“サ高住”ブームの行方 ワタミ、建設/不動産会社も続々参入…仲介に反社勢力の影も

Business Journal / 2013年6月18日 1時0分

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 民間事業者が提供する新しい高齢者向け住宅、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)が有料老人ホームの不足を補う存在として注目を集めている。バリアフリー構造など施設に関するさまざまな基準を満たすほか、生活相談サービスや安否確認が必須とされるサ高住の登録制度は、2011年10月、国土交通省と厚生労働省が共管する「高齢者住まい法」の改正で創設された。在宅医療・介護推進の受け皿となる高齢者住宅として、国は2020年までに60万戸を開設する計画だ。

 その実現に向けて補助金と優遇税制を創設したことが、“サ高住ブーム”を引き起こし、登録戸数は今年5月に11万戸を超えた。しかし、国の政策である限り、所轄省庁の損得勘定が潜んでいるのは当然だ。

 介護業界関係者はサ高住が創設された背景について、こう説明する。

「国交省は単純に予算が欲しい。厚労省は介護報酬支払いの削減が喫緊の課題だ。老人保健施設や特別養護老人ホームと違い、サ高住は住宅であり施設ではない。サ高住には介護事業所が併設されているが、老健と特養に比べれば介護報酬の支払いは大幅に削減できる。この2つの思惑が一致して、サ高住が創設された」

 サ高住の登録基準は床面積25平方m以上(一定の条件で18平方m以上)、安否確認と生活相談などサービスの提供、賃貸借方式など。多くの物件が1階や2階に診療所やデイサービス、訪問介護事業所など高齢者生活支援施設を併設している。

 補助金は国の高齢者等居住安定化推進事業から支払われ、建設費用の補助率は、新築には1戸につき100万円を上限に10分の1、改修には1戸につき同じ上限額で3分の1と設定。さらに高齢者支援施設も補助金の対象となっている。

 補助金については一部の自治体も動きだした。福井県が国の補助金に上乗せして支給する。福井市と越前市を除くサ高住の整備率の低い市町に開設する事業者に、中重度の要介護者の継続的な入居など一定の条件を満たせば、補助金を支給するのだ。機械浴槽を設置する場合は一戸あたり50万円、設置しない場合でも同30万円と積極的な姿勢がうかがえる。

 一方、税制では、所得税と法人税が5年間に40%の割増償却されるほか、固定資産税が5年間に3分の2軽減、さらに不動産取得税が課税標準から1戸あたり1200万円控除されるなどの優遇措置が講じられている。

 その結果、国交省の試算によると、30戸のサ高住を建設費1億円で開設した場合、優遇措置を提供すれば減税額は初年度に727万円、5年間合計で1241万円となる。

●相次ぐ新規参入  こうした支援措置を受けて、医療法人、社会福祉法人、NPO法人、協同組合、さらに不動産会社や建設会社などなどの参入が続いている状況だ。しかし、入居率が全国平均70%弱であり、決して芳しい運営状況とは言いがたい。

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