警察が捏造…冤罪の元死刑囚・84歳の袴田巌さん、再審を拒みつける東京高裁の“見識”

Business Journal / 2021年1月5日 5時40分

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「裁判所の22日付けの通知書が23日に届きました。クリスマスプレゼントですね」

 静岡県浜松市の袴田秀子さん(87)が電話の向こうで快活に笑った。同居している弟、袴田巌さん(84)について、最高裁の特別抗告審は、再審開始を取り消していた東京高裁決定を「審理不十分」として取り消し、同高裁に差し戻すことを決定した。

 元プロボクサーの袴田巌さんは、1966年に味噌工場の専務一家4人が殺害された袴田事件で逮捕され、死刑が確定。48年間の拘留後に2014年に釈放されたが、2018年に高裁が再審開始を取り消し、弁護団が最高裁に特別抗告していた。いまだに「死刑囚」である。

「最高裁でこういう認定をしていただきありがたい」という喜びの記者会見に筆者は駆け付けられなかったが、秀子さんに電話すると「巌に通知書を見せて説明したら『そんなはずないんだ。再審なんて終わった』なんて言っていました。でもそのあと、記者さんたちがたくさん家に来たりしてたので、何か大きなことがあったことは感じているみたいですね。なんとなく、わかってるんじゃないかな」と話した。

「再審になったら法廷にも立つんだから、まだまだ巌にはがんばってもらわなきゃ」と意気軒高。いつも「元気印」をもらえる朗らかな「死刑囚の姉」は健在だ。

3対2で早期再審は退けられる

「国家権力寄り」の産経新聞はこの決定で、これまでの「袴田元被告」という表現を改め、「袴田巌さん」にすることを「おことわり」で書いていた。だが、最高裁決定は秀子さんにとって「最良の決定」だったわけではない。

 最高裁第三小法廷は5人の裁判官で構成される。林啓一、宇賀克也の2判事は「すぐに再審を開始すべき」としたが、林道晴裁判長を含む3人がそれを否定してしまった。あと一人でも賛成していれば、すぐに静岡地裁で再審が開始されたのだ。差し戻された東京高裁は改めて再審の可否を判断するだけ。

 巌さんは84歳だが、再審開始になるまで数年かかる可能性もある。巌さんは48年間も拘置所に閉じ込められ、死刑の恐怖などから重度の拘禁症となり、いまだに意味が明瞭ではない発言が多い。2014年春の釈放時の最初の会見では「松尾芭蕉が、西郷隆盛が、黴菌が……私はローマ法王……」などと脈絡なく話していた。

 しかし秀子さんは今、「精神科医などに診せたって治るものではありませんよ。ありのままの巌を見てもらうことこそ、国がどんなことをしたかを訴えることになるんです。巌の姿が恥ずかしいなんて思ったことありません」と話している。

濃厚な警察の捏造

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