朝日新聞“大誤報”は安倍政権の陰謀?業界関係者が語る「ハンセン病家族訴訟」報道の真実

Business Journal / 2019年7月11日 5時40分

 というのも、9日付朝刊で朝日新聞がこの“大スクープ”を放ったその“影”で、同じく9日付朝刊の毎日新聞が、2面という地味な扱いながら、「ハンセン病家族訴訟 政府内に控訴断念論」と報じていたのだ。毎日新聞はこの記事で、「控訴をせずに国の責任を認めるべきだとする意見が政府内で浮上している」と指摘。さらに、「判決を確定させることに官僚側から反対の声もあり、政府は慎重に検討して近く態度を表明する」とした上で「自公政権には元患者への賠償責任を認めた01年判決で、当時の小泉純一郎首相が判決を受け入れ、訴訟終結につなげた実績がある。このため首相官邸を中心に、今回も控訴せず政治解決すべきだとの考え方が広がりつつある」などといった裏事情までをもしっかりと解説していた。

朝日と安倍政権の“距離の遠さ”

 ある全国紙の元政治部記者は「今回の件についていえばやはり朝日は単純に、安倍首相自身やその周辺への取材が足りていなかったのではないか」という見方を示す。

「朝日の当初記事には、『政府内では今回の判決に対して控訴せず確定させることはできないとの意見が強く、控訴期限の12日を前に控訴する方針』と書いてあるが、これは法務省や厚生労働省など役所側で大勢を占めていた意見。この朝日の記事では官邸側の思惑についてはほとんど触れられておらず、役所側の感触に重点を置いて記事を書いたのではないか」(全国紙の元政治部記者)

 また他の全国紙で霞が関の取材をしているベテラン記者は、「マスコミ各社もしばしば報じているように、安倍政権はまさに『官邸主導』で、政策に関しても官邸の決断が大きい。なので、特に重要な政治案件においては、安倍首相と周辺がその案件についてどう考えているのか……という“感触取材”が欠かせない」と指摘する。

 朝日自身は10日付朝刊2面で、「本社記事誤った経緯説明します」という、栗原健太郎・政治部長の署名による記事を掲載。その中で「政権幹部を含む複数の関係者への取材を踏まえたものでしたが、十分ではなく誤報となりました」と、取材不足による誤報を認めた。

 前出の全国紙経済部中堅記者は、最後にこう分析してみせた。

「安倍政権になって朝日は安倍政権批判を強めており、安倍首相や政権幹部とは距離がある。今回の朝日の“大誤報”ははからずも、そうした事態を最悪の形で示してしまったのではないか」

(文=編集部)

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