「南京事件」資料の記憶遺産登録、大騒ぎするほど中国の思うつぼ?

Business Journal / 2015年10月16日 6時0分

 そして、虐殺が起きた原因として、

「宣戦布告がなされず『事変』にとどまっていたため、日本側に、俘虜(捕虜)の取扱いに関する指針や占領後の住民保護を含む軍政計画が欠けており、また軍紀を取り締まる憲兵の数が少なかった点、食糧や物資補給を無視して南京攻略を敢行した結果、略奪行為が生起し、それが軍紀弛緩をもたらし不法行為を誘発した点」

などを指摘している。

 外務省ホームページでも、「南京大虐殺」について、日本軍による「非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない」とし、日本側の行為について、日本政府は「痛切な反省」「心からのお詫びの気持ち」を持ち続けている、と書かれている。

 安倍首相も、この8月に戦後70年を迎えた談話の冒頭、「歴史の教訓の中から、未来への知恵を学ばなければならない」と述べた。さらに、「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」を表明してきた歴代内閣の姿勢は、「今後も、揺るぎない」と誓っている。

 そうであれば、戦後70年たって、この悲惨な出来事を目撃した人の多くが世を去った今、国連機関がそれを記録した資料を保存し、共有し、後世に伝えることに反対する理由はないだろう。「過去の一時期の負の遺産をいたずらに強調しようとしている」(菅官房長官)などという日本政府の反応は、「痛切な反省と心からのお詫びの気持ち」とは矛盾しているのではないか。

●世界からの評価を下げる日本の対応

 大事なことは、中国を言い負かすことではなく、国際社会の中で日本がどのように振る舞っていくかだ。

 被害者数の問題は、当事国の日本と中国にとっては重大だが、よその国々にとっては、どうだろうか。おそらく、多くの捕虜や市民が日本軍の行為の犠牲になったという本質部分が重要で、正確な被害者数にはさほど大きな関心が払われていないのではないか。そういう観点からすれば、日本政府の態度は、言行不一致で歴史に誠実ではないように映るだろうし、大騒ぎすればするほど日本の評価を下げるだけのように思われる。それは、中国の思うつぼにはまっているのではないか。

 ましてや、自分たちに都合のいい事実の断片のみをとらえて、「南京事件はなかった」「すべて中国政府の捏造」などと騒いでいる人たちは、自分たちの行為こそが日本の品格をひどく貶めていることを自覚すべきだ。こういう人たちの存在を考えると、歴史に関する「記憶遺産」をしっかり残し、共有化していくことは、本当に大切だとあらためて感じる。

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