華原朋美、「今、クスリ入ってないですか?」との質問への答えから透ける“強さ”

Business Journal / 2013年8月27日 18時0分

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 ドキュメンタリー番組を日々ウォッチし続けている映画監督・松江哲明氏が、ドキュメンタリー作家の視点で“裏読み”レビューします。

【今回の番組】
 8月18日放送『情熱大陸~華原朋美』(TBS系)

 泣いた。華原朋美の歌声に涙腺が刺激されて仕方なかった。その思いは会場に集まるファンも同じらしく、次々と彼女に握手を求める。その姿の多くが同世代であることが、どこかうれしい。

 あの頃のカラオケでは皆、華原朋美を歌っていた。僕は彼女のCDを買ったことはないけど、ソラでも歌える。街には彼女の歌があふれていたし、彼女のスタイルを真似る女性を揶揄した「カハラー」という言葉も覚えている。渋谷の風景と共に思い出される、90年代を象徴する歌手であることは間違いない。

 その後は、週刊誌や中吊り広告のネガティブな印象が強くなってきた。テレビでも、朦朧とする姿が映っていたことを覚えている。残酷だった。でもCD一枚持っていない僕は、消費者にすらなれていない。そのうち、彼女の歌も聞こえなくなった。

 復帰のことは知っていたが、ここまで圧倒的だとは思わなかった。番組の中でも紹介されていたが、デビュー当時とは声が違う。音符さえ読めない僕なので、番組のナレーションをそのまま記すと「以前の声は硬く、鋭い」が、今は「伸びやかで、ゆとりさえある」。彼女はいかにして、この声を手にしたのだろうか。

 しかし、番組の視点は厳しい。否、意地悪すぎないか、とさえ思った。スーパーで買い物をしている時、賞味期限が迫った値引き品を手にし「こういうのにも興味がありますよ」と笑えば、「味わってしまった天国と地獄」とナレーションが続く。さらに「一番小さな部屋で、2時間1575円」の小さなスタジオに入っても「アマチュアが利用する」ことを強調する。きっと第一線で活躍していた頃と、今との状況の差を強調したい演出だと思うが、さすがに次の言葉には驚かされた。

 華原が「街を歩いていても、あの子クスリの子よね、って指をさされることもあったし」と過去の経験を告白すると、ディレクターが即座に「今、クスリ入ってないですか?」と詰問したのだ。僕には耳を疑うようなキツイ言葉だったが、彼女は「大丈夫ですよ」と笑い、その場を和ませていた。ディレクター自身も笑っていたが、人によっては怒らせてしまっても仕方のない言葉だと思う。もしかしたら制作者たちにとっては、取材を始めてから、ある程度の期間を経て、新しい関係性になれたきっかけとなる出来事だったのかもしれないが、番組を見ている僕には冗談として笑える準備はできていなかった。とはいえ、今ではそんな言葉も笑って済ませられる華原の強さが、そこには映っていた。

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