オリンパス、自社の代名詞・カメラ事業撤退の衝撃…累積損失が1000億円、再建を断念

Business Journal / 2020年7月21日 6時0分

 オリンパスがカメラに進出したのは比較的新しい。大卒の初任給が約1万5000円だった1960年前後、安いカメラでも2万円以上、独ライカ製は20万円もした時代に、ある若手社員の発案で「月収の半額で買うことができるカメラ」の開発にオリンパスは取り組んだ。

 1959年、「オリンパスペン」シリーズが発売された。顕微鏡メーカーとして創業したオリンパスは、ペンのヒットで一躍、世界に名を知られるカメラメーカーとなる。オリンパスペンは大衆カメラの代名詞となった。72年、「OM」ブランドで軽量一眼レフを世に出した。その後も、91年、コンパクトカメラ、96年、デジタルカメラ市場に参入した。08年に「ミラーレス一眼」の販売を始めた。コンパクトでおしゃれなデザインが女性の心を惹きつけ、2010年頃からブームとなった「カメラ女子」の牽引役ともなった。

 だが、10年代に入ると、スマートフォンにカメラ初心者を奪われ、デジカメ市場に逆風が吹き付けた。カメラ映像機器工業会(CIPA)の統計によると2019年(暦年)のデジカメの世界出荷台数は前年比21.7%減の1521万台。ピークの10年(1億2146万台)の8分の1となった。スマホで簡単に高画質の写真が撮れるようになり、ポケットにデジカメを入れておく、生活必需品の時代は過ぎ去った。

 19年11月10日、天皇陛下の即位祝賀パレードが行われた。沿道は、スマホを掲げて世紀の瞬間を記録しようとする人で埋め尽くされた。カメラからスマホに主役が交代したことを象徴する光景だった。

 デジカメで苦しんでいるのはオリンパスだけではない。デジカメ世界首位のキヤノンの19年12月期のデジカメなどイメージングシステム事業の営業利益は62%減の482億円だった。リーマン危機前の07年12月期には売上高営業利益率は27%だったが、19年同期には同6%にまで下がった。高収益会社の面影はすでにない。キヤノンは御手洗冨士夫会長兼CEOが社長を兼務し、医療機器など新規事業の育成に力を注ぐ。

 デジカメを主力にしているニコンは、20年3月期の映像事業の営業損益が171億円の赤字(19年3月期は220億円の黒字)に沈んだ。

 新型コロナウイルスによる外出規制やイベントの中止が“デジカメ不況”に追い打ちをかける。CIPAによると5月のデジカメの世界出荷台数は前年同月比72.6%減の36万台と激減した。デジカメはもはや「趣味・嗜好品」。生活必需品ではなくなった。デジカメ市場そのものが消滅の危機を迎えている。

(文=編集部)

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