認知症の予防法はない?いや、早期予防は重要?「わけのわからなさ」からわかること

Business Journal / 2015年9月8日 6時0分

写真

 初めまして。名郷直樹といいます。「なごう」と読みます。「名古屋が故郷」で「名郷」というわけですが、実際に名古屋の出身です。

 12年前から首都圏で働くようになり、今は都内で開業する一臨床医です。専門はありません。専門のないただの医者です。内科でもなければ外科でもありません。小児科でもなく精神科でもありません。一応、医師免許はあります。

 ここ20年以上、根拠に基づく医療(Evidence-Based Medicine: EBM)の実践と教育に力を入れてきました。EBMといってもなんだかわからないと思いますし、「根拠に基づく」なんていっても、「根拠に基づかない医療なんてあるのか?」と疑問を持たれるかもしれません。

 しかし、実際には根拠に基づかない医療があふれています。

 インターネットの普及によって、何かの症状や病気について調べたいと思えば、簡単に調べられるようになりました。しかし、それは患者さんにとってよい面だけとは限らないようです。むしろ害が多いと言ったほうがいいかもしれません。なぜなら、ネット上の医療にかかわる情報のほとんどがでたらめだからです。

 もちろん、筆者の書いていることだってでたらめかもしれません。むしろそう思って読んでいただいたほうがいいでしょう。ただここでは、単なる医療についての情報だけでなく、自分が接している情報がまともなものなのかどうか、吟味する方法も含めて皆さんに提供していきたいと思います。読み手の皆さんそれぞれが、ここに書かれていることが本当なのか、熟考できるようなかたちで情報を提供しようというわけです。

 例えば、認知症の予防についてインターネットで検索してみましょう。「認知症」「予防」の2語で検索すると、筆者のPCでは認知症に関する情報提供サイトが一番上に表示されますが、こんなことが書いてあります。

「現時点では残念ながら、『こうすれば認知症にならない』という方法はありません」

 しかし、そのあとにはこう書かれています。

「最も重要なのは、早期から根気強く予防対策を行うことです」

 わけがわからないですね。

 このサイトは真っ当なほうです。冒頭に書かれた「よくわかっていない」というような記述はだいたいが本当です。これが本稿のポイントでもありますが、きちんと勉強しなければこういうことはわかりません。だからこのサイトは案外まともではないか、と大雑把に予想できるわけです。

 ただ「予防方法はよくわかっていない」なんて、本当のことを書いてしまったものですから、この後に書いたことと矛盾が生じてしまうわけです。

 しかし、「予防方法はないけど、予防対策が最も重要」という矛盾した表現も、善意に解釈すれば「無駄かもしれないけど、やってみよう」というような、今後の可能性に賭けた前向きなチャレンジということになるのでしょう。よって正しく解釈すれば、「こうやれば予防できる」ということではなく、「無駄かもしれないけど、がんばりたいのであればこんな方法を提案します」ということになります。

 こんなふうに医療に関するさまざまな情報が正しく解釈できるように、これから月1回くらいのペースで執筆していきますので、よろしくお願いします。
(文=名郷直樹/武蔵国分寺公園クリニック)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング