アベノミクスへの誤解 「10年後に年収150万増」のウソ?…名目GNIのカラクリ

Business Journal / 2013年7月18日 18時0分

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 6月5日、安倍晋三首相は成長戦略第3弾について講演を行った。この中で安倍首相は、「1人あたり名目GNI(国民総所得)を10年後に150万円以上拡大する」と述べた。加えて、「最も重要なKPI(Key Performance Indicator=重要成果目標)とは何か。それは“1人当たり国民総所得”であると考えています。なぜなら、私の成長戦略の目指すところが、意欲のある人たちに仕事をつくり、頑張って働く人たちの手取りを増やすことにほかならないからです。つまりは、家計が潤うこと。その一点です」と語った。

 6月14日に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、「『再生の10年』を通じて目指すマクロ経済の姿」の中で、「実質的な購買力を表す実質国民総所得(実質GNI)は中長期的に年2%を上回る伸びとなることが期待される。1人当たり名目国民総所得(名目GNI)は中長期的に年3%を上回る伸びとなり、10年後には150万円以上増加することが期待される」と記述されている。

 つまり、現在384万円という1人当たり名目GNIが150万円以上増加すると公約しているわけだ。安倍首相の言葉を信じれば、この目標は“頑張って働く人たちの手取りを増やすこと、つまりは家計が潤うこと”を目指しているわけであり、当然、国民は10年間で所得が150万円以上増加すると解釈するだろう。

 しかし、GNIは家計の所得そのものを指す経済指標ではない。たとえ1人当たりGNIが10年間で150万円以上増加したとしても、家計の所得は150万円も増加しないし、場合によっては、まったく所得が増加しないこともあるのだ。その理由について、名目GNIの内訳を用いながら説明してみよう。

●個人所得増加の難しさ

 名目GNIの中で最も大きな項目は、「賃金・俸給」で約43%を占める。これは、まさしく家計の所得に近いものとなる。ただし、「賃金・俸給」は所得税や社会保険料が控除される前の金額であり、「税引き前所得」のようなものだ。次に大きいのは家計の「財産所得」で約5%程度の割合を占める。この「財産所得」には、預金などの利子、株式の配当、アパートの賃貸料収入などが含まれており、住宅ローンなどの利子を支払った後の純粋な受取額となっている。

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