ホンダ内部から不満「三部社長と内田社長が話して決めたことが、日産社内ですぐ覆される」〈大型再編“破談”の舞台裏〉
文春オンライン / 2025年2月12日 6時0分
![ホンダ内部から不満「三部社長と内田社長が話して決めたことが、日産社内ですぐ覆される」〈大型再編“破談”の舞台裏〉](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/bunshun/bunshun_76815_0-small.jpg)
日産自動車の内田誠社長(左)、ホンダの三部敏宏社長 ©時事通信社
経営統合に向けて交渉していたホンダ(三部敏宏社長)と日産自動車(内田誠社長)だが、2月6日に日産はホンダに協議打ち切りの意向を伝えた。両社の間で何が起きていたのか。
◆◆◆
「今の日産は部品をわざと高く購入している」
日産の生産や調達部門に詳しい元役員は、経営トップに覚悟がないと批判する。
「国内では追浜工場(横須賀市)や横浜工場(横浜市)、海外ではメキシコ工場の一部が不要だろうが、内田誠社長も生産担当の坂本秀行副社長も思い切って工場を閉鎖する覚悟がない。
工場閉鎖で得られるコストダウン効果はそれほど大きくないが、社内外に危機感を示す効果がある。今後、ゴーン氏が取引先を1145社から600社に減らしたようなリストラも必要になる。下請け部品メーカーはさらに厳しい経営状況になるのだから、日産が自ら身を切る覚悟を示さなければならない」
驚くことにこの元役員はこんな指摘もする。「今の日産は部品をわざと高く購入している。下請けから高い見積もり価格を出させておいて、いざコストカットしたときの値下げ幅を大きくするためです。そうやって購買部門の手柄にしている」
果たして本当にそんなことがあるのか。別の元役員に確認すると、そうした実態を認めた。日産とホンダ両社と取引がある部品メーカー幹部も「同じような部品を日産の方が高く買っている」と証言する。
「外国人から要求されると、丸呑みしてしまう」
さらに、その元役員はこう言い放った。
「こうした緩い仕事をして出世した代表格が購買部門出身の内田社長であり、かつ、同じく購買部門出身で内田氏の最側近と言われる経営戦略担当役員の渡部英朗氏です」
ある日産社員も「うちの社長と、経営戦略担当役員は社内で『英語ができるバカ』と陰口をたたかれている」と明かす。
「日本で働く外国人社員には、『地震手当』などの福利厚生費を入れると、課長クラスでも役員級の労務コストがかかっている。うちの社長は外国人から要求されると、英語で直接話して丸呑みしてしまうことが多い。外国人社員らは『内田は俺たちの操り人形だ』とバカにしている」
ホンダ内部からも「三部敏宏社長と内田社長が話して決めたことが、日産社内ですぐに覆される。渡部氏もサポート役として機能していないように見える」との不満が出ている。
ルノーが内田氏を選んだ理由
内田氏が社長に選任された経緯には、鴻海の関潤氏との因縁がある。19年9月に西川廣人社長が報酬問題で辞任し、日産の社外取締役を含む6人で構成される指名委員会は次期社長の選定に入った。3人が当時専務の関氏を推し、2人が三菱自動車COOのアシュワニ・グプタ氏、1人は暫定CEOの山内康裕氏を推した。
「関氏が社長に決まりかけたが、そこにクレームを付けたのがルノー会長のスナール氏。もう一度選び直した結果、氏の推薦でいつの間にか内田氏が選ばれた。ルノーは能力が高い関氏よりも、内田氏の方が操りやすいと見たのではないか」(関係者)。当時、ルノーは43%の大株主。その意向は重いものだった。
内田氏が19年12月1日付で社長に、前述したように関氏は副COOに就任。関氏が構造改革担当となり、「日産NEXT」を中心となって策定した。
ところが翌日の就任会見では、挨拶の内容をめぐってひと悶着あったという。ある日産OBが明かす。
「関氏や一部の幹部が、『日産は過去を完全に否定して、一から出直す』との主旨の文言を入れるように要求したが、内田氏は『私は過去を否定できない』と拒否したのです」
そのやり取りを知る別の日産社員は「内田さんで本当に難局を乗り切っていけるのか」と不安を覚えたという。
※本記事の全文(約9000字)は「文藝春秋」2025年3月号と、月刊文藝春秋のウェブメディア「 文藝春秋PLUS 」に掲載されています(井上久男「 日産(鈍感力)社長にいら立つホンダ(暴れ馬)社長 」)。全文では下記の内容をお読みいただけます。
・ ルノー本社を訪れた男
・なぜ経営不振の日産を
・ホンダ単独では生き残れない
・経産省とみずほに根回し
・安売りしないと売れない
・ホンダ自社株買いの覚悟
・フジテレビの光景と重なる
(井上 久男/文藝春秋 2025年3月号)
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