東京電力、高齢者への強引な電話勧誘、承諾なく契約切り替え…委託先が音声改ざん
Business Journal / 2020年8月4日 6時0分

三井物産グループのコールセンター大手、りらいあコミュニケーションズ(東証1部上場)の不祥事は、朝日新聞の独占スクープで発覚した。6月11日付朝日新聞朝刊が「東電委託先、電話勧誘の録音データ改ざん 勝手な契約も」と報じた。東京電力が家庭向けに販売する電気・ガスの電話勧誘を請け負ったりらいあ社が、顧客との会話を改ざん・捏造していた。
電力自由化で東電から他社に流れた顧客を対象に、44件の不正が確認された。顧客が了承していないのに勝手に契約を切り替えたことなどを隠すのが目的だった。東京電力ホールディングス(HD)の完全子会社で小売り事業を担う東京電力エナジーパートナー(東電EP)が、りらいあ社に電話勧誘を委託。不正はりらいあ社の鹿児島市にあるコールセンターで行われた。
報道を受け、りらいあ社は6月11日、緊急会見を開き、東京電力HD系から請け負った電力・ガス販売をめぐり、顧客との会話記録を改ざんしていたことを認めた。不正は鹿児島市のコールセンターに所属するチームが行っていた。
音声データの改ざんは、りらいあ社の従業員による内部告発で今年1月に発覚していた。同社は東電などに報告した後、改ざんの指示を出した管理者を処分。類似業務で同様の改ざんが行われていなかったかどうかを調査。他の業務では同様な不適切な事例はなかったとしている。
6月13日付朝日新聞によれば、不正な音声編集は現場トップの管理者が主導。東電から委託を受けたが契約件数が伸び悩むなか、「奪回」と呼ばれる部署では営業目標を達成しようと、夜遅くの電話や高齢者への強引な勧誘が行われ、消費者生活センターなどへクレームが増えた。このため不適切な営業実態を隠す音声編集が始まったという。1月に不正を把握していながら公表まで5カ月もかかった。朝日の報道がなければ隠し通して公表するつもりはなかったのかと疑われる。
不正報道を受け、りらいあ社の株価は急落。6月11日、一時、前日比174円(14%)安の1080円の安値をつけた。りらいあ社が不正を認めたことで、6月12日の終値は1040円(67円安)に沈んだ。5月14日には1351円をつけていた。年初来高値は2月10日の1590円だ。親会社の三井物産の6月11日の終値も、前日比59.5円(3.4%)安に下落した。
コールセンター業務を外部委託する企業が増え、業績は回復基調1987年6月、三井物産が中心となり、もしもしホットラインが設立され、コールセンター業務を開始した。98年10月株式店頭公開、2000年11月東証2部上場、02年3月東証1部に指定替えとなった。15年10月、りらいあコミュニケーションズに商号変更。社名は信頼の環(Reliable Ring)を広げることに由来する。今回の不祥事を見ると、ブラックユーモアと言われかねない社名である。
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