲ってしまったのだ。シャツを破り、ブラジャーを剝ぐなどの不適切な行為をしてしまう。

 仲間たちは酔っていたのであろう。ヤンヤの喝采を送る。一方のバスガイドは泣き叫び、抵抗する。映画ではないのだ。昼日中のバスの中のことなのである。

 悪いのはもちろん、そんなことをする男性のほうだ。けれども、そういうギラギラの男性の集団に若い女性のガイドを出すというバス会社もバス会社なのである。

 さすがにこの時は消防団の責任者が止めた。その責任者の喝で不適切な行為はストップ。以降はシュンとして静かなツアーになったという。それでその珍事もどうにか収まったのである。

 その責任者が常識をわきまえた人で本当によかった。私が添乗したツアーの時には宴会で当の責任者が率先してハメを外し、不適切なことをしていたものね。

 この事件なんぞは、セクハラというより、完全に事件として警察に届けなければいけないことだろう。それをうやむやにしてしまうところが客商売の悲しいところだね。

 もちろん翌日はバスガイドなしのツアーとなった。誰も文句を言わなかったそうだ。

〈 「警察に通報するぞ」店主は“鬼のような顔”で大怒り…もしバスツアーのお客さんが「万引き」を働いたら、あなたならどうする? 〉へ続く

(梅村 達)

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