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ホンダ社内で「日産の役員人事に介入すべきだ」との声まで出ていた 決裂したホンダと日産の経営統合交渉

文春オンライン / 2025年2月10日 6時0分

ホンダ社内で「日産の役員人事に介入すべきだ」との声まで出ていた 決裂したホンダと日産の経営統合交渉

内田社長と三部社長

 昨年末から経営統合に向けて交渉しているホンダ(三部敏宏社長)と日産自動車(内田誠社長)だが、2月6日に日産はホンダに協議打ち切りの意向を伝えた。リストラ計画の策定が遅れている日産に対して、ホンダが子会社化を提案したとされるが、実は以前からホンダ社内で「日産の役員人事にホンダが介入すべきだ」との声まで上がっていたことが、 ジャーナリストの井上久男氏の取材 でわかった。

カルロス・ゴーン時代の負債

 1月23日、横浜市内の日産本社で内田氏と三部氏が会談した。1月末までに経営統合の方向性を出すために、リストラ状況などを確認したと見られるが、進捗状況が芳しくないと知ってか、三部氏の機嫌がすこぶる悪くなったという。リストラを決断できない内田氏に、暴れ馬と呼ばれる三部氏は、しびれを切らしたようだ。このままでは経営統合交渉の先行きが危ぶまれるため、ホンダ社内では「日産の役員人事にホンダが介入すべきだ」との声が上がったのだという。

 今期の最終利益が赤字に転落すると見られる日産は、カルロス・ゴーン時代に無謀な拡大戦略をとったため、過剰な生産設備を抱え込んでいる。そのため迅速なリストラが必要なのだが、井上氏の取材に対して、日産の元役員は次のように証言している。

「国内では追浜工場(横須賀市)や横浜工場(横浜市)、海外ではメキシコ工場の一部が不要だろうが、内田社長も生産担当の坂本秀行副社長も思い切って工場を閉鎖する覚悟がない」

 そんな内田社長のことを「決められない男」と断言する中堅幹部さえいる。

「内田社長は将来の計画を策定すること、重要な課題を決断することを苦手としているので、社長の器ではない」

内田氏を社長に選んだ“思惑”とは?

 そのような人物が、なぜ社長に選ばれたのか。そこにはルノーの思惑があったと言われる。

 2019年9月に西川廣人社長が報酬問題で辞任したため、日産の指名委員会は次期社長の選定に入った。当時専務だった関潤氏で一度は決まりかけたのだが、ルノーのスナール会長が待ったをかけた結果、なぜか内田氏が社長に選ばれたのだ。ルノーは能力の高い関氏よりも内田氏のほうが御しやすいと見たのではないか。当時のルノーは43%の大株主。その意向は重いものだった。

 一方の関氏はその後、台湾の鴻海精密工業に入り、電気自動車事業の最高戦略責任者となっている。今回のホンダと日産の経営統合交渉に先立って、関氏はルノーが保有する日産株の買い取りを打診している。

 このほか、ホンダと鴻海が日産を取り合う理由、日産が深刻な経営不振に陥った原因などを詳述した井上氏のレポート 「日産鈍感力社長にいら立つホンダ暴れ馬社長」 は、月刊文藝春秋3月号(2月10日発売)、および月刊文藝春秋のウェブメディア「 文藝春秋PLUS 」(2月9日先行公開)に掲載されている。

(「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2025年3月号)

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