徴用工、韓国の基金創設法案に国内でも抗議広がる…韓国政府に補償責任ある事実を隠蔽

Business Journal / 2019年12月23日 17時30分

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 韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は12月18日、元徴用工への賠償問題の解決策として、「記憶・和解・未来財団法」の制定案を発議した。これは、日韓両国の企業、国民が自発的に拠出する寄付金によって基金を創設し、それを元徴用工及び遺族らに慰謝料を支払うという内容だ。

 これを受けて日本政府は、「日本側が許容できる解決策を、韓国政府が責任を持って提示するよう要求する」との方針だという。また、同法案に対する韓国政府の立場がまだ確認されていないとして、慎重に事態の推移を見極めていくとの見解が報じられている。

 一方、韓国内でも、同法案が「徴用被害者が記憶・和解・未来財団から慰謝料を受け取れば、裁判所の判決を受けた日本の戦犯企業に対する強制執行請求権や裁判請求権などを放棄したものとみなす」と規定していることから、徴用工訴訟に関係する弁護士や市民団体から抗議の声が上がっている。

 11月28日付記事『徴用工問題:個人の慰謝料請求権、韓国政府に補償義務があることを韓国政府が隠蔽』でも言及したが、日本国としては、「賠償金は支払っており、問題は解決済み」との立場だ。確かに、国際的にみて、元徴用工のような個人の損害賠償請求権を国家間の協定によって消滅させることができないとの考え方が一般的だ。だが、1965年に締結された日韓請求権協定では、当時の韓国の国家予算の2倍以上となる巨額の賠償金を支払い、韓国政府が韓国国民に補償金を支払う旨を約束している。個人の請求権が消滅していないとしても、補償すべきは韓国政府なのだ。

 だが、韓国政府は国民の反日感情を政権の支持率維持に利用するため、その事実を国内では明らかにしていない。そのため、今回の「記憶・和解・未来財団法案」が提出されても、韓国国民は「加害者が解決すべきなのに、なぜ韓国側が金を出すのか」「まるで我々が加害者のようではないか」「(日本は)盗人猛々しいにもほどがある」といった拒絶反応を起こしているのだ。「加害者の日本が補償すべきなのに、なぜ財団を設立しなければならないのか」と、法案が提出された理由が国民に理解されないのは、こうした背景が原因だ。

 18年10月に韓国大法院が日本製鉄、三菱重工業、不二越などの日本企業に対して、元徴用工や遺族へ損害賠償を支払うよう命じる判決を出したにもかかわらず、これに各社が応じていないことに腹を立てているが、歴史的背景を知らなければ、その反応も無理からぬところなのかもしれない。

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