広報の終わり?企業はなぜ「メディア化」するのか?スタバ、マック、コカ・コーラ…

Business Journal / 2015年6月20日 6時0分

 ブランドジャーナリズムとコンテンツマーケティングとは、どのように違うのでしょうか。コンテンツマーケティング情報紹介サイト「Content Marketing Lab」(2015)は、それは購買の意思決定のどの段階に影響を与えるのかの違いだとしています。つまり、ブランドジャーナリズムは購買プロセスの第一段階である、そのブランドを知る 「認知」よりも前段階と、購買後の段階で安心や信頼などの影響を与えるというのです。コンテンツマーケティングは、すでに認知した顧客、あるいは購買を検討している段階の顧客に対して影響を与えるのが狙いだとしています。

 また、コンテンツ発見サイト「popin」(2015)では、ブランドジャーナリズムは、コンテンツマーケティングの上位概念とされています。つまり、顧客や利害関係者の信頼を勝ち得る手段でもあるのです。この意味では、ブランドジャーナリズムは、伝統的な広報に代わる手段として捉えられています。popinによれば、米P&Gは2015年にプレスリリースを廃止すると約束している、と伝えられています。

 実際、米スターバックスの「Starbucks Newsroom」は、自社のニュースのページでありながら、ブランドジャーナリズムとも読める豊富なコンテンツを提供しています。GEは前述のアイデアラボを展開しつつ、同時に「GE Reports」という自社のニュース中心のサイトを展開しているのです。

 米マイクロソフトの「Stories」という広報ページにも同様に注目すべきです。ここでは自社の情報を広報として流すのではなく、人にフォーカスしたニュースコンテンツを掲載しています。例えば、雑誌「ナショナルジオグラフィック」の写真家がマイクロソフトのスマホの写真機能を活用してヒマラヤで撮影した、というようなニュースです。つまり、広報のための自社サイトが、かなりな程度ブランドジャーナリズム化しているのが現状なのです。

 ブランドジャーナリズムの手法を取り入れることには、実際的なメリットもあります。それは、SEO対策のひとつにもなり得るという点です。米グーグルのサーチエンジンは11年にアルゴリズムを改訂して、サイトの「新鮮さ」を重要なファクターとして採り入れました。検索数の35%が、この新鮮さに影響されるというのです。

 これらの見解をまとめてみましょう。我々はブランドジャーナリズムとコンテンツマーケティングとをうまく使い分けることが必要だと考えられます。さらにいえば、ネイティブ広告(ウェブサイトのコンテキストと同化した記事体広告)とも連動する必要があります。その位置関係を明らかにしたのが、図2です。

※詳細図表は以下を参照
http://biz-journal.jp/2015/06/post_10430.html

●まとめ

 ブランドジャーナリズム概念は、それまで企業から発信されるメッセージを単一のワンボイスと考えられていたところを、マルチボイスに変え、多面的にその企業やブランドのありようを顧客に伝える役割を担うことになりました。しかし、そのマルチボイスの底流には、その企業の一貫した姿勢がなければなりません。また、企業からのメッセージ戦略を、より客観的なもので、顧客からの信頼を得る方法として、今後さらに注目される手法ということができるでしょう。
(文=田中洋/中央大学ビジネススクール教授)

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