日本郵政、なぜ国内生保を“袖”にしてまでアフラックと業務提携? 懸念材料を検証

Business Journal / 2013年7月30日 7時0分

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 日本郵政と米保険大手のアメリカンファミリー生命保険(アフラック)は、がん保険事業で業務提携を強化することで基本合意した。従来検討してきた日本生命保険との独自商品開発が撤回されたことも合わせて、このニュースを各メディアが報じている。

 7月25日付日本経済新聞によれば、日本郵政は今秋から順次、簡易保険を除く全国2万の郵便局と、かんぽ生命の約80の直営店舗でアフラックの商品を販売すると発表。これまでにも、日本郵政はいくつかの郵便局を通じて、民間保険会社の医療保険や変額年金も取り扱っており、「アフラックのがん保険も約1000局で扱ってきた」(同紙)が、今回のような広範囲での提携は初めてとなる。また、来秋の発売に向けて新たながん保険の日本郵政専用商品を共同開発することも明らかになっている。

 日本郵政がアフラックとの提携強化に舵を切る背景には、TPPに関する日米交渉があると、日経新聞をはじめ多くのメディアが指摘する。

 米側は4月までの事前協議で、政府が出資する日本郵政グループが自由に新商品を出せば公正な競争を阻害すると主張していた。日本の生保市場は40兆円規模で、米国に次ぐ世界2位の保険大国。その中で、死亡時に保険金が支払われる「生命保険」は日本勢が高いシェアを誇るが、医療保険などの「第三分野」は外資が強く、がん保険に至っては米国勢が8割を占めている状況だ。

 そのため、米国勢の日本での収益力は非常に高く、前出の日経新聞記事によれば「アフラックは営業利益の8割、米プルデンシャルも5割弱を日本で稼ぐ」という。もしも2万カ所の拠点を持つ日本郵政が独自商品を展開すれば、米国企業の寡占市場に大きな穴が開く可能性があり、米側は独自商品の開発凍結を求めていた経緯がある。

 今回、日本郵政グループが独自開発を見送り、米保険大手の商品を全国的に販売することで、米側の保険分野における懸念はひとまず解消する見通しだが、この判断に懐疑的な声も少なくない。

 サイト「All About」の「組織マネジメント・ガイド」コンサルタントの大関暁夫氏は7月25日、自身のブログに投稿した記事で「TPPにおける対米主要分野の交渉を有利に進めたいという意図はもちろん理解できます」と、一定の理解を示しながらも、「小手先の対米目くらまし的違和感を覚えざるを得ない」と指摘。米国側からの保険業務に関する要請に対し、本来あるべき回答は、国内生保を袖にしてまで国営郵政と外資保険が提携強化することではなく、日本郵政の「完全民営化スケジュールの提示」だとも述べている。

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