菅政権は韓国の「被害者中心主義」に強気に出られるのか?報じられない“日本人慰安婦”問題

Business Journal / 2020年9月10日 13時40分

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 朝日新聞編集委員の北野隆一氏は9月2日、日韓記者・市民セミナーで「朝日新聞の慰安婦報道と裁判」というテーマで講演を行った。8月に『朝日新聞の慰安婦報道と裁判』(朝日新聞出版)を上梓した北野氏は、朝日新聞の慰安婦報道をめぐる訴訟、慰安婦問題の論点、国際社会への影響について語った。

 セミナー終了後は質疑応答が行われ、安倍晋三政権の対韓政策の総括や次期首相就任が濃厚な菅義偉官房長官の外交政策などについての質問が飛んだ。以下、要旨をお伝えする。

菅政権で外交は“振り出し”に

――安倍政権の対韓政策の総括について、聞かせてください。

北野隆一氏(以下、北野) 2015年の日韓合意は、まれにみる合意といえます。合意前、韓国の朴槿恵前大統領は、慰安婦問題がある限り安倍首相とは会わないという対応を取ってきました。実際に、日韓首脳会談ができない状態が続いていました。米国のバラク・オバマ前大統領は「そう言わないで、会いなさい」と日韓関係の改善に乗り出し、日米韓3国首脳会談を開催し、日韓合意に至りました。

 しかし、文在寅政権が誕生すると、今度は徴用工問題が発生し、日韓関係はさらにこじれ、報復合戦となっています。私の理解では、韓国は長く経済成長し続けて自信を深めています。1965年の日韓基本条約締結時のように、日本に依存しなければやっていけない状態を脱し、日韓は対等であるという認識でいるのではないでしょうか。

 そこで、徴用工や慰安婦の過去の問題について、被害者側の視点ではまだ解決していないという認識でいますので、それをきちんと主張するという考えです。日本に対する厳しい姿勢は、韓国の自身の表れです。

 日本は逆に経済が落ち込み、弱っています。日本は韓国に対して厳しい姿勢で臨むことで、かろうじてプライドを保っています。ここで問題なのは、日韓や日朝がこじれることで、その狭間にいる在日コリアンが困ることです。

 徴用工も慰安婦も、これまで日韓政府双方で解決の努力はしてきましたが、残念ながら被害者の立場に立った解決策ではありませんでした。だから解決していないのですが、今こそ文大統領が言う「被害者中心のアプローチ」が求められています。ただし、日本側にそれを行う余裕が欠けているため、こういう状況が続いています。

――今後、誕生するとみられる菅首相の対韓政策についてはいかがですか。

北野 菅義偉氏は官房長官を長く務めていますが、外国の首脳などと面談している姿をご覧になられたことがありますか? 別に外務大臣でなくても外国の首脳と会談していいのですが、そういう会談光景をなかなか見ることができない。ですから、中韓を含めアジアの近隣諸国首脳としては「菅氏は誰で、どんな人だろう」という状況です。

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