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《国交省職員バラバラ遺体事件》大木滉斗容疑者(28)の母“5時間独占告白”「消費者金融から30万円返済請求」「息子が綴った最後の手紙」「パニックになって息子に突き飛ばされた」

文春オンライン / 2025年2月8日 18時20分

《国交省職員バラバラ遺体事件》大木滉斗容疑者(28)の母“5時間独占告白”「消費者金融から30万円返済請求」「息子が綴った最後の手紙」「パニックになって息子に突き飛ばされた」

大木滉斗容疑者 ©︎朝日新聞

〈 《犯行直後の動画入手》“東大阪バラバラ遺体事件”大木滉斗容疑者(28)が見せた狂気の瞬間「突然“死ね”と言い放ち…」「暴力団に入る」「頭部が入った保冷バックを廃マンションに」 〉から続く

 東大阪市の山中などで、国土交通省職員の神岡孝充(たかみち)さん(52)の切断された遺体が見つかった事件で、死体遺棄の容疑で大木滉斗(ひろと)容疑者(28)が逮捕された。

「大木に似た男がスーツケースを引っ張りながら山に向かっていく様子が防犯カメラに映っており、防犯カメラのリレー捜査によって容疑者の特定に至りました。大木は今月2日、和歌山県の三段壁付近をうろついていたところを発見され身柄を確保。その後の捜査で大木が大阪で被害者のキャッシュカードで50万円ほどの現金を引き出していたほか、京都市内のコンビニでも現金を引き出す様子が防犯カメラに映っていたことがわかっています。警察は大木の単独犯行とみて捜査を進めている模様です」(社会部記者)

 大木はなぜこのような残虐な行為に手を染めてしまったのだろうか。事件を受けて、大木の母A子さんが「週刊文春」の単独インタビューに応じ、のべ5時間にわたってその胸の内を明かした。

 ◇◇◇

「息子がとんでもないことをしました。被害に遭われた方とその遺族の方々には本当に申し訳なく思っています。ただ、私たちも滉斗がなぜあんなことをしてしまったのか分かりません。恥ずかしながら私はこの4年ほど息子に距離を置かれていました。私が知っている限りでは人を殺めてしまうような子ではありません。きっと私の知らない間に息子は遠くに行ってしまったんだと思います……」

 今となっては簡単には乗り越えられない「溝」が生まれてしまった母と息子だが、昔は仲が良かったという。

「滉斗は本当は目立ちたがり屋なんです。小学生の時は応援団長をやっていましたし、行事があるごとに手を挙げてね。ピアノは小さい頃からやっていて、中学は硬式テニス部、高校は軽音学部でバンドをやってました。それで何かの発表会の時はよく私に見に来て欲しいって言ってたんです。大学の音楽サークルのライブまで来てって言われてましたよ。(母親を呼ぶのは)男の子にしては珍しいでしょう?」

中3の秋、教室で自ら首を…

 A子さんは実家でピアノ教室を営んでいた。その関係で大木も小さい頃からピアノに触れていた。成長して地元を離れても、実家に帰ってくるたびに鍵盤を叩く息子の姿が目に焼き付いている。自分の部屋に閉じ籠ったりせず、ピアノのある部屋で長い時間を過ごしていたという。

「これ言うと親バカみたいなるけど、練習しない割には上手に弾けた。勉強もそう。大して勉強もしないのに難しい問題が解けたり、賢かったな。いろんな才能がある子やったから、磨けば光るってずっと思ってた。なのになんでいつも選択を間違うんかな……」

 大木の人生に影が落ち始めたのは中学生の時。クラスメートからのいじめだった。3年間にわたるいじめに耐えかねて、中3の秋に教室で自ら首を吊ろうとした。

「あの時から滉斗は暗くなっていきました。でもいじめのことも何も言わなかった。自分はそんなことに負けてないって思いたかったんでしょうね。私がガンになったのもその頃。5年後私が生きてるかどうか考えたときに、このままじゃって思いが出てきて、あの子に必要以上に厳しく当たっていたかも。『いじめられんようにしなさい』とか言ってしまってたな……。あの子傷ついたよな」

 助けてくれる大人がいなかったことが、孤立に向かう大木の心に深く刻まれたのかもしれない。時おり息子と年齢の近い記者に対して、もう会えないかもしれない息子の気持ちを確かめようと言葉を繋ぐ。

「どう思います? 私は言い方間違っていたんかなあ。大学受験の時も強くなじってしまったし。だって普通せんようなミスしてしまうんやもん。そういうのやっぱり傷になりますよね?」

 大学受験に臨んだ大木は、受験票忘れや受験番号の記入間違いで希望した大学への進学の道を閉ざされていた。

「私には見せんようにしてたけど、かなり落ち込んでいたみたい。でもこっちも言いたくなるから強く言ってしまった」

 その頃から母と息子の距離は開いていった。

恐怖症のように母を拒絶するように

 1年浪人の末、後期試験で合格した和歌山大学に進学。1年生時は様々な授業に出席し、やる気を見せていた。しかし生活の面では共同生活が合わず住んでいた寮から逃げ出してしまう。

 2年生の時にほとんど大学に通えなくなった。親に内緒で大阪市内に部屋を借りバイト生活を送っていた。母が居場所を突き止めて訪問するとまるで恐怖症のように母を拒絶するようになっていたという。

「正月にはおばあちゃんのとこに滉斗がいるっていうから好きなもの持っていってあげたんよ。そしたらお化けを見たときみたいにパニックになって息子に突き飛ばされてしまいました。私が本当に怖かったらしい」

 母を避ける行動はただの反抗とは言えないほどにまでなっていた。

 3年生の途中から休学。知人に紹介してもらい、姫路にあるという働き口に就職するために新生活の準備をする大木は最後に母親への手紙を書いていた。そこに書かれていたのは「孤立に向かっていく」という彼の選択だった。

〈この4年間でいろんな人を見ていく中で、「他人が自分の選択に関与して結果がどう転んでもその他人は責任など取ってくれないこと」また「一人になってもそれなりに生きていくだけなら何とかなる」ということを悟ったので、あなたの元をしばらく離れようと思います。〉

〈ようやく手に入れた私の平穏をどうかそっとしておいてほしいのです。〉

 しかしこうも綴られていた。

〈あなたがある形の愛情を持って接してくれたことは認識しているつもりです。今は能力的にも金銭的にもそれには及びませんが、何らかの形で恩返しできればと考えています。〉

〈あらゆることは時間が解決してくれることを切に願っています。〉 

 息子から母へ最後の連絡となった手紙には別れの言葉と、感謝も綴られていた。

実家に届いていた異変

 そして、この手紙から4年後――。母が待つ場所とは程遠いところに大木は今いる。

「直接会ってないけど、滉斗を信じて、帰る場所は作っとかなあかんと思ってずっと……。でも恩返しをするって言うのも実現できてないやんか。だから帰って来られへんやったんとちゃいますか。やっぱりお金に困ってたんやろうか」

 大木が就職した時から、実家からの仕送りは基本的にしていないという。しかし現住所に設定してある実家には今回の犯行の動機と言えるかもしれないものが届いていた。

 消費者金融から借りた30万円の返済請求である。A子さんが続ける。

「金遣いは荒くない子。そんな派手なもの身につけへんし、タバコも吸わん、酒にも浸っていた様子はないですし。今まで貯めてきたお年玉もその時送ったんです。何でそんな金必要やったんか……」

 最後に、憔悴しきった様子でこう言葉を振り絞った。

「息子がこのような事件を起こしたいのはまさかのことであり、戸惑いと驚きと悲しみで心の中が渦巻いてます。被害者のご家族、ご友人は大きな喪失感、悲しみで大層心乱れておられることを察して、心が痛んでやみません。適当な言葉も頭に浮かびません。私の存在が息子の抑止力にならなかったことが残念です」

 被害者だけでなく加害者の家族も不幸に突き落とした今回の事件。大木をそこまで駆り立てたものはいったい何だったのか。

◆◆◆

「週刊文春」では、今回の件について情報を募集しています。文春リークスまで情報をお寄せください。

 文春リークス: https://bunshun.jp/list/leaks

(「週刊文春」編集部/週刊文春 電子版オリジナル)

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