あの“時代の寵児”企業、経営危機に 否定した疑義を一転認め、赤字転落と株価暴落

Business Journal / 2014年12月22日 6時0分

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 エネルギーベンチャーで東証マザーズ市場に上場しているエナリスが、経営危機を迎えている。売り上げ計上に疑義があるとの一部報道に端を発した株価の乱高下を受け、当初同社は疑義を否定したものの、結局は業績下方修正を発表したのである。投資家が離反しつつある上、株価の急落によって取引先からも同社の先行きを不安視する見方が出ている。

 事の発端は10月23日付ウェブサイト「東京アウトローズWEB速報版」記事で、エナリスの売り上げに実態の伴っていないものが紛れている可能性を指摘。具体的にはテクノ・ラボという企業への売掛金が約10億円あるが、この企業には実態といえるものがないと指摘している。

 この報道を受けて、翌24日にエナリスの株価は制限値幅いっぱいの300円安となる790円にまで売り込まれている。同社側は報道に対し反論し、26日付リリースでは「刑法上の信用毀損罪および偽計業務妨害罪を構成するのみならず、相場変動を図る目的をもって、風説を流布することを禁じる商品取引法第158条の規定にも抵触する重大な疑念がある」とし、断固法的措置を取る覚悟であるとしていた。

 エナリスは企業などに対し電力料金の削減や効率的利用を指南したり、電力の代理購入で売上高を伸ばしてきた。2013年10月には東証マザーズ市場に上場し、スマートグリッドなど次世代のエネルギーマネジメントでも高い成長性が評価されていた。このため、売り上げ計上に対する疑義はいずれ沈静化するとみられていた。

●疑義認め、業績下方修正

 ところが、エナリスは11月9日、同14日に予定していた14年12月期第3四半期決算発表の延期を発表する。延期の理由について同社は、「一切の懸念を払拭しご安心を頂くため、予定通り外部専門家を含む社内調査委員会を設置し、その調査結果および監査法人のレビューを踏まえて発表を行う」としている。

 そして、1カ月後の12月12日に開示された決算では、なんと14年12月期業績予想の下方修正を発表したのである。さらに、下方修正の理由として前述のテクノ・ラボとの取引が含まれていたのだ。

 売上高は期初計画を85億円下回る349億円、最終損益は従来12億円の黒字予想が一転、34億円の赤字になる見通しになった。理由は会計上疑義の生じる可能性のある取引について、過去の売上高を取り消したり、完全子会社化した企業ののれん代の全額減損損失計上などが要因としている。つまり「東京アウトローズ」記事の指摘は概ね正しかったことになる。

 これを受けて株式市場では失望売りや狼狽売りが出て、直後に上場来安値を更新した。12月17日の株価は434円で、今年の最高値2585円からの下落率は83%に達する。同社は投資家からの信任を失った状態といえる。

 10月26日に「一点の曇りもなくそのような懸念は一切ない」としていた池田元英社長は12月19日、ついに退任を発表した。取引先の離反が進めば、一時は時代の寵児といわれた企業が、深刻な経営危機に陥る可能性も指摘される事態に見舞われている。
(文=編集部)

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