宇部市とCCCの“補助金頼み事業”、市議会で大どんでん返し!「無記名投票」で逆転否決

Business Journal / 2020年10月25日 6時5分

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「これより採決いたします」

 議長がそう宣言した次の瞬間、ひとりの議員がタイミングを見計らっていたかのように、こう声を上げた。

「無記名投票を求めます!」

 この動議があっさり通り、採決は賛成者に起立を求める方式から、無記名で投票用紙に賛否を記載する方式に変更され、可決のシナリオは突然崩れだした。本音は反対だが、周囲からの働きかけで賛成せざるを得ないと思っていた議員数名が、「無記名なら」と反対に回ったからだった。結果は賛成12名、反対15名。議長がこう締めくくった。

「よって議案第94号は、反対多数で否決されました」

 山口県宇部市議会が“ツタヤ図書館もどき”にノーをつきつけた瞬間だった。いつもなら、議会最終日には笑顔で挨拶を欠かさない久保田后子市長も、さすがにこの日は虚ろな表情で議場をあとにしたという。

宇部市に持ち上がったまちづくり計画

 ドラマ『半沢直樹』(TBS系)の最終回が30%を超える視聴率を叩き出していた9月27日夜。宇部市の市議会関係者の周辺は、翌日に控えた本会議の話題でもちきりだった。

 翌日に採決が予定されていたのは、井筒屋が一昨年末に撤退した6階建てビルを4階に減築して、市の賑わい交流センターに改装する施設条例案(トキスマ賑わい交流館設置条例)。基本計画をプロデュースしたのは、レンタル大手TSUTAYAを全国展開しているカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)だ。

 3月に提案事業者を公募した宇部市は、集客目標70万人としたCCCの提案がもっとも優れているとして選定。子育てプラザや、本の閲覧のみで貸し出しをしない「まちなか図書館」を併設した“ツタヤ図書館もどき”(トキスマ賑わい交流館)を設置する計画が密かに進められていたのだった。

 だが、9月議会で計画内容が明らかになると、事態は一変。築43年の建物を30億円かけて改修しても、あと何年もつのか、耐震性は担保されているのか、運営費に年間2億円もかかるのは同種施設に比して高すぎるのではないのか、連携協定を締結したCCCは信用できるのか、といった疑問が委員会などで続出したのだ。

 それに対して、市当局は説得力ある説明を十分になしえなかったため、一部議員が反発。一方で、なぜか執行部や地元経済界による推進派の多数派工作は、熾烈を極めた。反対派の議員には商工会議所を通じて、強烈なプレッシャーがかけられていた。

 9月14日の建設産業委員会では、原案通り可決。あとは、28日の本会議での可決を残すのみとなったところで、一度は反対派が追い上げたものの、やがて失速。採決前日の27日段階で再度巻き返され、このままでは賛成16名、反対11名で可決される見込みだったという。

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