ユニクロの苦悩〜過去最高益の裏で進む国内事業の採算悪化、社員退職続出で疲弊する現場
Business Journal / 2013年8月3日 7時0分

衣料品チェーン・ユニクロなどを展開するファーストリテイリング(ファストリ)の業績が一見好調だ。
2012年8月期の連結決算が増収増益(売上高は前期比13.2%増の9287億円、営業利益は同8.7%増の1265億円)だったのに続き、13年8月期第3四半期(12年9月-13年5月の9カ月累積)連結決算でも売上高が前期比19.1%増の8858億円、営業利益が同4.0%増の1240億円、純利益が同21.9%増の884億円となり、業績の堅調ぶりを印象づけている。
ところが、ファストリがこの好業績を発表した翌日の7月12日の東京株式市場では、ファストリ株が大幅に下落、いっとき、前日比下落率が7%に迫る場面もあるなど「ファストリ売り」が発生した。
前日大引け後に同社が発表した13年8月期第3四半期連結決算で純利益が過去最高を更新したにもかかわらず、直近四半期(13年3月-5月)の営業利益が前期比0.7%の減益だったため、失望売りを誘ったのが大幅下落の要因といわれている。
そして、営業利益の減益要因を探ると、売上構成比の67%を占める「国内ユニクロ事業」の採算悪化が見えてくる。
外資系証券のアナリストは「最近のファストリはネガティブの印象が強い。現在の株価水準は割高感が否めない。最近は米国などの海外投資家に推奨しても、業績面からファストリ株を買いたいとの声が聞かれない」と困ったように話している。続けて「特に直近四半期は、国内ユニクロ既存店の売上高9%の伸びを確保するため、『4日間連続セール』などの販促を強化した結果、粗利益率が1.2%低下、採算悪化を招いている。今のファストリは値下げなしで成長を維持するのが困難になっているようだ」との見方を示している。
「海外ユニクロ事業」(売上構成比の17%)全体の約80%を占める「アジア事業」の好調で、ファストリ全体の業績が堅調に見えていたが、足元の国内ユニクロ事業は「この数年客離れが続き、既存店の売上高は2期連続で前年割れするなど収益力の著しい低下」(株式市場関係者)を来している。
そこでファストリが、国内ユニクロの客離れを食い止めようと、12年10月から開始した販促策が、前述の「4日間連続セール」だった。これは従来から行っていた毎週土日の「2日間セール」を、前後の金曜と月曜に拡大したもの。その結果、直近四半期(13年3月-5月)の既存店客数は前期比16.0%増、売上高は同11.3%増と、目を見張るような効果を上げたが、喜びもつかの間、客数増、売上増の一方で客単価が5.8%の減少となり利益を圧迫し、営業損益が前期比5.4%減少の増収減益に陥ったからだ。
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