足利HD、年内再上場の舞台裏〜破綻から10年、大手証券初の銀行経営が出口迎える

Business Journal / 2013年9月13日 7時0分

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 足利銀行を傘下に持つ足利ホールディングス(HD/宇都宮市)が、東京証券取引所に上場を申請した。承認を得られるまでには最短で2~3カ月かかる。順調に行けば年内に再上場を果たすことになる。経営破綻後に上場廃止となった2004年1月以来、およそ10年ぶりの株式市場への復帰となる。

 03年11月、政府は足利銀行の経営破綻を認定。特別危機管理で一時国有化していた。その後、08年3月、金融庁は野村ホールディングス(HD)を中心とした投資グループに足利銀行株式を譲渡すると決定した。翌4月、野村グループは足利銀行の受け皿となる持ち株会社、足利HDを設立。そして同年7月に足利HDは預金保険機構より足利銀行の株式を譲り受け、同行は民営化した。

 当初野村グループは、足利HDの11年中の再上場を目指していた。しかし、米リーマン・ショック後の金融危機と東日本大震災による日本経済の混乱で、日経平均株価は7000円台に低迷。大手銀行の株価の底這いが続く状況では足利HDの株の買い手は現れず、上場は先延ばしとなっていた。

 足利銀行は栃木県など北関東が地盤。預金量は4兆7458億円と、全国で中位に位置する地方銀行である。足利HDの13年3月期の連結税引き後利益は18年ぶりに法人税の支払いが生じたこともあり、前期比9.9%減の154億円(前の期は171億円)となった。それでも連結経常利益は同8.1%増の186億円(同172億円)と改善。連結自己資本比率は9.7%(同9.4%)で、最低基準である4%を大きく上回っている。

 安倍晋三政権の経済政策アベノミクスで、足元の株式市場が活況を呈した。上場申請のタイミングとしては千載一遇のチャンスである。野村HDは「機が熟した」と判断した。

 足利HDの上場が実現すれば、一時国有化された銀行で4例目となる。これまでに米RHJインターナショナル(旧・リップルウッドホールディングス)が新生銀行(旧・日本長期信用銀行)を、米サーベラスがあおぞら銀行(旧・日本債券信用銀行)を、米ローンスターが東京スター銀行(旧・東京相和銀行)を再上場させている。

 国内銀行の再生では外資系の投資ファンドが中心的役割を果たしてきたが、足利HD=足利銀行の買収は野村HDの手で行われた。野村HDにとって、国内では過去最大の投資だった。

●野村HD、絶好のタイミングで保有株売却か

「投資額を回収するため、野村側は保有株を高く売る必要があった」というのが、銀行界の一致した見方だ。野村グループは当初から足利HDの早期上場を目指していたが、計画していた11年の上場が延期されたのは、株式市場の低迷で、野村グループが予定していた利益の確保が困難になったためだ。アベノミクス効果で株式市場が回復している今こそ、絶好のタイミングだ。

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