日本郵政の介入に屈して放送延期したNHKに、国民が受信料を払う根拠は失われた

Business Journal / 2019年10月3日 19時0分

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「これを介入じゃないというなら、いったいなんと言うんですかね」

 憤りを露わにするのは、メディア情報法が専門の立教大学名誉教授・服部孝章氏だ。

 昨年4月、NHKの報道番組『クローズアップ現代+』で、かんぽ生命による保険の不適切販売問題が取り上げられた。NHKは続編のための情報提供を求める動画をツイッターに投稿したが、これに対して、日本郵政グループは一部誤りがあるなどとして削除を要求した。動画は削除され、続編の放送は延期された。

 さらに昨年10月には、日本郵政グループはNHK経営委員会にガバナンス体制についての説明や検証を求める文書を送付。それを受けて経営委員会は、上田良一NHK会長に厳重注意していた。

「高市早苗総務相も介入ではないというようなことを会見で言ったけれども、介入じゃなかったらなんなのか。日本郵政とNHK経営委員会で感想を述べあったとでもいうんでしょうか。森友学園や加計学園のときに、財務省とか文部科学省とかが忖度して、文書を隠したり改ざんしたりしていたのと同じようなことが起きているわけですよ」(服部氏、以下同)

 財務省や文科省が忖度したのは安倍政権。NHKがその意向を受けたのは、民間企業である日本郵政である。

「総務省の郵政官僚が日本郵政に天下ったりしている、そういうズブズブの関係にあって、民営化されたといっても純然たる民間企業とは言えないわけです。上田会長に厳重注意したことに対して、経営委員会宛てに感謝する文書を送った、日本郵政の鈴木康雄・上級副社長は、元総務省事務次官です。

 話の前提として、NHKは受信料で成り立っているわけです。そういう意味で社会からの負託を受けている組織なんだから、誰がなんと言ってきたって毅然とした態度を取るべきです。それが、ひれ伏すようなことをやっている。社会への裏切りであるし、報道に携わるものとしての自負とか矜持はないのでしょうか」

 昨年4月の『クローズアップ現代+』の放送を皮切りに、他のメディアによる取材が広がり、金融庁による調査も行われ、今年7月、かんぽ生命は不適切販売問題を認めて謝罪するに至った。問題を掘り起こしたNHKの現場の取材陣の奮闘は讃えられるべきであり、問われるべきは上層部による介入である。

「そういうことはいろいろありましたね。集団的自衛権を容認するという憲法解釈についてゲストに招いた菅義偉官房長官に鋭く切り込んだこともあった、国谷裕子さんは『クローズアップ現代』のキャスターを降ろされました。ほかにも政権の意に沿わない発言をするキャスターが降ろされましたよね。今では政権の代弁者かのような、岩田明子さんみたいな人が、解説委員や記者として跋扈するありさまです。

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