あの超優良・成長企業、なぜ突然の破綻?中国進出や粉飾がアダ…偽装の代償

Business Journal / 2015年12月17日 6時0分

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 2015年も残すところわずかとなった。メディアではこぞって今年の回顧が行われており、経済面でも来年への期待と不安が入り混じるかたちとなっている。

 毎年恒例の「2015ユーキャン新語・流行語大賞」は「爆買い」と「トリプルスリー」に決まったが、爆買いはともかくトリプルスリーが選ばれたことには首をかしげる向きも多い。

 今年の経済を代表したキーワードは、やはり「偽装」だろう。大手企業の偽装が相次ぎ発覚し、そして中小では個人の社員レベルの偽装によって倒産に至った会社もあった。本連載の今年最後として、これらを振り返ってみる。

●東芝、VW、旭化成建材

 東芝の複数年度にわたる不正会計は、信用度の毀損、過去の決算も含めた業績修正、役員への賠償請求、企業組織そのもののドラスティックな再編といまだに出口が見えない。VW(フォルクスワーゲン)や旭化成建材も事業の本質に関わる部分におけるデータ改竄であり、根が深い。 

 3社とも業界大手で、特に東芝とVWは国際的にも知名度が高い企業だけに持ちこたえているが、一般企業なら倒産に至りかねないケースである。逆にいえば、倒産に匹敵する痛みをこれから3社は負うことになる。ただ体力があるから倒産しないだけの話である。

 思えば、今年起きた倒産の事例でも、こうした偽装によるケースが何件もあった。本来ならば堅調な業績だったのに、偽装によって倒産したケースだ。東芝やVWのように体力がないため倒産に直結してしまった例は少なくない。

●江守グループホールディングス

 本連載でも5月に取り上げたが、そのひとつは江守グループホールディングス(GHD)である。

 化学品・電子材料等の販売を行う事業会社、江守商事を中核とする上場会社の江守GHDは、経営悪化から4月30日付で民事再生法適用を申請、事実上倒産した。

 江守GHDはもともと成長路線に乗った安定企業だった。10年3月期に657億円だった売上高は毎年伸びて14年3月期には2089億円になり、最終利益も18億円から54億円に拡大、安定成長が続いており、株式市場でも推奨銘柄に挙げられるぐらいだった。しかし中国子会社における架空売り上げが発覚、業績修正とともに、一気に経営破綻に追い込まれた。

 その後上場を廃止して、スポンサーを得て再出発しているが、偽装が倒産に直接つながった例である。

●グラス・ワン・テクノロジー

 今年2月に事業閉鎖、その後破産した液晶タッチパネル加工メーカー、グラス・ワン・テクノロジーの倒産もやはり偽装が原因である。こちらは同社のオーナーとして会社に乗り込んだ個人による粉飾、利益着服による行き詰まりで、個人の犯罪が企業に影響を及ぼしたケースである。

 特にこのケースで象徴的だったのは、グラス・ワン・テクノロジーが株式を持っていた電源メーカーのユタカ電機製作所や業務用厨房機器メーカーのマッハ機器にまで影響が及んだことだろう。特にユタカ電機製作所は極めて経営は安定的だったが、グラス・ワン・テクノロジーが親会社だったために、民事再生に追い込まれた。もともと企業体質は良好だっただけに、すぐに大手電子部品メーカー、ニチコンが支援して再出発が決まったが、グラス・ワン・テクノロジーが親会社でさえなければ何事もなかったはずである。

 偽装の代償はそれぞれだが、やはりいずれも小さくはない。

 東芝やVWのリカバリーをこれからも注視したいが、まだ顕在化していないだけの偽装は必ず至るところにあるはずで、それらの発覚にも目が離せない。
(文=高橋潤一郎/クリアリーフ総研代表取締役)

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