ココナッツオイルの「効果」に疑問?間違うと無意味?植物油は認知症の危険

Business Journal / 2015年10月23日 6時0分

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 先日、ある女性誌で植物油の特集が組まれていました。若い女性に人気のモデル、ミランダ・カーさんが食べている美容オイルとして一躍ブームになったココナッツオイルや、グレープシードオイルなどが取り上げられ、それぞれの効能が記されていました。

 最近はこうした植物油の特集を組む雑誌も多く、いろいろな植物油への関心が高まっており、それはそれで良いことだとは思うのですが、残念ながらどの雑誌でも本当のことは書かれていません。

 例えば、ココナッツオイルは、メアリー・T・ニューポートというアメリカの小児科医が、若年性アルツハイマー病を51歳で発症した夫にココナッツオイルを食べさせたところ劇的に症状が改善し、その体験を詳しく報告した著書『アルツハイマー病が劇的に改善した! 米国医師が見つけたココナツオイル驚異の効能』がベストセラーになり、日本でも注目されるようになりました。

 ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸の働きがアルツハイマー病の症状改善をもたらしたと考えられています。しかし、誰にでも効果があるのではなく、その効果はアメリカで3人に1人との報告もあります。さらに、予防効果については未知数だそうです。

 しかし、このことがきっかけとなってココナッツオイルが持つ美肌やダイエットなど、ほかの効能にも注目が集まり、ミランダ・カーや日本のタレントが美容オイルとして使っていることで、一躍ブームが始まりました。

 こうしたココナッツオイルの持つ効能は良いとしても、脂肪酸は三大栄養素のひとつである脂質の主成分なので、ココナッツオイルを単体で摂取しても意味がありません。本連載で何度も述べてきたように、リノール酸の過剰摂取をやめ、不足しがちなオメガ3脂肪酸(DHA、EPA、アルファリノレン酸)を毎日摂取するという「必須脂肪酸バランスの良い食生活」ができた上でココナッツオイルの効能も意味あるものになります。

●正しい摂取方法を伝えないメディア

 植物油の摂り方の本当のことが伝わっていないのは、伝える側に問題があるためです。雑誌やテレビでココナッツオイルなどの薬効や美容効果を取り上げるのを目にするたびに、必須脂肪酸バランスとセットで伝えていないことに憤りを感じています。

 メディアで特集を組む場合、担当者は油についてかなり調べます。すると、リノール酸の過剰摂取とオメガ3脂肪酸の不足が現代人の健康を害していることに必ず行き当たります。実際、あるテレビの取材を受けた際、ディレクターはそのことをかなり知っていました。しかし、ココナッツオイルを良い油として取り上げても、サラダ油が悪い油だとは口が裂けても言わないのです。スポンサーのことは考えても読者や視聴者の健康は二の次なのです。

 サラダ油に含まれるリノール酸を熱すれば、認知症の原因となるヒドロキシノネナールという神経毒が発生します。ココナッツオイルが必要になったのは、これが原因かもしれません。

 ココナッツオイルで劇的に改善した例は日本でも報告されていますので、アルツハイマー病に罹患している人が試してみる価値はあるようですが、まず、サラダ油などの悪い油の摂取をやめ、必須脂肪酸のバランスを整えることが先決です。美容効果についても同じことがいえます。

 ちなみに、冒頭に出てきたグレープシードオイルは7~8割がリノール酸なので、摂る必要のない植物油です。
(文=林裕之/植物油研究家、林葉子/知食料理研究家)

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