ホームレス受け入れ拒否で表面化…避難所、出張者・旅行者・ネカフェ難民は入れない?

Business Journal / 2019年10月15日 16時43分

 東日本大震災の際、こんなことがあったのをご存知だろうか。

 イルカ漁を細々と行っている岩手県大槌町には2011年3月11日、大津波が押し寄せた。津波は町役場を全壊させ町長や町幹部職員を含む住民計1286人が死亡した。そんな時、町には国際的な反捕鯨団体のシー・シェパードのメンバー6人が「イルカの保護のため」に訪れていたのだ。当時、現地を取材していた地元紙記者は次のように話す。

「シー・シェパードのメンバーはちょうど漁業者の行動を監視中だったそうです。さらに彼らを行動確認する警察の公安部の車両とともに大地震に遭遇しました。まるでアニメのトムとジェリーのように一緒に逃げたそうです。大津波が来るころには高台にいて、その後、漁船から漏れた重油などに引火し、町は大火災となりました。

 彼らは被災住民の救助を手伝おうとしたものの果たせず、当日は車中泊し、警察に内陸の遠野市のホテルに行くよう言われましたが、徒歩で約40キロあったため現場で右往左往していたそうです。

 そんな時に地元漁業関係者が『乗っけていってやるよ』と数少ない稼働可能な自動車とガソリンを提供。被災した別の商店主の運転でなんとか遠野市に逃れたとのことです。彼らは究極の帰宅困難者で、町の住民にしてみればよそ者中のよそ者です。でも、後でこの件に関わった住民に話を聞きましたが、『ああいうときはおだがい様。どこの誰かなんて関係ない』と話していました。結局、災害時はこういう助け合いができるかどうかなのだと思います」

 当時のことを、このグループのリーダーのスコット・ウェスト氏は手記で、「この日、われわれに向けられた親切と寛容さを、書きつくすことはできない」「日本の人々は暖かくて親切だと、これまで以上に確信することになった」と振り返っている。

 災害時にはいろいろなトラブルが発生する。中でも住民以外の「部外者」をどうするのかは大きな問題だ。ただでさえ、飲料水や食料の配分をどうするのかなどをめぐって、行政間、住民間、そして行政と住民間などさまざまな関係が険悪になる。ただ、どんな場所でも「犠牲者を出さない」ということが最も重要視されるべきなのは間違いない。

 来年には東京五輪が開かれる。期間中は台風の季節にも重なり、今回のような風水害が起こる可能性は否定できない。東南海トラフ地震、首都直下型地震の発生も懸念されたままだ。防災インフラなどハード面の検証も当然だが、もしもの時、一人ひとりがどう動くのかをもう一度、確認したいものだ。

(文=編集部)

 

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